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サラマンダー編
第6話 ムウマの町
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二時間ほど歩くと、森が途切れ、川が流れている。街道は木で出来た橋に続いていた。向こう側に木々は生えているが、森林と言うほどではない。
目の前を流れる川は川幅が広く、流れはあまりない。川上は遠くに山があり、川下は平野になっていた。
エルメラが先に飛びながら説明する。
「ここはロオサ村から一番近い川、村の人がよく釣りにくるよ」
わたしにとってはあまり有用な情報ではない。
「ふーん。ところで町まであとどのくらい?」
「あとここまでかかった時間の二倍かな」
「あ、あと二倍……」
わたしは思わず地面に膝をつく。予想以上に進みが遅い。たぶん、子供の身体に戻ったからだ。歩幅も狭く、進む距離も短いのも当たり前。
ふと、ある物が目に付く。
「町はどっちなの? 川上? 川下?」
「この川下の方だよ」
エルメラは山の方ではなく平野の方を指さした。
「ふむ」
わたしは橋のたもとに停められた古い木製の小舟を見つめる。
「ねぇ。もしかして、小舟を漕いでいったら早くつくんじゃない? 舟を借りられないかな?」
小舟を指しながら、エルメラを見上げた。
「舟を借りるのはいいけど、川に流れが無いからすっごく漕がないといけないよ。結局歩くのより疲れると思う。街道を行った方が早いよ」
確かに山から平野へと土地は下ってはいるものの、ほとんど勾配がない。だから、川は土気色で流れも緩やかだ。
「橋を渡って街道を行こう、ユメノ」
「ねぇ。せっかく、水の精霊をゲットしたんだからさ」
わたしは首を捻るエルメラに、ニヤリと笑って見せた。
小舟に乗り込んで一路川下を目指す。そして、気合の入った一言を放った。
「スイリュウ! 全速前進!」
青い狼だったときより、透明な水に近い体になった水の精霊スイリュウ。小舟の下に潜り込み、水の中を駆けだした。
「うわっ!」
想像以上にスピードが出て、小舟の縁に思わず掴まる。
「待って、待って!」
エルメラも予測していなかったようで、わたしの髪に慌ててしがみついた。
確かに漕ぐよりずっと早いけれど、わたしはもっと急ぎたかった。
「よーし、スイリュウ! スピードアップよ!」
「ええええ!」
わたしの言う通り、スイリュウはさらに速くなる。景色が高速で流れるように変わった。まるでジェットエンジンをつけた水中バイクのようだ。
この調子なら町まであっという間に着きそうだ。わたしはのんびり旅をしている場合じゃないから、なおさら声に気合が入った。
――二十分後。
「う、うーん。まだ目が回るー」
「わたしもー」
地面に降り立って、フラフラと千鳥足で歩く。あまりに舟を速く走らせたせいだ。地面がまだ揺れている気がする。
「だけど、これでかなり早く着いた!」
まだ陽も傾いていない。首を振ってシャキッと背を伸ばす。
目の前には町の入り口がある。そこには二人の男の人が立っていたけれど、軽く会釈するだけですんなり入ることが出来た。
入ってみると、たくさんの家が連なっている。わたしはキョロキョロしながら、町の中に入った。道は石畳で舗装されていて、家のほとんどが三階建てだ。優しい黄色の壁とレンガ色の屋根で統一されている。
木造の家ばかりのロオサ村と比べても断然、可愛らしく都会的だ。
「ここはムウマの町だよ。ロオサ村の人もたまに物を売りに来るの」
「へー」
「ところで、エルメラは何しているの?」
エルメラはフードをかぶっているわたしの頭に伏せていた。ギリギリ見えるか見えないぐらいの顔だけをのぞかせている。
エルメラはわたしにしか聞こえないような小声で言う。
「しー。妖精はとっても珍しいから高くで売れるの。ふらふらしていたら怪しい人に捕まっちゃうかも」
「そうなんだ」
