魔法使いの少年と学園の女神様

龍 翠玉

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39.女神様のガールズトーク 後編

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「…………え?…………今、何て言ったの?」

 私の聞き間違いじゃなければ、なっちゃんはユウ君としたいって言ったよね。
 汗をかくような温度じゃないのに、背中をつつ~っと汗が流れていくような気がした。

「優希さんとエッチしてみたいって言いましたよ?ただ……もちろん私は浩介さんを裏切れませんし、穂香さんも優希さんもダメっていうのはわかってますから、無理なのはわかってますけど……」
「なんで?なんでしたいの?何か理由があるんでしょ?」

 そう言うとなっちゃんは、甘い珈琲を飲んで一息ついてから話し始めた。

「一言で言うと、好奇心ですね。私と浩介さんみたいなのじゃなくて、大体のカップルは男性が攻める側じゃないですか?」
「うん……まぁ、そうよね?」
「穂香さんはないと思いますが、私は浩介さんに全部任せた時は、何というか……満たされないんですよね。逆の時はとても満たされるのですが……私の性格のせいもあると思います。そんな時に、穂香さんとこういう話をするようになって、話を聞くたびに羨ましいって思うようになりました。それからですかね……一度だけでいいからどんな感じなのか、してみたいって……」

 これってなっちゃんに聞かれるがまま、色々答えてきた私のせいもあるのかな。そんなことないよね。
 なっちゃんは何も知らなくて純粋そうな見た目とは裏腹に、とてもエッチだってことはクラスの女子はみんな知ってる。そういうことの相談は、みんななっちゃんにしてるから。なっちゃんは恥ずかしがらずに、全部ズバズバと答えてくれるのよね。
 男子生徒は知らない女子だけの秘密っていうのかしら。なっちゃんの携帯のアプリのトーク履歴は、男子には絶対見せられないような内容ばかりだしね。
 そんななっちゃんにはエッチな事で悩みとかは何もないと思ってた。でも、そんなことないんだね……なっちゃんも私と同い年の普通の女の子なんだし。

「でも……誰でもいいとかそんなんではなくて……はっきり言ってそこら辺の人にされるくらいなら、死んだ方がマシです」
「死んだ方がマシって……なっちゃんらしいね……でも、なんでユウ君なの?」

 私もユウ君以外は考えられないから同じかもだけど。

「浩介さんを除けば一番仲が良いですし……穂香さんか色々聞いてますからね。あとは、優希さん自身が私にあまり興味ないところですね」
「ユウ君がなっちゃんに興味ないってどういう事?」
「優希さんからは他の男子みたいな、いやらしい視線を感じないんです。一人の友人として見てもらえてるのがいいです。これは穂香さんと仲良くなる前からそうなので、単純に私に魅力がないだけかもしれませんが……そういうこともあって、優希さんなら、後々面倒くさい事にならないと思うので……優希さん以外には選択肢がありません」
「……そうなんだね……でも……」
「無理なのはわかってますから……いいんですよ……もし、したとしても後で後悔するかもしれないですしね。やっぱり、私って欲求不満なんですかね?穂香さん、どう思いますか?」
「え?いや……それって……単純に風間君ともっと沢山すればいいんじゃない?」

 私は欲求不満とかなったことない……と思う。私的には、ユウ君が欲求不満になってなければいいから。お互いにしたい時は正直に言おうって、あまり我慢しすぎないようにしようって決めてる。
 これも同棲しているからこその決め事よね。

「む~それはちょっと難しいんですよ。浩介さんは優希さんみたいに体力もないし、絶倫でもないんです。あと、するとしたらどちらかの家なんですが、親や兄弟がいるので穂香さん達みたいに激しくできないんですよね」
「あの~私達ってそんなに激しくないと思うよ?普通じゃないかな?」

 他の人のなんて見たこともないから、比較対象とかはないけど。私達は普通だと思いたい。
 けれど、なっちゃんから私に向けられているのは疑いの眼差しだった。

「……ほんとにそう思ってますか?今までに穂香さんから得た情報からは、とてもそんな風には思えませんが……あ……ふふふ……いいこと思いつきました」
「な、何?なんか嫌な予感がするんだけど……」
「今度泊りに来るので……お二人がしてるところを見学させてください」
「へ?」

 なっちゃん、またとんでもない事言ってるよ。泊まりに来るのはいいけど、見学って何?
 私とユウ君がしてるところを見たいってこと?

