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 わたしの赤茶の髪は紺色に、黒い目は暗い緑色に。ついでに貴族令嬢だからと長く伸ばしていた髪をばっさり切る。顔が隠れやすいように、前髪やサイドの髪は少し長めのままだけれど。

 シオンハイトは最後まで髪を切ることを渋っていたけれど、どうせ伸びるから、と説得して、彼にばっさりいってもらった。
 時間がないからと、とにかく短くすることを最優先にしたから、結構がたがたに鳴るかと思いきや、シオンハイトは器用なのか、それなりに違和感なく切れている。流石にプロではないので、細かいところは少し不自然なものの、夜なのでそこまで目立たないだろう。

 ついでに鼻やあご周りに影があるように見せるため、不自然にならない程度に暗い茶色をいれる。それから、目元にほくろを二個つけると、わたしの想像以上に、別人へ変身できた。
 わたしとよく接している人間が、近くで見れば分かるかもしれないが、遠目だったり、普通にすれ違う分には、他人の空似が通用するレベルになったと思う。

 対するシオンハイトは、白と黒の縞模様だった髪としっぽを黒一色に、オレンジっぽい金の瞳は淡い緑と青色のオッドアイにしている。虎が黒猫になってしまった。
 そして――。

「……これ、ちゃんと後で元に戻るよね?」

 わたしは、シオンハイトの顔を見ながら、少しばかり不安になった。
 というのも、わたしは顔の印象を変えるためにほくろをつけたが、シオンハイトはあごの辺りに傷跡をつけたのである。実際は、わたしの『異能』で赤茶色に変色させただけなのだが、思いのほか綺麗に、といったら変だが、くっきりと傷跡になってしまったのだ。

 ほくろは生きていれば増えることもあるから、万が一うまく消せなくても困らないが、シオンハイトの方は消せないとまずい。ちょっとした傷跡をつけるつもりが、結構派手になってしまったのである。

「でも、僕の顔の方が国内では知れ渡ってるから。目を引くものがあった方が、バレにくいんじゃない。……ララの髪の方が問題だよ」

「いや、髪は伸びるし……。そりゃ、ここまで綺麗に伸ばすには時間がかかるだろうけど」

 まだ気にするの、と思いながら、わたしは毛先をいじる。
 ちなみに、切った髪の毛はひとまとめにして持っていき、適当な場所で捨てることにした。明日の朝まで使用人がこないとはいえ、明日になれば掃除に誰かが入る。そのときに髪の束があって、わたしたちがいなくなれば、変装していると、そしてわたしは髪を切ったと一発で分かってしまう。
 少しでも時間を稼ぐために、持っていこう、となったのだ。

「さて……いこう、ララ」

 シオンハイトが、ベッドの傍に座り、下へともぐりこむ。ベッドの下にも絨毯が惹かれているのだが、一か所だけ、ベッドの足が絨毯を押さえていない場所がある。
 そこをぺらっとめくると、床下へと続く扉が現れた。
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