確かに町を見ても、ロオサ村にだって他に妖精は見かけなかった。しかし、ちらちらと行き交う人々は、わたしたちに視線をよこしてきた。
何だろう。子供が一人で旅をしていることが珍しいのかもしれない。
エルメラがある家の前で、わたしの髪を軽く引っ張った。
「あ! ユメノ。ここが道具屋だよ」
確かに薬の瓶をかたどった鉄の吊り看板が入り口に下げられている。旅に必要なものがあるかもしれない。わたしは子供にとってはずっしりと重い扉を開けた。
「こんにちはー」
中に入るとすぐにカウンターがある。奥の棚にはたくさんの瓶や薬草らしきものが置かれていた。店番をしていたおじいさんは、読んでいた新聞を畳んでこちらに目を向ける。
「はい。こんにちは。おや、君は……」
丸眼鏡を上下させながら、おじいさんはまじまじとわたしを見て来た。あまりに見られるので、何かおかしな所があるのだろうかと思ってしまう。
「な、なんですか?」
「精霊使いだね。これは珍しい」
「えっ! 分かるんですか!?」
名乗ってもいないのに、どうしてだろう。わたしの様子におじいさんはおかしそうに笑いだす。
「ほっほっ。鎮霊の杖を持つのは精霊使いと決まっているだろう」
「あ、ああ。そっか」
わたしは右手に持つ杖を見る。この世界でも、これだけ大きなクリスタルのついた杖は珍しいはずだ。だから町の人もわたしのことを見ていたのだろう。
「それで精霊使いのお嬢さん、お買い物かね?」
「はい!」
優しそうなおじいさんでよかった。さっそく必要なものを見せてもらう。
いくつか買い物をすると、おじいさんは「そうそう」と言って店の奥へ向かった。
「ところで、精霊使いならこういう商品もあるよ」
おじいさんは鍵のついたお弁当箱ぐらいの箱を見せてくれた。鍵を開けて見せてくれたのは、赤いルビーみたいな石がついた指輪だ。
「なんですか? これ」
「これは言霊を増幅させる石のついた言霊の指輪だよ。これは赤いから火の精霊によく効く。使役させるときもよく言霊が通じるし、精霊同士の戦いでも攻撃力が上がるんだ」
つまりゲーム的に言えば、ステータスを補助してくれるアクセサリーだ。なるだけ早く精霊の王を攻略して、元の世界に帰るためには全財産失っても欲しい。
「下さい!」
「まいどあり。それでは――」
わたしはおじいさんの口から出てきた数字を聞いて、目が飛び出そうになった。
朗らかな空気が漂う町の中を、とぼとぼと歩く。
「はぁ。まぁ、そうだよね」
エルメラは分かっていたという様子で頷いた。
「うんうん。ああいう特殊な道具は高いものだよ」
手持ちのお金ではとてもじゃないが買えない。そもそも、お金自体あまり用意されていないと、道具屋の相場を見て感じた。
わたしは頭の上のエルメラを見上げて尋ねる。
「というかさ。お金、あまりないけれどこの先、大丈夫? もう今日にも精霊の王に会えるっていうならいいけど、宿に泊まるためにもお金が必要なんじゃない?」
「泊るところなら大丈夫。その杖を持っていれば精霊使いだって分かるから、どの町でも宿屋は半額で泊まれて、民家に頼んでもタダで泊めてもらえる。みんな、暴れる精霊に困っているから歓迎してもらえるよ」
「なんだか巡礼する僧侶みたい」
いや、実際この世界ではそうなのだろう。町の人々は近づいては来ないものの、尊敬の念が送られて来ている気がした。
エルメラがうーんと唸る。
「でも、いざというときの為にお金が必要だよね」
確かにステータスを上げるアクセサリーは買えないにしても、乗り合い馬車に乗るのには流石にお金がいるだろう。
「お金って、どうやって稼ぐの?」
わたしが元居た世界なら、オーディションを受けて役を貰って声を当てる。すると、お給料も発生する。けれど、ここは異世界の上に、わたしは十二歳の身体に戻っている。出来ることはお手伝い程度の仕事しかないだろう。
「うーん、これはユメノ次第なんだけど……」
エルメラが何か提案しようとしたときだ。バタバタと慌ただしい足音が聞こえてくる。
「おい! 広場で面白いことが始まるって!」
「早く行こう!」
わたしの後ろを子供たちがわらわらと走り抜けて行った。
