ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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「……それにしても、折角開幕のダンスを引き受けてくださったのに、こんなことになってしまって、申し訳ない限りですわ」

 前回に引き続き、失敗続きである。情けない限り。一回くらい、どかんと成功してみたいものである。
 どのみち、わたしは開幕のダンスを引き受けるつもりではいたけれど、それとこれとは話が別。オクトール様の方から引き受けると言ってくれたのに。
 わたしがそう言うと、オクトール様は眼鏡のふちを、軽く撫でた。

「……全く。ぼ、僕が誰のために、なんのために頑張っていると思っているんだ」

「え?」

 思わず声が漏れた。そんな風に言われるとは思ってもみなかったのである。

「このくらい、全然迷惑でも何でもない。むしろ、パーティー会場から離れられてよかっ――いや、なんでもない。この発現は忘れてくれ」

 オクトール様は咳ばらいを一つして、言葉を濁す。

「とにかく、共に頑張ると決めたのなら、自分だけが迷惑をかけたという考えは改めろ」

「……!」

「確かに、次へ繋げるために改善点を洗いだすのは重要なことだ。でも、自分ばかりを責めていたら、ある種の思考停止でしかない」

 思考停止、とオクトール様に言われて、わたしは言い返せなかった。いままで割と、次は頑張ろう、という根性論で乗り切ってきたところがあるから。図星なのである。

「間違いを開き直れ、とは言わないが……。僕だって、君をフォローできればよかった、という改善点がある。……共に頑張ると言ってくれたのに、そういうところを流されるのは――その、さみしい」

「あ――」

 アインアルド王子を共に見返してやろう。そうやって手を取りあったのに、気が付けばわたしはオクトール様を引っ張っていかなきゃ、とばかり考えていた。
 わたしはこの世界の元となったゲーム世界を知っているから、無意識にそう考えていたようだ。
 でも、それは、オクトール様にとって、突き放すような言動に見えていたのかもしれない。

「確かに、人と眼鏡なしに会話をすれば卒倒するような、頼りない男だが――」

「そ、そんなことありませんわ!」

 眼鏡なしに会話をすれば卒倒する、といのは、まあ、確かに事実ではあるのだが。
 でも、頼りないという点は同意しかねる。

 わたしに魔法道具の勉強を教えてくれたのはオクトール様。
 印象アップに協力してくれているのもオクトール様。
 頼りない、なんてこと、絶対にない。

 わたしが声を張って否定すれば、オクトール様は、ふと、口元を緩めた。

「本当にそう思っているのなら、今後はちゃんと頼ってくれ」

 オクトール様のその言葉に、わたしは、ただただうなずいた。
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