ハーレム系ギャルゲに転生しましたが、わたしだけを愛してくれる夫と共に元婚約者を見返してやります!

安眠にどね

文字の大きさ
上 下
17 / 111

17

しおりを挟む
 作戦の内容はこうだ。

 わたしとオクトール様がそれはもうラブラブである、という噂が立つくらい、仲が良いことをアピールする。具体的には、アインアルド王子がわたしをどんどん数字の大きい夫人にしていったのは、他の令嬢たちより魅力的でないからではなく、心がオクトール様のところにあったから、と認識してもらえるくらいに。

 婚約発表のパーティーの場では、アインアルド王子に婚約破棄されるのは計画の一環で、本当に結婚したかったオクトール王子と結ばれるための行動だった。無事に結ばれて良かった、と思ってもらえるのが最良のゴールである。
 この作戦が成功すれば、わたしは魅力のない『おさがり』というあだ名を払拭できるし、オクトール様の社交の練習にもなる。

 ついでに言えば、わたしがオクトール様に、オクトール様がわたしに、それぞれ夢中である、ということを周知できれば、第二、第三夫人を、という声が出てくる頻度が少なくなるだろうし、断る口実も出てくる。
 一石二鳥どころか一石三鳥と言っても過言ではない作戦だ。

 最高の作戦、と思ったのだが、オクトール様の表情は暗いままである。

「あら、駄目でしたか?」

 予定通り上手くいく、とは最初から思っていないが、作戦自体はいいと思ったのだが。
 わたしが頬に手を当てて、首を軽く傾げて、何が駄目なの? というアピールをする仕草を見せると、オクトール様は「作戦自体は悪くないし、理屈も分かる、が……」と、言葉を濁らせる。
 言葉を探すように目線を泳がせ、オクトール様は眼鏡を撫でながら、「具体的には?」と質問してきた。

「具体的に、とは?」

「だから、その……ラ……ええと、どう、仲をよく見せるのか、と」

 それは、と口を開いて、わたしはそのまま言い淀み、口を閉じた。

 か、肝心なところを考えていなかった!

 この世界は『シックス・パレット』というギャルゲーが下地になっている世界だから、貴族社会もそこまでガチガチではない。ゲームの世界に似ていてもゲーム本編ではないから、ゲームほどゆるゆるではないけど。
 でも、少なくとも、会話をしている相手に対して、抱き着いて接触し、会話に割り込むことくらいは普通に許される世界なのだ。

 だから、わたしが、「やっと婚約できて嬉しい♡」とか言いながら、オクトール様の腕に引っ付いて、熱視線を送っていても、本気で怒られることはない。人によっては、軽くたしなめられるかもしれないが。

 ――が、怒られるか否かと、わたしらしいか否かはまだ別問題である。

 ベルメ・ルビロスはそんなキャラじゃないし、わたし自身もそういう性格をしていない。結果として、そんな行動をする人間だとは周囲に見られていない。
 本当は仲が良かったんだ! と認知される前に、うわ何やってんだろう……とドン引きされるのが簡単に想像つく。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結済】後悔していると言われても、ねぇ。私はもう……。

木嶋うめ香
恋愛
五歳で婚約したシオン殿下は、ある日先触れもなしに我が家にやってきました。 「君と婚約を解消したい、私はスィートピーを愛してるんだ」 シオン殿下は、私の妹スィートピーを隣に座らせ、馬鹿なことを言い始めたのです。 妹はとても愛らしいですから、殿下が思っても仕方がありません。 でも、それなら側妃でいいのではありませんか? どうしても私と婚約解消したいのですか、本当に後悔はございませんか?

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

なにをおっしゃいますやら

基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。 エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。 微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。 エブリシアは苦笑した。 今日までなのだから。 今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

公爵令嬢の辿る道

ヤマナ
恋愛
公爵令嬢エリーナ・ラナ・ユースクリフは、迎えた5度目の生に絶望した。 家族にも、付き合いのあるお友達にも、慕っていた使用人にも、思い人にも、誰からも愛されなかったエリーナは罪を犯して投獄されて凍死した。 それから生を繰り返して、その度に自業自得で凄惨な末路を迎え続けたエリーナは、やがて自分を取り巻いていたもの全てからの愛を諦めた。 これは、愛されず、しかし愛を求めて果てた少女の、その先の話。 ※暇な時にちょこちょこ書いている程度なので、内容はともかく出来についてはご了承ください。 追記  六十五話以降、タイトルの頭に『※』が付いているお話は、流血表現やグロ表現がございますので、閲覧の際はお気を付けください。

皆さん、覚悟してくださいね?

柚木ゆず
恋愛
 わたしをイジメて、泣く姿を愉しんでいた皆さんへ。  さきほど偶然前世の記憶が蘇り、何もできずに怯えているわたしは居なくなったんですよ。  ……覚悟してね? これから『あたし』がたっぷり、お礼をさせてもらうから。  ※体調不良の影響でお返事ができないため、日曜日ごろ(24日ごろ)まで感想欄を閉じております。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

妹がいなくなった

アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。 メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。 お父様とお母様の泣き声が聞こえる。 「うるさくて寝ていられないわ」 妹は我が家の宝。 お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。 妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?

処理中です...