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前世では三十年近く生きたし、今世でも二十年近くは生きている。『シックス・パレト』はヒロイン層が世間一般のヒロインからしたら年齢層が高めではあるけれど、それでも三十近くまで生きた前世の記憶があるわたしからしたら子供みたいなものである。
ちなみに、十八、という壁があるので、エロゲにならないギリギリを攻めた『シックス・パレット』はヒロインたちが大体十八前後になっている。それに準じて、貴族令嬢の婚期は十代後半から二十代前半と、ファンタジー世界な貴族にしては晩婚だ。
閑話休題。
とにかく、前世からみても、今世からみても、わたしは『大人』なのだ。
八つ当たりしたって意味がないことは分かっているし、靴を脱いで幼児みたいに駄々をこねたいと思っても自重をするのだ。
この悔しさをバネに頑張る――つもりではいるけれど、そんなに切り替えが早い方じゃない。せめて馬車の中でくらい落ち込ませてくれ。
「……僕の社交に問題があったか? 確かに、ほとんど君をおいて自分ばかりが話を楽しんでいたのは悪かったが」
あんまり納得がいっていない、という感情と不安が入り交じったような表情で、オクトール様が言う。たぶん、教師に減点されるか否かが基準なんだろうな。それだけ人との接点がない、ということだ。
まあ、確かに教師に減点はされないラインだと思う。所作は完璧だったし、多少饒舌過ぎたとしても、好きな話題だったらあのくらいになるのは普通と判断されるだろう。わたしは全く話についていけなかったが、ロルク氏とノルテンブデン氏は楽しそうだったし。わたしだって、少なくとも表面上は会話に参加していたし。
わたしの口数が少ないことに気が付いて配慮できれば完璧、と言いたいところだが、なかなか社交界に出てこない人間にそれは無理な話。このレベルは合格点を出した上での加点になるので、なくたっていいのだ。
ただ、教師の合格ラインが全てというわけじゃないというか、なんというか……。
「……思ったよりオクトール様が大丈夫そうで、少し驚いただけですわ。わたしを褒める演技とタイミングもばっちりでしたし」
わたしを抱き寄せたのは別の意図があって、偶然いい感じに見えただけだとしても、ナノハとの会話で、ドレスのことについて言及したのはナイスアドリブ、としか言いようがない。
「タイミングがあっていたのは良かったが……別に演技だったつもりはないが」
「――え?」
「そのドレス、似合っているんじゃないか?」
「えっ」
えっ???????
ちなみに、十八、という壁があるので、エロゲにならないギリギリを攻めた『シックス・パレット』はヒロインたちが大体十八前後になっている。それに準じて、貴族令嬢の婚期は十代後半から二十代前半と、ファンタジー世界な貴族にしては晩婚だ。
閑話休題。
とにかく、前世からみても、今世からみても、わたしは『大人』なのだ。
八つ当たりしたって意味がないことは分かっているし、靴を脱いで幼児みたいに駄々をこねたいと思っても自重をするのだ。
この悔しさをバネに頑張る――つもりではいるけれど、そんなに切り替えが早い方じゃない。せめて馬車の中でくらい落ち込ませてくれ。
「……僕の社交に問題があったか? 確かに、ほとんど君をおいて自分ばかりが話を楽しんでいたのは悪かったが」
あんまり納得がいっていない、という感情と不安が入り交じったような表情で、オクトール様が言う。たぶん、教師に減点されるか否かが基準なんだろうな。それだけ人との接点がない、ということだ。
まあ、確かに教師に減点はされないラインだと思う。所作は完璧だったし、多少饒舌過ぎたとしても、好きな話題だったらあのくらいになるのは普通と判断されるだろう。わたしは全く話についていけなかったが、ロルク氏とノルテンブデン氏は楽しそうだったし。わたしだって、少なくとも表面上は会話に参加していたし。
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