ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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「国内ではアインアルド王子はいろんな令嬢を妃に迎え入れて人望ある王子だってもてはやされているけど、国外だと不義理な王子って評価みたい」

 思っても見ない評価に、目から鱗が落ちる気分だった。ずっと国内の評価ばかりに気を配ってきたけれど、国王になるのなら国外の評価だって重要なはずだ。すっかり頭から抜け落ちていた。
 いまだにゲーム世界に酷似した世の中、というくくりがわたしの中にはあるようで、ゲーム内に登場しない国は存在しないもの、と考えがちだが、現実的にはそんなわけがない。
 特に、東ヶ島のようにほとんど鎖国状態でもやっていける国じゃないんだから、その評価は重要だ。
 この情報を今聞けたのはラッキーとしか言いようがない。

「不義理……」

「先に婚約しているベルちゃんがいるにも関わらず、後から来た方が数字の小さい夫人になったらそりゃあ不義理でしょ。心象悪くなるって」

 特に一夫一妻制度しかない国からは凄い評判悪いよ~と、シルヴィアはおどけたように言う。

「ちなみにベルちゃんは、可哀想なお嬢様って同情する人と、王子がそこまでやるなら何か問題があるのでは? って思う人に分かれてるっぽい。前者は貴族に多くて、後者は平民に多い感じだったな。話してみて、なんとなくの体感だけど」

 その別れ方をするのは、貴族社会を知っているか否か、というのが基準なのかもしれない。貴族は従わなきゃいけないお偉いさん、としか思っていない平民も多いから、そうなるのだろう。平民には知らないところで何か隠しているはずだ、っていう考えが基本にあるから、わたしにも何かあるのかも、って勘ぐってしまうのだろう。ちゃんとした政治ができていない証拠なわけだが。

「でも、今回、二人がパーティーに来てくれて、結構印象変わったみたいよ。アインアルド殿下はベルちゃんをいじめてて、オクトール殿下がそれを救ってくれた、みたいに皆思ったみたい」

 上手くいったかも、なんて思っていたが、それどころではなく大成功だった。思っていた通りに印象操作ができそうだ。当初の予定である、元々オクトール様とわたしは想い合っていたという設定は消え去りそうだが、それでもアインアルド王子に悪印象を、オクトール様に好印象を抱かせるのには大成功している。

 ほっと息をついたのも束の間。

「もしかしたら、今回の件をモデルに歌劇が作られて平民の間で流行るかもね」

 そんなシルヴィアの言葉に、わたしは飲んでいた紅茶を吹き出しそうになってしまった。
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