ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

文字の大きさ
上 下
51 / 111

51

しおりを挟む
 ……やっぱり、まだこんな程度の勉強しかできてない、って思われてる? でも最近始めたばかりの勉強なのだからしょうがないじゃないか。しかも苦手分野だし。
 どう言い訳したものか、と考えていると、「もしかして、休まずに勉強していたのか?」と、思っていたのとは違う言葉がオクトール様の口から聞こえてきた。

「いや、流石に体調を崩しているときには読みません……わよ。か、片付ける余裕がなくてそこに置かれているだけです」

 嘘だ。余裕がないのではなく、単純に面倒だからそこに置いてあるだけである。グレーリアもカリスも、部屋の掃除はするものの、基本的にわたしが言わない限り、置いてあるものはそのままなので、誰も片付けないからこうなっているのだ。

 ……というかヤバいな。ちょっとお嬢様言葉が崩れそうになって焦ったわ。靴を履いていないとどうにも気が抜けるというか。……変な言葉遣いになってなかったよね? 自信がない。
 かといって、ベッドの中にいるのに靴を履くのはおかしいし汚いのでためらわれる。というか、すでにオクトール様がこの場にいるので、今から靴を履いたところでただの奇行でしかない。
 わたしもオクトール様みたいに、『鎧』を、眼鏡とか、いつどこでもさりげなく付けられるものにしておけば良かった。土足文化な世界だから、前世よりは身近だと思ったんだよ……。

「まさか、勉強のしすぎで倒れたのか?」

「それは……」

 違う、とも言い切れない。

 オクトール様のことを考えていたら眠れなくなった、が正解なのだが、そんなこと本人に直接言えるわけがない。言えていたらこんなに考えることはないし、夜だってぐっすり眠れるはず。
 でも、その眠れなかった時間を全部勉強に当てて、結果として睡眠時間が削られているのだから、そんなことはない、と否定してしまうのは嘘のような気がした。

 というか、こうして言いよどんだ時点で、そんなことはない、と言ったところで嘘にしか聞こえないだろう。

「べ、別に、その……それだけが要因ではないです。……たぶん」

 わたしはそう言葉にした。嘘じゃないし、都合のいい解釈をされるように言ったわけでもない。……まあ、全部つまびらかにしたわけでもないが。
 オクトール様は歯切れの悪いわたしの言葉を聞いて、カチャ、と眼鏡のブリッジを押し上げた。

「……あまり無理をするな」

 心底心配そうな、オクトール様の声音。

「君が努力したい、というならば、僕も付き合うとは言ったが、なにも倒れるほど学べと言ったわけじゃない」

 ……ぐうの音も出ない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

婚約破棄を喜んで受け入れてみた結果

宵闇 月
恋愛
ある日婚約者に婚約破棄を告げられたリリアナ。 喜んで受け入れてみたら… ※ 八話完結で書き終えてます。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

なにをおっしゃいますやら

基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。 エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。 微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。 エブリシアは苦笑した。 今日までなのだから。 今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

皆さん、覚悟してくださいね?

柚木ゆず
恋愛
 わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。  さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。  ……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。  ※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

処理中です...