「邪魔はしませんので……私はいないものとして、励んでもらえればいいですよ。それか、私も参加させてもらえるなら、それでもいいですが……」
「ちょっと待って!そ、そんなのダメ!泊りに来るのはいいよ?でも、それ以外のはダメ!そんな恥ずかしい事できるわけないじゃない。それ以前に、泊まりに来た時はしないから!」

 なっちゃんも参加って……三人でするってこと?それってユウ君が一人で私達二人を相手するってことだよね……うん……ちょっと想像しちゃった。ヤバいヤバい、顔が熱いよ。

「顔が赤いですよ?三人でするのを想像しちゃいましたか?」
「う……少し……でも、ダメ……そんなのはダメだから」
「ふふふ……じゃあ、私達だけでしてみますか?」
「……え?うそ?なっちゃん、そっちの経験あるの?」

 女の子同士なんて……去年同じクラスだった子にそういう趣味の子がいたから、話は聞いたことある。話を聞く分にはいいけど、してみたいかと言われるとそうでもない。
 そして、玲もそっちの噂があったから……まさか、玲となっちゃん?いや、そんなことないよね?

「いえ、さすがにそっちの経験は、まだありませんよ」
「まだ……ってする予定あるの?」
「そうですね……穂香さんに相手してもらえるなら考えます」
「え……それはちょっと……遠慮しておこうかな……」
「そうですか?私は穂香さんの……このワガママボディに興味あるのですが……」
 
 そう言って、なっちゃんの手が私の胸を鷲掴みしてきた。そう、もう両手でがっしりと。

「ちょ、ちょっと、なっちゃん。いきなり何を……」
「むぅ……穂香さん、また大きくなりました?私の手におさまらないです」
「ま、まぁ、カップ一つ分くらい……」
「私も大きくなったのに、こんな質量はないです。世の中不公平ですよね……」
「……なっちゃんがそれを言っても、反感しか買わないと思うな……」

 身体小さいのに、私と一つしかサイズ変わらないくらい、なっちゃんも大きいのに。
 やられっぱなしなのは癪だから、私もなっちゃんに仕返しをすることにした。腕を引っ張って、背中側から抱き着くようにして鷲掴みにしてみる。

「うわっ!なに、これ?めっちゃ柔らかい」

 驚きの柔らかさ。すごい、クセになりそう。服の上からなのに、これはすごい。

「あの……穂香さん?そろそろやめてもらえると……」
「あ……ゴメンゴメン。あまりに柔らかくて……つい」

 私とは別のものが付いてるのかと思うくらいだったから、思わず調子に乗って堪能しすぎた。
 私の腕の中にいるなっちゃんは、頬を赤く染めて俯いていた。ちょっと可愛すぎてヤバい。
 ちっちゃくて柔らかくて可愛いくて良い匂いするし、私が男なら惚れてると思う。

「もう……穂香さん……続きはまた今度してください……」
「え?いやいや、しないから!そっちの道に行ったらダメだって」
「残念です……でも、こうやってしてると、穂香さんってお姉さんみたいな感じですね。同い年なのに……」
「そう?私は一人っ子だけど、なっちゃんみたいな妹なら大歓迎かな。ふふっ……玲の気持ちが少しわかるかも……」

 妹がいたらこんな感じなのかな、とか思いながら、なっちゃんの頭を撫でてみる。サラサラのショートヘアーは撫でている私の手も気持ちいい。やり方なんてよくわからないから、いつもユウ君にしてもらってるようにしてるだけだけどね。

「玲さんのは……ちょっと違うのですよ。私の事を愛玩動物みたいにしてる感じです。捕まったら気が済むまで解放してもらえませんし……」
「あ~なるほどね……」
「……玲さんと違って穂香さんにこうやってしてもらうと、なんだか落ち着きます」
「変な事じゃなくて、こういう事なら、いくらでもしてあげる」

 完全に力を抜いて、私に身体を預けてきたなっちゃんを撫でていると、しばらくして規則正しい呼吸音が聞こえてきた。
 どうやら、眠ってしまったみたい。起こすのも悪いし、このまま寝かせてあげよう。

 予想通りというか、途中から話が変な方向へ向かっていったけど、結局、何がどうなったんだっけ?
 う~ん、すごい事ばかり話してたけど、決まったのってなっちゃんが泊まりに来ることくらいか。でも、それって……よく考えたら、結構危険なのかも?まぁ、ユウ君がいれば大丈夫かな。
 他の事は、なんかどれも中途半端で終わった感じよね。なっちゃんが暴走したりしないように、ちょくちょく話を聞いた方が良さそうね。なんだか手のかかる妹みたい。
 そんなことを考えているうちに、私も眠ってしまい……ユウ君達が帰ってくるまで、そのままの姿勢で過ごしていた。
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