ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 まあ、人命がかかっているので、さすがにこれをネタにしてアインアルド王子たちをどうこうするつもりはないけれど、でも、まあ、散々馬鹿にした相手が自分の欲する物を持っていることに気が付いた彼が、どんな反応をするのか楽しみにしてしまうのは、許してほしいところだ。

 菩薩のような心で、過去のことを水に流して救ってあげられる程人間ができているわけではないので。というか、そもそもアインアルド王子の性格的に、わたしたちが慈悲を持って薬を渡したとしても、煽りだと思いそうな予感がするのでどうしようもない。

「となると……ここから先はオクトール様の領域になってしまうんですの?」

 気持ちだけは協力したいが、こと魔法道具の開発には力を貸せる気がしない。やる気はあるものの能力がないパターンは、なにもしないのが一番なのである。
 しかし、オクトール様は、わたしの言葉を否定した。

「確かに開発自体は僕が行うが、君に協力してほしいことはあるよ。フリードンバーグ家に友人がいるのなら、リベーモル家に伝手を作れない?」

 フリードンバーグ家はシャローネの家のことだ。リモーベル家はフリードンバーグ家の分家に当たる子爵家だ。極々小さな港町を治める子爵家で、領地の広さは下から数えた方が早いくらいだが、この国には海に面している場所が少なく、港も数えるほどしかないので、かなり重要な場所を任されている家である。

「おそらく不可能ではないと思いますけれど……他にも何か欲しい物がありますの?」

 港町を押さえるということは、貿易で入ってくる商品に何か欲しい物があるということなのだろう。話しぶりからして、シャハルク商会で全ての素材を揃えるというわけではなさそうだし。
 シャローネに頼んでリモーベル家を紹介してもらって、必要としている素材を扱う商会を押さえる。これならわたしにも問題なくできる。

「素材を書き出すから少し待って。いろいろ試行錯誤するから、他にも必要なものが出てくると思うけど、そのときはまた連絡するから」

 リストを作れるくらいには、必要な素材の見当がついているらしい。……本当に、わたしとの婚約が、こうして王位を共に取ろうと協力しなければ、わたしが彼の信頼を得なければ、実現しなかっただけで、やり方自体は分かっていたのか。
 眼鏡もなしに書き出したオクトール様の横顔を、少しだけ眺めてしまう。眼鏡はただの『鎧』であり、視力的な意味合いでは不要なものなのだろう。
 彼の信頼を勝ち得ることができて、本当に良かったと、わたしは一人心の中で安堵した。
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