ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

文字の大きさ
上 下
24 / 111

24

しおりを挟む
 あれも、これも、と教えてくれるのは助かるのだが、途中から話が脱線し始め、作るのに苦労した話とか、何がどう凄いのかとか、そういう話になり始めた。

 たぶん、話している途中で楽しくなってしまったんだろうけど、わたしが簡単なことしか分からないことを忘れて、どんどんと専門的な用語が飛ぶし、基本や応用まで理解できている前提で話が進む。
 一割も理解でいないが、なにか一つか二つ、わたしが知らない原理の説明を飛ばして話しかけていることはなんとなく分かる。それが察せるようになっただけ、勉強の成果が出ている、と考えてもいいんだろうか。

 説明に戻ってくれ、と言いたいところだけど――。

「それで、ここの部分をコンパクトにするのが難しくてさ、丁度いい大きさの魔石がなくて――」

 口調が砕けているのにも気がつかず、笑顔で興奮して話ているのを見ると、どうにも口を挟むのは気が引ける。眼鏡越しでも、目が輝いているのが分かるくらいなのだから。

 もう好きなだけ話したらいいよ、とわたしは会話の修正を諦め、聞き役に徹した。
 苦労話を聞くのも無駄じゃないし。考えるのは苦手だが、覚えるのは得意なので、この話を覚えておけば、そのうち役に立つこともあるだろう。これだけ熱心に話していれば、そのときわたしが一緒にいなくても、まるで共にいたかのように感情を込めて話すことができそうだ。
 これだけ楽しそうに話しているのを聞くと、こっちまで楽しくなってきてしまう。

「本当に魔法道具のことが好きなんですのね」

 ふ、と、マシンガントークのように区切れがなかったオクトール様の言葉が途切れた瞬間、思わずわたしはそんなことを言ってしまった。
 しかし、オクトール様は「えっ?」と目を丸くしている。てっきり、「そうなんだ!」と勢いよく肯定されるものだと思っていたのだが。

「好きじゃなければ、ここまで開発を続けることも、熱く語ることもできないでしょう?」

 違うの? とわたしは首を軽く傾げる。
 これだけ話していて好きじゃない、なんて反応になるとは思えない。
 でも、オクトール様はすっかり勢いをなくしてしまった。

「……僕は、魔法道具が好き……なんだろうか?」

「いや、わたしに聞かれましても」

 自覚がなかったのか? 少なくとも、嫌いではないはず。嫌いだったら、百歩譲って、わたしの勉強を見ることはあっても、こうして実物を見せてやろう、とか、話しているうちに楽しくなって話が脱線してしまう、とか、そういうことはないはず。

「好きなんでしょう?」

 再度聞いてみるも、オクトール様はなんだか腑に落ちない、という表情のままだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

なにをおっしゃいますやら

基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。 エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。 微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。 エブリシアは苦笑した。 今日までなのだから。 今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

皆さん、覚悟してくださいね?

柚木ゆず
恋愛
 わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。  さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。  ……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。  ※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない

金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ! 小説家になろうにも書いてます。

誰でもイイけど、お前は無いわw

猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。 同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。 見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、 「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」 と言われてしまう。

処理中です...