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……やっぱり、まだこんな程度の勉強しかできてない、って思われてる? でも最近始めたばかりの勉強なのだからしょうがないじゃないか。しかも苦手分野だし。
どう言い訳したものか、と考えていると、「もしかして、休まずに勉強していたのか?」と、思っていたのとは違う言葉がオクトール様の口から聞こえてきた。
「いや、流石に体調を崩しているときには読みません……わよ。か、片付ける余裕がなくてそこに置かれているだけです」
嘘だ。余裕がないのではなく、単純に面倒だからそこに置いてあるだけである。グレーリアもカリスも、部屋の掃除はするものの、基本的にわたしが言わない限り、置いてあるものはそのままなので、誰も片付けないからこうなっているのだ。
……というかヤバいな。ちょっとお嬢様言葉が崩れそうになって焦ったわ。靴を履いていないとどうにも気が抜けるというか。……変な言葉遣いになってなかったよね? 自信がない。
かといって、ベッドの中にいるのに靴を履くのはおかしいし汚いのでためらわれる。というか、すでにオクトール様がこの場にいるので、今から靴を履いたところでただの奇行でしかない。
わたしもオクトール様みたいに、『鎧』を、眼鏡とか、いつどこでもさりげなく付けられるものにしておけば良かった。土足文化な世界だから、前世よりは身近だと思ったんだよ……。
「まさか、勉強のしすぎで倒れたのか?」
「それは……」
違う、とも言い切れない。
オクトール様のことを考えていたら眠れなくなった、が正解なのだが、そんなこと本人に直接言えるわけがない。言えていたらこんなに考えることはないし、夜だってぐっすり眠れるはず。
でも、その眠れなかった時間を全部勉強に当てて、結果として睡眠時間が削られているのだから、そんなことはない、と否定してしまうのは嘘のような気がした。
というか、こうして言いよどんだ時点で、そんなことはない、と言ったところで嘘にしか聞こえないだろう。
「べ、別に、その……それだけが要因ではないです。……たぶん」
わたしはそう言葉にした。嘘じゃないし、都合のいい解釈をされるように言ったわけでもない。……まあ、全部つまびらかにしたわけでもないが。
オクトール様は歯切れの悪いわたしの言葉を聞いて、カチャ、と眼鏡のブリッジを押し上げた。
「……あまり無理をするな」
心底心配そうな、オクトール様の声音。
「君が努力したい、というならば、僕も付き合うとは言ったが、なにも倒れるほど学べと言ったわけじゃない」
……ぐうの音も出ない。
どう言い訳したものか、と考えていると、「もしかして、休まずに勉強していたのか?」と、思っていたのとは違う言葉がオクトール様の口から聞こえてきた。
「いや、流石に体調を崩しているときには読みません……わよ。か、片付ける余裕がなくてそこに置かれているだけです」
嘘だ。余裕がないのではなく、単純に面倒だからそこに置いてあるだけである。グレーリアもカリスも、部屋の掃除はするものの、基本的にわたしが言わない限り、置いてあるものはそのままなので、誰も片付けないからこうなっているのだ。
……というかヤバいな。ちょっとお嬢様言葉が崩れそうになって焦ったわ。靴を履いていないとどうにも気が抜けるというか。……変な言葉遣いになってなかったよね? 自信がない。
かといって、ベッドの中にいるのに靴を履くのはおかしいし汚いのでためらわれる。というか、すでにオクトール様がこの場にいるので、今から靴を履いたところでただの奇行でしかない。
わたしもオクトール様みたいに、『鎧』を、眼鏡とか、いつどこでもさりげなく付けられるものにしておけば良かった。土足文化な世界だから、前世よりは身近だと思ったんだよ……。
「まさか、勉強のしすぎで倒れたのか?」
「それは……」
違う、とも言い切れない。
オクトール様のことを考えていたら眠れなくなった、が正解なのだが、そんなこと本人に直接言えるわけがない。言えていたらこんなに考えることはないし、夜だってぐっすり眠れるはず。
でも、その眠れなかった時間を全部勉強に当てて、結果として睡眠時間が削られているのだから、そんなことはない、と否定してしまうのは嘘のような気がした。
というか、こうして言いよどんだ時点で、そんなことはない、と言ったところで嘘にしか聞こえないだろう。
「べ、別に、その……それだけが要因ではないです。……たぶん」
わたしはそう言葉にした。嘘じゃないし、都合のいい解釈をされるように言ったわけでもない。……まあ、全部つまびらかにしたわけでもないが。
オクトール様は歯切れの悪いわたしの言葉を聞いて、カチャ、と眼鏡のブリッジを押し上げた。
「……あまり無理をするな」
心底心配そうな、オクトール様の声音。
「君が努力したい、というならば、僕も付き合うとは言ったが、なにも倒れるほど学べと言ったわけじゃない」
……ぐうの音も出ない。
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