「何だろ?」
「気になるから行ってみよう、ユメノ」
本当は道具屋で買った地図を見て、これからの行程をチェックしたかったけれど、確かに気になるのでわたしも広場へと向かった。
目の前を流れる川は川幅が広く、流れはあまりない。川上は遠くに山があり、川下は平野になっていた。
エルメラが先に飛びながら説明する。
「ここはロオサ村から一番近い川、村の人がよく釣りにくるよ」
わたしにとってはあまり有用な情報ではない。
「ふーん。ところで町まであとどのくらい?」
「あとここまでかかった時間の二倍かな」
「あ、あと二倍……」
わたしは思わず地面に膝をつく。予想以上に進みが遅い。たぶん、子供の身体に戻ったからだ。歩幅も狭く、進む距離も短いのも当たり前。
ふと、ある物が目に付く。
「町はどっちなの? 川上? 川下?」
「この川下の方だよ」
エルメラは山の方ではなく平野の方を指さした。
「ふむ」
わたしは橋のたもとに停められた古い木製の小舟を見つめる。
「ねぇ。もしかして、小舟を漕いでいったら早くつくんじゃない? 舟を借りられないかな?」
小舟を指しながら、エルメラを見上げた。
「舟を借りるのはいいけど、川に流れが無いからすっごく漕がないといけないよ。結局歩くのより疲れると思う。街道を行った方が早いよ」
確かに山から平野へと土地は下ってはいるものの、ほとんど勾配がない。だから、川は土気色で流れも緩やかだ。
「橋を渡って街道を行こう、ユメノ」
「ねぇ。せっかく、水の精霊をゲットしたんだからさ」
わたしは首を捻るエルメラに、ニヤリと笑って見せた。
小舟に乗り込んで一路川下を目指す。そして、気合の入った一言を放った。
「スイリュウ! 全速前進!」
青い狼だったときより、透明な水に近い体になった水の精霊スイリュウ。小舟の下に潜り込み、水の中を駆けだした。
「うわっ!」
想像以上にスピードが出て、小舟の縁に思わず掴まる。
「待って、待って!」
エルメラも予測していなかったようで、わたしの髪に慌ててしがみついた。
確かに漕ぐよりずっと早いけれど、わたしはもっと急ぎたかった。
「よーし、スイリュウ! スピードアップよ!」
「ええええ!」
わたしの言う通り、スイリュウはさらに速くなる。景色が高速で流れるように変わった。まるでジェットエンジンをつけた水中バイクのようだ。
この調子なら町まであっという間に着きそうだ。わたしはのんびり旅をしている場合じゃないから、なおさら声に気合が入った。
――二十分後。
「う、うーん。まだ目が回るー」
「わたしもー」
地面に降り立って、フラフラと千鳥足で歩く。あまりに舟を速く走らせたせいだ。地面がまだ揺れている気がする。
「だけど、これでかなり早く着いた!」
まだ陽も傾いていない。首を振ってシャキッと背を伸ばす。
目の前には町の入り口がある。そこには二人の男の人が立っていたけれど、軽く会釈するだけですんなり入ることが出来た。
入ってみると、たくさんの家が連なっている。わたしはキョロキョロしながら、町の中に入った。道は石畳で舗装されていて、家のほとんどが三階建てだ。優しい黄色の壁とレンガ色の屋根で統一されている。
木造の家ばかりのロオサ村と比べても断然、可愛らしく都会的だ。
「ここはムウマの町だよ。ロオサ村の人もたまに物を売りに来るの」
「へー」
「ところで、エルメラは何しているの?」
エルメラはフードをかぶっているわたしの頭に伏せていた。ギリギリ見えるか見えないぐらいの顔だけをのぞかせている。
エルメラはわたしにしか聞こえないような小声で言う。
「しー。妖精はとっても珍しいから高くで売れるの。ふらふらしていたら怪しい人に捕まっちゃうかも」
「そうなんだ」
確かに町を見ても、ロオサ村にだって他に妖精は見かけなかった。しかし、ちらちらと行き交う人々は、わたしたちに視線をよこしてきた。
何だろう。子供が一人で旅をしていることが珍しいのかもしれない。
エルメラがある家の前で、わたしの髪を軽く引っ張った。
