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3章 とこしえの大地亀ベルガド攻略編

304 いざ、おっパブへ! Part 7

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「勇者様、いかがですか。当店のサービスは」

 席に戻ったところで、支配人の男が再び俺たちのところにやってきた。

「いや、そりゃもう、サイコーよ? サイコーのおっぱいだよぉ……」

 俺は隣の女の肩に手を回しながら答えた。ぐへへ。

「ありがとうございます。では、そのお気持ちを、一筆したためていただけませんか」
「一筆?」
「はい、こちらに」

 と、支配人は携えていた小さな板切れのようなものを俺に差し出した。見るとそれは色紙だった。ペンも一緒に添えられている。

「あー、はいはい。俺のサインが欲しいわけね」

 そうそう、ラーメン屋とかに飾ってあるよな。有名人の来店記念のサイン色紙。あんな感じで一筆書けばいいんだな。それぐらいお安い御用だぜ。さらさら。俺はすぐにそこに「勇者アルドレイ見参! ももいろネクタルのおっぱい最高!」と書いた。

「こんな感じで、どうよ?」
「素晴らしいです! ありがとうございます!」

 支配人の男は満面の笑みで俺がサインした色紙を受け取った。あとで店のどこかに飾るつもりなんだろうか。ふふ、喜んでもらえて何よりだぜ。

 しかし、それで支配人の男の用事は終わりではないようだった。

「では勇者様、ぜひ彼女たちそれぞれのおっぱいの感想をお聞かせください!」
「それぞれ? 一人ずつ感想を言えってことか?」
「はい、今後の参考にさせていだだきます。ぜひ彼女たちのおっぱいをレビューしてください!」

 支配人の男は真剣そのものだった。

「いや、そんな顔でおっぱいレビューしてくれって言われても」

 俺、別に特別おっぱいに詳しいおっぱいソムリエとかじゃないからね? むしろ、おっぱいのことは、ほとんど何も知らないほうだからね?

「だいたい、おっぱいなんて、大きいか小さいかぐらいしか違いがないだろ――」
「何をおっしゃいますか! おっぱいはその大小以外にも、さまざまな評価軸が存在するのですよ! おっぱいは、一般に考えられているよりもずっと奥行きのある世界なのです!」
「お、奥行きのある……世界だと?」

 おっぱいそのものに物理的に奥行きがあることは重々理解しているが、おっぱいの世界に奥行きだと? なんかすごい話になってきたぞ?

「具体的には、どういう評価軸になるんだい? その、奥行きとやらを醸し出しているものは?」
「はい。大小以外に多くの方が注目されているポイントとしては、やはりその弾力と垂れ具合でしょう。おっぱいの弾力というものは一般に、あればあるだけ若々しくすばらしいものと思われがちですが、実際ありすぎても嘘くさいといいますか、『何か中に入れて上げ底にしてるんじゃないの?』と思われがちです。弾めば弾むほどよいものではないのです! 一番大切なのはナチュラルさ、天衣無縫の飾らない美しさなのです!」
「天衣無縫か……」

 なんという含蓄のあるコメントだろう。さすがおっぱいのプロ。

「また、中には逆に、加齢により弾力を失いつつある垂れおっぱいを好むお客様もいらっしゃいます。必ずしも若々しさだけが求められる要素ではないのです」
「うば桜おっぱいか……」

 なんて趣がある世界なんだろう。さすがおっぱいの達人。

「また、おっぱいといえば欠かせないのが乳首ですが、その位置や向き、大きさにも、お客様それぞれにこだわりがあります。もちろん当店では専用のコスチュームにより乳首は隠させていただいておりますが、その布地は経営努力により可能な限り薄く小さくさせていただいております。つまり、乳首の形や向きは、コスチュームの上からでもわかるのでございます。乳首はほとんと見えているのと同じ状態でございます!」
「マジか!」

 俺はあわてて周りの女たちの乳首を確認した。すると確かに、支配人の言う通り、その乳首を隠しているマイクロビキニの布地は相当に薄いようで、乳首の形はうっすらわかるようになっていた。おおおおっ! マジで乳首見えてるのと同じ状態じゃん、これ! なぜ今までここに気づかなかった、俺っ!

「勇者様は、どのような乳首をお好みですか?」
「えっ」
「小さいほうがよいですか、大きいほうがよいですか?」
「え、いや、普通ぐらいで……」

 正直よくわからんし!

「では、乳輪は?」
「そ、それも普通ぐらいで」
「色合いは?」
「き、きれいな桃色なら別に……」
「外向きや、上向き下向きなど、乳首の向きは様々ですが?」
「む、向きには特にこだわらないかなって……」
「乳毛はあったほうがいいでしょうか?」
「そ、それは処理してください」
「感度は?」
「良好で」

 もうなんか質問が矢継ぎ早に飛んできて怖い。なんなの、このおっぱいのプロ。

「なるほど、勇者様の乳首のお好み、しかと聞かせていただきました」

 支配人の男は何やらメモしている。

「では、さっそくそれを踏まえて、彼女たちのおっぱいをレビューしてください!」
「あ、はい……」

 もはや完全にあちらのペースで逆らえなかった。俺は支配人に指名された女のおっぱいを次々とさわって、その感想を言う羽目になった。まあ、おっぱいソムリエでもない俺は「いい感じだね」といった、シンプルでつたない言葉しか出てこなかったわけだったが。

 ただ、そういう感想でも問題ないようで、支配人の男は俺が何か言うたびにメモするのだった。

「……トモキ、お前はもしや、この店に来た目的を忘れてないか?」

 と、また俺の隣でヤギが言った。心底イライラしているような口調で。
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