34 / 35
日影射すカスミソウ
34
しおりを挟む
「い、一体彼とはどういう関係なん……」
「おらお前ら席付け~」
引き攣った顔で食いかかってくるが、先生によって無理矢理に遮られてしまった。
「んじゃそう言う事だから、よろしくね」
そう言って彼女は自分の席に戻ってしまった。
「何だったんだ、一体……」
まぁどうせあの金持ちを遠ざける為に使われたんだと男は無理矢理納得した。
だが、あの金持ちはそれで納得しなかったらしく、放課後男が教室から出たのを見計らい、左右から腕を掴んで、人気の無い階段下に慣れた手つきで連れて行ってしまった。
「おい、何でお前なんかが誘われてるんだよ。一体どういう関係なんだ?」
「っ! ぼ、僕も分かんないよ」
壁に男を押し付けそう言ってくるが、男からしても、あの時助けてもらった以外に接点など一回も無かった。
…とー!
「ん?」
遠くから何かが聞こえてきた。
「ちょっとー! あんた達またやってんの!?」
その音の正体は廊下を走って来た彼女の叫び声だった。
「おぉ! やっぱ俺と帰りたかったのか?」
壁に押し付けていた男を放り投げて金持ち共は彼女に近づくが彼女は無視して僕の前に立っていたフードの取り巻きを突き飛ばしながら僕の元へ駆け寄って来た。
「痛って」
「ちょっと、大丈夫?」
「う、うん」
「おい! てめぇ何ぶつかってんだよ!」
「うっさいわねぇ、ほら行くわよ!」
彼女はそう叫ぶフードの取り巻きを無視して男の手を取ってそのまま逃げていった。
「ちょ、ちょっと、待って、もう、無理」
元々運動をあまりしない方だった男は校門を出て少しした所で完全に息が切れ、引きずられる様に走る中で小さく止まる様言うので精一杯だった。
「あっ、ごめんね、大丈夫? 水飲む?」
男は心配そうに水をくれる彼女にドキリとしながら水を受け取り勢いよく飲んだ。
「ありがとう……助けてくれて、でも良かったの?」
「ん? 何が?」
「何がって、僕に関わると君もいじめの対象になっちゃうよ?」
「ならもし今後、私がいじめられてたら君は無視するの?」
「す、する訳ないよ!」
「そういうことよ!」
そう言ってニコッと彼女は笑った。この時点で男の心は完全に彼女に握りしめられてしまったのだ。
「それに、私が君とお友達になったんだよ? いじめなんて許される訳無いでしょ!」
「とんだ謎理論だよ……でも、ありがとうお陰で元気出たよ」
「それなら良かった! じゃ、また明日学校でね!」
笑顔で手を振りながら帰る彼女は夕日に照らされてとても綺麗だった。
翌日男が少し怯えつつも教室に行ったが、昨日杞憂した様な事は何一つなかった。
「あっ! おはよー!」
男に気付いた彼女は友人との会話をやめて男の元へやって来た。
「友達と話してたんじゃ?」
「いいのいいの! だって、私達友達でしょ?」
彼女はそう無駄に大きな声で言った。
「うん」
「もし何か有ったらすぐ言うんだよ?」
「そうするよ」
しかし、それ以来週一程度で行われてた男に対するカツアゲなんかは不思議と一切起こる事はなかった。また彼女はもし何か有ったらと男と一緒に帰ったりする様になり、2人は自然と本当の友人の様に仲良くなっていった。
そんな日々が卒業まで続き、これまで女性と話した事なんて一切無かった男が彼女をより一層好きになるのは火を見るより明らかだった。
「おらお前ら席付け~」
引き攣った顔で食いかかってくるが、先生によって無理矢理に遮られてしまった。
「んじゃそう言う事だから、よろしくね」
そう言って彼女は自分の席に戻ってしまった。
「何だったんだ、一体……」
まぁどうせあの金持ちを遠ざける為に使われたんだと男は無理矢理納得した。
だが、あの金持ちはそれで納得しなかったらしく、放課後男が教室から出たのを見計らい、左右から腕を掴んで、人気の無い階段下に慣れた手つきで連れて行ってしまった。
「おい、何でお前なんかが誘われてるんだよ。一体どういう関係なんだ?」
「っ! ぼ、僕も分かんないよ」
壁に男を押し付けそう言ってくるが、男からしても、あの時助けてもらった以外に接点など一回も無かった。
…とー!
「ん?」
遠くから何かが聞こえてきた。
「ちょっとー! あんた達またやってんの!?」
その音の正体は廊下を走って来た彼女の叫び声だった。
「おぉ! やっぱ俺と帰りたかったのか?」
壁に押し付けていた男を放り投げて金持ち共は彼女に近づくが彼女は無視して僕の前に立っていたフードの取り巻きを突き飛ばしながら僕の元へ駆け寄って来た。
「痛って」
「ちょっと、大丈夫?」
「う、うん」
「おい! てめぇ何ぶつかってんだよ!」
「うっさいわねぇ、ほら行くわよ!」
彼女はそう叫ぶフードの取り巻きを無視して男の手を取ってそのまま逃げていった。
「ちょ、ちょっと、待って、もう、無理」
元々運動をあまりしない方だった男は校門を出て少しした所で完全に息が切れ、引きずられる様に走る中で小さく止まる様言うので精一杯だった。
「あっ、ごめんね、大丈夫? 水飲む?」
男は心配そうに水をくれる彼女にドキリとしながら水を受け取り勢いよく飲んだ。
「ありがとう……助けてくれて、でも良かったの?」
「ん? 何が?」
「何がって、僕に関わると君もいじめの対象になっちゃうよ?」
「ならもし今後、私がいじめられてたら君は無視するの?」
「す、する訳ないよ!」
「そういうことよ!」
そう言ってニコッと彼女は笑った。この時点で男の心は完全に彼女に握りしめられてしまったのだ。
「それに、私が君とお友達になったんだよ? いじめなんて許される訳無いでしょ!」
「とんだ謎理論だよ……でも、ありがとうお陰で元気出たよ」
「それなら良かった! じゃ、また明日学校でね!」
笑顔で手を振りながら帰る彼女は夕日に照らされてとても綺麗だった。
翌日男が少し怯えつつも教室に行ったが、昨日杞憂した様な事は何一つなかった。
「あっ! おはよー!」
男に気付いた彼女は友人との会話をやめて男の元へやって来た。
「友達と話してたんじゃ?」
「いいのいいの! だって、私達友達でしょ?」
彼女はそう無駄に大きな声で言った。
「うん」
「もし何か有ったらすぐ言うんだよ?」
「そうするよ」
しかし、それ以来週一程度で行われてた男に対するカツアゲなんかは不思議と一切起こる事はなかった。また彼女はもし何か有ったらと男と一緒に帰ったりする様になり、2人は自然と本当の友人の様に仲良くなっていった。
そんな日々が卒業まで続き、これまで女性と話した事なんて一切無かった男が彼女をより一層好きになるのは火を見るより明らかだった。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
JC💋フェラ
山葵あいす
恋愛
森野 稚菜(もりの わかな)は、中学2年生になる14歳の女の子だ。家では姉夫婦が一緒に暮らしており、稚菜に甘い義兄の真雄(まさお)は、いつも彼女におねだりされるままお小遣いを渡していたのだが……
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました
ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら……
という、とんでもないお話を書きました。
ぜひ読んでください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる