ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

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 乾杯が終わり、パーティーが始まれば、本格的に周りが賑やかになる。貴族のみの社交界とはまた雰囲気が違う。
 爵位や派閥に影響されて、会話をする相手がおおよそ決まっている貴族とは違って、商人は貪欲に情報やコネを求めていろんな人に声をかけるのだ。
 とはいえ、ここに参加する貴族は男爵家か子爵家がほとんど。そこにポンと侯爵家や王族の人間がいれば、流石に声をかけるのはためらわれるらしい。
 話しかけたいけど、どう話しかけるか、という視線をあちこちから感じる。

 わたしは時折オクトール様と雑談をしながら、シャハルク商会の商会長であるロルク・シャハルク氏と、ノルテンブデン氏を探す。
 ノルテンブデン氏はともかく、ロルク氏は東ヶ島の服――つまりは、東洋ファンタジーのような服を普段から着用していると聞いているから、すぐに見つかると思っていたのだが、思ったよりも目立たないようで、なかなか見つけられない。

 魔法道具の世界では有名なオクトール様だから、向こうから話しかけてくれないかな、と一瞬思いもしたが、魔法道具作家である以前にオクトール様は王子なのだ。周りの貴族が声をかけていないにも関わらず、平然と声をかけられる平民はそうそういないだろう。いくらコネが欲しい商人たちでも、先陣になるには相当勇気がいるに違いない。

 ましてや、社交界になかなか出てこないオクトール様だ。この機会に何としても声をかけたい、と思っていても、人となりについて情報が出回っていない相手に声をかけるのはハードルが高いだろう。せめて他の人の出方を見たいはず。

 ……これなら、さっきシルヴィアと少し話をしたときに、ロルク氏とノルテンブデン氏を紹介してほしい、と言っておくべきだったな。
 このまま誰とも会話をせずパーティーが終わってしまっては、大失敗、とまでは行かずとも成功とは到底言えない。

 シルヴィアがわたしとオクトール様の仲がいいと思ってくれた以上、オルゴンド家、もといオルゴンド商会には一瞬で噂が広まるだろうが……一家だけでなく、もう二、三は、少なくとも噂の後押しをしてくれる人が出てきてほしいところだ。

 誰か話しかけてきてくれ。もしくはロルク氏かノルテンブデン氏、最低でもシルヴィアを見つけたい。
 まだパーティーは始まったばかりではあるものの、思うように人を探せないことに焦っていたわたしの元に、ようやく声をかける人物が現れた。

「あら、ベルメ様じゃないデスか!」

 ――それは、アインアルド王子の妃の一人、つまりは『シックス・パレット』の攻略ヒロインであるナノハ・シャハルクだったけれど。
 黄色の東ヶ島風ドレスがよく似合うナノハは、元より細めの猫目をより細くして、にこっと笑っていた。
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