上 下
38 / 46

38.女神様のガールズトーク 前編

しおりを挟む
 ※穂香視点です

「こんにちは、穂香さん」
「あっ、なっちゃん、いらっしゃい」

 冬休みが始まってすぐ、なっちゃんが遊びに来た。と言っても、来たのは私の部屋ではなくて、ユウ君の部屋。部屋の主のユウ君は、風間君とクリスマスパーティーの買い出しに行ってる。

 みんなに言ってはないけど、私とユウ君が同棲してるなんてことは、なっちゃんにはバレてると思う。
 私達も、もうそこに関してはあまり隠すつもりもないしね。

「もう、通い妻ではなく、若奥さんって感じですね。エプロン姿ごちそうさまです」
「え?そんなことないでしょ?いつもと一緒よ」

 そして、なっちゃんは二人きりの時は特に意地悪だ。ユウ君と私のことをこれでもかというくらい弄ってくる。
 今でこそ少しは慣れてきたけど、去年の今頃なんて大変だったなぁ。
 まだ、ユウ君と付き合ってなくて、知識も経験もなかったから、なっちゃんの言うことが理解できなくて困った。それをわかりやすく言ってもらうと、内容が凄すぎて顔から火が出るくらい恥ずかしかったのも覚えてる。

 私がユウ君と仲良くなる前は、そんなことはなかったんだけど……今日も覚悟しておこう。
 特に今日は、ファミレスとかみたいに周りを気にしなくていいから、なっちゃんが暴走しそうな気がする。

 私の横に座ってるなっちゃんは、今日は白のセーターに赤いチェックのミニスカート。私しかいないからいいけど、普通に下着見えそうなんだよね。

 私はブラック、なっちゃんは砂糖とクリームたっぷりの珈琲を飲みながら、クリスマスパーティのメニューを決めていく。ケーキは買ってくるし、揚げ物とかサラダがメインだから作るのは簡単なんだけどね。

「なっちゃん、それだと多すぎないかな?」
「去年より二人多いから大丈夫じゃないですか?それに……どっちかと言うと、少し余るくらいの方がいいですよね?」
「まぁ、足りないよりはいいよね」
「……そうじゃなくて、次の日の穂香さんの負担を減らすためですよ」
「え?なんで?」
「なんでって……今年もクリスマスはやりまくるんですよね?次の日、立てないと大変ですよ?」
「ちょっと待って。今年は立てなくなるまでなんてしな……あ……」

 しまった。やっちゃった。気付いた時には遅くて、なっちゃんの目がキラッと光った気がした。

「今年は……ですか……去年は立てなくなるまでやったってことですよね?」
「あはは……まぁ……結果的に……」
「……穂香さん、その時が初体験って言ってましたよね?最初から一体どれだけやってるんですか……優希さんは絶倫で鬼畜だったんですね……」

 寝ようとした時はもう明るかったとか、そんな事言えるわけないじゃない。ここはなんとか誤魔化して逃げたい。そして、ユウ君ゴメン……なっちゃんが言ってることは弁解せず、スルーさせてもらうね。

「……そこは、まぁ……初めてで良くわからなかったから……なっちゃんはどうだったの?」

 よく考えたら、なっちゃんの事ってあまり聞いてない気がする。いつも私がテンパって余裕が無いせいもあるからだけど。

「そうですね……普通に痛かったですよ?全体的に思ってた通りかなぁって感じでした。よくある漫画や穂香さんみたいに、最初から良かったなんてこともないですよ」
「待って……私をそんな珍しい物みたいに言わないで……私も最初は痛かったんだから……」
「知ってますよ。言ってみたかっただけです。私は、いわゆる耳年増だったので……知識だけはあったんですよ。逆に浩介さんはあんな感じですけど、全然知識とかなくて……最初から私がリードする形でした。浩介さんは草食系なんですよね」

