ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 というわけで数日後。わたしはリモーベル家が収める港町に来ていた。数少ない港町なだけあって、小さい町でもかなり賑やかだ。
 まあ、今日は観光に来たわけじゃないから、直でリモーベル家に馬車で行くので、馬車の中から外をうかがうことくらいしかできなかったんだけど。

 生活が落ち着いたら遊びに来るのもいいかもしれないな……。婚約パーティーまであと二か月。その後、きっと遅くない内にオクトール様が伝説の魔女が使っていた旧魔女の魔法の再現をした魔法道具を発表するだろうから、いつ落ち着くんだって話だけど。

 わたしは馬車から降りて、案内されるままに歩く。

「ベルメ様、シャローネ様、本日は我が家へ来ていただき、ありがとうございます」

 客間に着くと、リモーベル家の当主である、セザル・リモーベルがそこにいた。名前しか聞いていなかったが、随分と若く見える人だ。リモーベル家が代替わりした、という話は聞いていないから、わたしの両親と同年代なんだろうけど……。
 日焼けして浅黒い肌に、白い歯と爽やかな笑顔。いかにも海の男、という印象を受ける。
 ソファに座り、シャローネを交えて話を展開させ、程よく雑談をした後に、今日の本題に入る。

「本日はリモーベル家にお願いがありまして、シャローネに頼んでこの場を用意して貰いましたの」

 そう言って、わたしは二枚の紙をセザル氏に渡す。オクトール様が欲しいと言っていた、魔法道具のための素材の一覧が書かれている紙。

「もし、この町で交易している商会に入荷しましたら、一番に連絡するよう伝達して欲しいんです」

 ――一枚目の商品は。
 しかし、二枚目に書かれている品物達は、どれもこれも、きっとそう簡単に入荷されないだろう。
 セザル氏も、それが分かっているのか、二枚目に目を通した瞬間、パッと顔を上げた。

「……ベルメ様。こちらの品は……」

 セザル氏の目つきが鋭くなる。
 無理もない。

 二枚目に書かれているのは、どれもこれも貴重な種子――つまりは、育てるのが難しいながらも、自生しているものは存在せず、簡単に発芽させる為に手を出せないものであり、同時に、セザル氏がたびたびパーティー等で仲間内に自慢するコレクションの一部だ。
 いくら侯爵家という立場から、子爵家への「いくらか譲ってくれ」という『お願い』でも、そう簡単にうなずいてくれるものじゃないこのは重々承知である。

 でも、わたしは交渉して、なんとか入手しないといけない。
 それが、オクトール様から頼まれた、わたしの今の役目だから。
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