ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 魔法道具の執着心によってそこまで情報を集めたんだろうか。
 あ、それとも、単純に王城には文献が残っている、とか? 王城の書庫にある本は、数こそ貴族学院に劣るけれど、文献とか記録とか、そういう本に特化している、という設定が……あった気がする……。
 ベルデリーンルートで貴族学院の図書館に行くことは、ほとんどなかったけど、ベルデリーンのルートを書くにあたって、貰った資料にそんな感じのことが書いてあった記憶がある。流石にうっすら覚えているだけだけど。

 でも、オクトール様の答えは、わたしが想像したそのどちらでも、なかった。

「……誰にも、言わないで欲しいんだが」

 そう、前置きを、オクトール様が言った。

「誰にも? 国王や、ノーディーニさんにもですの?」

「父上はおそらく知っているかも知れないが、僕が直接確認したことはない。ノーディーニにも言ったことがないから、彼は知らないだろうな」

 その言葉に、わたしは思わず唾を飲み込んでしまった。
 彼が、おそらくこの世で一番信頼している人物ですら知らないことを、わたしに教えようとしてくれている。妙な高揚感と緊張に、心臓がばくばくといっている。
 それを悟られないように、わたしは必死で、表情を取り繕った。

「僕の母上が、王族の血筋でも、貴族の出身でもないのは知っているだろう?」

「ええ」

 だからこそ、アインアルド王子にあそこまで馬鹿にされたわけで。ただ、オクトール様にとって、あまり話したくない内容なのかと思って、詳細をわたしから聞いたことはない。

 ――いや、でも、今、その話が出てくるって、ことは……。
 思い当たる予感は、的中した。

 オクトール様が、わたしの耳元に顔を寄せ、ささやく。

「僕の母上は、伝説の魔女の一族の女性なんだ。……だから、僕も伝説の魔女の使った旧魔女の魔法を知っている。母上が、生前、僕に教えてくれたから」

 ぼそぼそと、二人きりでオクトール様の私室という状況にも関わらず、いっそうひそめられた声。でも、その幽かな声は、わたしの耳にしっかり届いた。
 驚きに、わたしは思わず、オクトール様の顔を見た。彼はうっすらと、ほほ笑んでいる。

「……本当は、誰にも言うつもりはなかった。墓場まで持って行って、それこそ、伝説を伝説のまま、終わらせるつもりだった」

 そう話すオクトール様に、わたしは言葉を返せなかった。驚きのあまり、なんて返したらいいのか分からなくて、瞬きをすることしかできない。『お嬢様』であることも忘れて、ぽかんと口を開けたまま。
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