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わたしたちは適当に抵抗し、タイミングを狙って拘束される。そのまま連れ去られた場所には、数人の獣人の子供と、女性とも少女とも言える年頃の獣人女性がいた。もっとも、目隠しをさせられていて、下の方のちょっとした隙間から見えたわずかな情報なので、実際にはもっと人数がいるかもしれない。
無事にもぐりこめたようである。……わたしを庇っていたシオンハイトが、数度殴られていたから、無事、と言っていいのかは微妙なところだけれど。
でも、男女別のところに置かれるかと思っていたが、全員まとめているのはラッキーだったと言える。抜け出すときにシオンハイトを探して合流する手間が省けた。
「……ティアの方が拘束強くない?」
ぼそり、とシオンハイトがわたしの耳元にささやいてくる。
シオンハイトの言う通り、抵抗し、暴れた、成人男性であるシオンハイトよりも、わたしの方が拘束が多い。少し隙間から見えるとはいえ、わたしの方は目隠しまでされている。
「人間の女だから、しょうがないよ」
彼らは、わたしの『異能』の内容を知らないが、わたしが人間の女で、何かしら『異能』が使えることは分かっている。抵抗しても捕らえられている辺り、戦闘系の『異能』でないだろうと見当をつけられているかもしれないが、彼らにとってはわたしが『異能』を使って逃げる方法があるかも、と疑わざるを得ないのだ。
そうなれば、実際の『異能』がどうであれ、保険をかけて、シオンハイトよりも多く拘束をつけることは当然のことだ。
「わたしとしては、殴られてたシ……んん、ハイドのことの方が心配なんだけど」
「このくらいは平気。騎士団では、殴られる訓練もするの。避けられるのが一番いいけど、どうしようもないときとか、カウンターを狙うときとか、ダメージを最小限に押さえられるように」
戦争では今だ剣と馬が主流な世界ではあるものの、敵が必ずしも剣を初めとした武器を持っているわけではない。剣や馬を失えば捨て身になって殴ってくる人も少なくないし、戦争相手、というだけでなく、警護に当たるなら暴漢の対策もしないといけない、のだとか。
「痛くない、っていうのは嘘だけど、このくらいなら平気。動けるよ」
「……その言葉、信じるからね」
わたしがそう言うと、シオンハイトの方から、息を飲む声が聞こえた。
「……絶対に、裏切らないから」
強く、ハッキリとした言葉。目隠しをされていて、シオンハイトの顔が見れないのが、惜しいと思ってしまった。
無事にもぐりこめたようである。……わたしを庇っていたシオンハイトが、数度殴られていたから、無事、と言っていいのかは微妙なところだけれど。
でも、男女別のところに置かれるかと思っていたが、全員まとめているのはラッキーだったと言える。抜け出すときにシオンハイトを探して合流する手間が省けた。
「……ティアの方が拘束強くない?」
ぼそり、とシオンハイトがわたしの耳元にささやいてくる。
シオンハイトの言う通り、抵抗し、暴れた、成人男性であるシオンハイトよりも、わたしの方が拘束が多い。少し隙間から見えるとはいえ、わたしの方は目隠しまでされている。
「人間の女だから、しょうがないよ」
彼らは、わたしの『異能』の内容を知らないが、わたしが人間の女で、何かしら『異能』が使えることは分かっている。抵抗しても捕らえられている辺り、戦闘系の『異能』でないだろうと見当をつけられているかもしれないが、彼らにとってはわたしが『異能』を使って逃げる方法があるかも、と疑わざるを得ないのだ。
そうなれば、実際の『異能』がどうであれ、保険をかけて、シオンハイトよりも多く拘束をつけることは当然のことだ。
「わたしとしては、殴られてたシ……んん、ハイドのことの方が心配なんだけど」
「このくらいは平気。騎士団では、殴られる訓練もするの。避けられるのが一番いいけど、どうしようもないときとか、カウンターを狙うときとか、ダメージを最小限に押さえられるように」
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「痛くない、っていうのは嘘だけど、このくらいなら平気。動けるよ」
「……その言葉、信じるからね」
わたしがそう言うと、シオンハイトの方から、息を飲む声が聞こえた。
「……絶対に、裏切らないから」
強く、ハッキリとした言葉。目隠しをされていて、シオンハイトの顔が見れないのが、惜しいと思ってしまった。
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