「あ! ユメノ。ここが道具屋だよ」
確かに薬の瓶をかたどった鉄の吊り看板が入り口に下げられている。旅に必要なものがあるかもしれない。わたしは子供にとってはずっしりと重い扉を開けた。
「こんにちはー」
中に入るとすぐにカウンターがある。奥の棚にはたくさんの瓶や薬草らしきものが置かれていた。店番をしていたおじいさんは、読んでいた新聞を畳んでこちらに目を向ける。
「はい。こんにちは。おや、君は……」
丸眼鏡を上下させながら、おじいさんはまじまじとわたしを見て来た。あまりに見られるので、何かおかしな所があるのだろうかと思ってしまう。
「な、なんですか?」
「精霊使いだね。これは珍しい」
「えっ! 分かるんですか!?」
名乗ってもいないのに、どうしてだろう。わたしの様子におじいさんはおかしそうに笑いだす。
「ほっほっ。鎮霊の杖を持つのは精霊使いと決まっているだろう」
「あ、ああ。そっか」
わたしは右手に持つ杖を見る。この世界でも、これだけ大きなクリスタルのついた杖は珍しいはずだ。だから町の人もわたしのことを見ていたのだろう。
「それで精霊使いのお嬢さん、お買い物かね?」
「はい!」
優しそうなおじいさんでよかった。さっそく必要なものを見せてもらう。
いくつか買い物をすると、おじいさんは「そうそう」と言って店の奥へ向かった。
「ところで、精霊使いならこういう商品もあるよ」
おじいさんは鍵のついたお弁当箱ぐらいの箱を見せてくれた。鍵を開けて見せてくれたのは、赤いルビーみたいな石がついた指輪だ。
「なんですか? これ」
「これは言霊を増幅させる石のついた言霊の指輪だよ。これは赤いから火の精霊によく効く。使役させるときもよく言霊が通じるし、精霊同士の戦いでも攻撃力が上がるんだ」
つまりゲーム的に言えば、ステータスを補助してくれるアクセサリーだ。なるだけ早く精霊の王を攻略して、元の世界に帰るためには全財産失っても欲しい。
「下さい!」
「まいどあり。それでは――」
わたしはおじいさんの口から出てきた数字を聞いて、目が飛び出そうになった。
朗らかな空気が漂う町の中を、とぼとぼと歩く。
「はぁ。まぁ、そうだよね」
エルメラは分かっていたという様子で頷いた。
「うんうん。ああいう特殊な道具は高いものだよ」
手持ちのお金ではとてもじゃないが買えない。そもそも、お金自体あまり用意されていないと、道具屋の相場を見て感じた。
わたしは頭の上のエルメラを見上げて尋ねる。
「というかさ。お金、あまりないけれどこの先、大丈夫? もう今日にも精霊の王に会えるっていうならいいけど、宿に泊まるためにもお金が必要なんじゃない?」
「泊るところなら大丈夫。その杖を持っていれば精霊使いだって分かるから、どの町でも宿屋は半額で泊まれて、民家に頼んでもタダで泊めてもらえる。みんな、暴れる精霊に困っているから歓迎してもらえるよ」
「なんだか巡礼する僧侶みたい」
いや、実際この世界ではそうなのだろう。町の人々は近づいては来ないものの、尊敬の念が送られて来ている気がした。
エルメラがうーんと唸る。
「でも、いざというときの為にお金が必要だよね」
確かにステータスを上げるアクセサリーは買えないにしても、乗り合い馬車に乗るのには流石にお金がいるだろう。
「お金って、どうやって稼ぐの?」
わたしが元居た世界なら、オーディションを受けて役を貰って声を当てる。すると、お給料も発生する。けれど、ここは異世界の上に、わたしは十二歳の身体に戻っている。出来ることはお手伝い程度の仕事しかないだろう。
「うーん、これはユメノ次第なんだけど……」
エルメラが何か提案しようとしたときだ。バタバタと慌ただしい足音が聞こえてくる。
「おい! 広場で面白いことが始まるって!」
「早く行こう!」
わたしの後ろを子供たちがわらわらと走り抜けて行った。
「何だろ?」
「気になるから行ってみよう、ユメノ」
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