 なっちゃんは見た目は大人しそうで小っちゃくて可愛いのに……中身は超肉食系のドSなんだよね。

「それは今も同じなの?」
「そうですよ。たまに逆にすると、私が余計なことを言っちゃうので……その時だけは、本気で落ち込んでる浩介さんが見られます。それを見てると、なんかこう色々したくなっちゃうんですけどね」

 なっちゃんはやっぱり風間君の事が大好きなんだなぁ。
 なっちゃんが笑顔でちょっと頬を染めながら、こんなに楽しそうに人の事を話すことなんてないもの。抱きしめて撫で撫でしてあげたいくらい可愛い。

「ところで穂香さん、ぶっちゃけこの一年で何回やりました?もう、私より経験積んでますよね?」
「ふぇ?そ、そんなことないんじゃない?何回したかなんて覚えてないけど……」

 突然とんでもない事聞かれて、思わず変な声出ちゃった。
 計算したら大体はわかるけど、絶対に言ったらいけない気がする。同棲してるからやろうと思ったらいつでもできるから、周りより多いに決まってるし。

「……では、週に何回位してますか?ちなみに、私が調べた情報によると、校内のカップルの平均は二回位ですよ」
「え?うそ?」

 思わず、少なって言いそうになってしまったんだけど。
 私達みたいに同棲してないと会える時間も限られるから、そんなものなのかな?それ以前にいつそんなの調べたの?その平均に私達は入ってないよね?
 そして、私の表情の変化をなっちゃんが逃すはずもなく、

「今、少ないって思いましたよね?もちろん、穂香さん達は入ってませんよ。入れたら平均値が跳ね上がりそうなので……」
「う……そんなことは……ないと思うよ?」
「では、参考までに教えてもらえませんか?いいですよね、穂香さん?」

 そう言って、なっちゃんは私にくっついて腕を抱いてきた。腕になっちゃんの柔らかい感触が伝わってくる。この状態で上目遣いとか可愛すぎてヤバいと思う。反則だよ、なっちゃん。風間君はされてるかわからないけど、こんなの絶対抗えないよ。
 でもここは教えられない。その前に、実際何回くらいなんだろう?毎日はしてないけど……回数だと五~十回の間くらいかな……う~ん、ユウ君次第なんだよ~。

「五回ですか?」

 なっちゃんがじーっと見つめてくる。これ、目を逸らしたら負けだよね。

「八回……いや、十回ですか?…………まさか、十五回とか二十回こえてるとか……ですか?」
「ちょっと、なっちゃん。いくらなんでも、そんなにないって……」
「そうですよね……でも、大体わかったのでいいですよ。十回くらいですね」
「えっ……なんで……」

 わかったの?って言いそうになって、もうその時には全て遅かったことに気が付いた。最初の五回って言われた時に何も言わなかった時点で、それ以上を認めてしまったようなものなのね。

「……穂香さんは最初は壁がたくさんあって分かりにくかったですけど、今はそういうのがなくて分かりやすいです。優希さんと仲良くなってからですかね?」
「……うん……ユウ君と出会ってなかったら、私は全然変わってないと思うよ。間違いなく誰とも付き合ってないし、勉強ばかりしてるつまらない女だって自信あるし……なっちゃんはどうなの?もし、風間君と出会ってなかったら?」
「浩介さんと出会ってなかったら……私は正直わかりませんね。ただ、優希さんがフリーでいたら狙っていると思いますよ」
「え?」

 ユウ君がフリーだったら狙ってた……いや、ちょっと待って……あ、風間君と出会ってなかったの話だよね。あ~なんか私、めっちゃ焦ってる……変な汗出てきたかも。

「穂香さん、動揺しすぎですよ。浩介さんと出会ってなかったらの話なんですから……優希さんに恋愛感情は持ってませんよ」

 とりあえず、珈琲飲んで落ち着こう。
 風間君がいないなんていう仮の話なのに、私の心臓は激しく鼓動を続けている。そして、次のなっちゃんの言葉を聞いて、私は心臓が止まるかと思った。

