ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 恵比寿顔に樽のような腹。七福神の恵比寿様と信楽焼のたぬきの置物を混ぜたらこんな感じになるんだろうな、という見た目の、老人の男性。それなりに老いているように見えるにも関わらず、元気な黄色に近い金髪が、ナノハとの血のつながりを感じる。

 服装は、確かに東洋ファンタジーな感じで、よく見れば周りと格好が違うのが分かるが、あまり目立たないようにしているようで、東ヶ島衣装独特の模様の刺繍はされていなかった。
 東ヶ島衣装によく刺繍されているあの模様をメインに東ヶ島の恰好を想像して探していたので、見つからないわけである。

 でも、確かによく考えてみれば、主役でもないのに、そこまで目立つ衣装を着てはこないか。ナノハがガッツリ東ヶ島風ドレスなのは、まあ、攻略ヒロインだから許されること。
 あれ、でも、目立つ東ヶ島風ドレスを着ているナノハすら簡単に見つけられなかったということは……どのみち、ロルク氏は簡単に見つからなかった、ということか。

「これはこれはオクトール殿下にベルメ嬢。こんばんは。孫娘が何か失礼なことを言いませんでしたかな?」

 少しおどけたように言うロルク氏。それに対して、ナノハが少し大げさな仕草で反応してみせる。

「酷いデス、おじい様! 仲良く話をしていただけデスよ!」

 仲良く。どの口が言うのか。めちゃくちゃバチバチしてたと思うんだけど?
 まあ、下手につっこむようなことでもないので、わたしは当たり障りなく、にっこりと笑っておく。
 ロルク氏が来てくれたのなら丁度いいや。探す手間が省けた。挨拶を済ませて、オクトール様にパスしよう。オクトール様の交渉次第ではあるが、オクトール様の興味を引く物の取引が出来るようになるかもしれない。少しでも彼の、魔法道具研究の足しになればいいな。

 わたしはスッと口元を隠していた扇を閉じて、ロルク氏に声をかける。

「こんばんは、シャハルク商会長。わたし、是非貴方とお話したいと思っていましたの」

「ほう?」

 ぎら、とロルク氏の目が鋭く光る。ほんわかとした好々爺の表情から、一気に商人のものとなる。流石、というべきか。いい歳してまだ引退していないだけある切り替えっぷりである。

「シャハルク商会では東ヶ島の珍しい商品を扱っているでしょう? 東ヶ島の素材でしか作れない魔法道具もあると聞いて、気になっていましたの。ねえ?」

 わたしは最後、オクトール様に問いかけるようにする。すると、オクトール様がそのままわたしの言葉を引き継いで、なにやらロルク氏と会話をし始めたのだった。
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