「ただ、浩介さんがいるいない、優希さんへの恋愛感情とか抜きにして……優希さんとは一度してみたいです」





しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

冴えない俺と美少女な彼女たちとの関係、複雑につき――― ~助けた小学生の姉たちはどうやらシスコンで、いつの間にかハーレム形成してました~

メディカルト
恋愛
「え……あの小学生のお姉さん……たち?」 俺、九十九恋は特筆して何か言えることもない普通の男子高校生だ。 学校からの帰り道、俺はスーパーの近くで泣く小学生の女の子を見つける。 その女の子は転んでしまったのか、怪我していた様子だったのですぐに応急処置を施したが、実は学校で有名な初風姉妹の末っ子とは知らずに―――。 少女への親切心がきっかけで始まる、コメディ系ハーレムストーリー。 ……どうやら彼は鈍感なようです。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 【作者より】 九十九恋の『恋』が、恋愛の『恋』と間違える可能性があるので、彼のことを指すときは『レン』と表記しています。 また、R15は保険です。 毎朝20時投稿! 【3月14日 更新再開 詳細は近況ボードで】

先輩に振られた。でも、いとこと幼馴染が結婚したいという想いを伝えてくる。俺を振った先輩は、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。

のんびりとゆっくり
青春
俺、海春夢海(うみはるゆめうみ)。俺は高校一年生の時、先輩に振られた。高校二年生の始業式の日、俺は、いとこの春島紗緒里(はるしまさおり)ちゃんと再会を果たす。彼女は、幼い頃もかわいかったが、より一層かわいくなっていた。彼女は、俺に恋している。そして、婚約して結婚したい、と言ってきている。戸惑いながらも、彼女の熱い想いに、次第に彼女に傾いていく俺の心。そして、かわいい子で幼馴染の夏森寿々子(なつもりすずこ)ちゃんも、俺と婚約して結婚してほしい、という気持ちを伝えてきた。先輩は、その後、付き合ってほしいと言ってきたが、間に合わない。俺のデレデレ、甘々でラブラブな青春が、今始まろうとしている。この作品は、「小説家になろう」様「カクヨム」様にも投稿しています。「小説家になろう」様「カクヨム」様への投稿は、「先輩に振られた俺。でも、その後、いとこと幼馴染が婚約して結婚したい、という想いを一生懸命伝えてくる。俺を振った先輩が付き合ってほしいと言ってきても、間に合わない。恋、デレデレ、甘々でラブラブな青春。」という題名でしています。

幼馴染と話し合って恋人になってみた→夫婦になってみた

久野真一
青春
 最近の俺はちょっとした悩みを抱えている。クラスメート曰く、  幼馴染である百合(ゆり)と仲が良すぎるせいで付き合ってるか気になるらしい。  堀川百合(ほりかわゆり)。美人で成績優秀、運動完璧だけど朝が弱くてゲーム好きな天才肌の女の子。  猫みたいに気まぐれだけど優しい一面もあるそんな女の子。  百合とはゲームや面白いことが好きなところが馬が合って仲の良い関係を続けている。    そんな百合は今年は隣のクラス。俺と付き合ってるのかよく勘ぐられるらしい。  男女が仲良くしてるからすぐ付き合ってるだの何だの勘ぐってくるのは困る。  とはいえ。百合は異性としても魅力的なわけで付き合ってみたいという気持ちもある。  そんなことを悩んでいたある日の下校途中。百合から 「修二は私と恋人になりたい?」  なんて聞かれた。考えた末の言葉らしい。  百合としても満更じゃないのなら恋人になるのを躊躇する理由もない。 「なれたらいいと思ってる」    少し曖昧な返事とともに恋人になった俺たち。  食べさせあいをしたり、キスやその先もしてみたり。  恋人になった後は今までよりもっと楽しい毎日。  そんな俺達は大学に入る時に籍を入れて学生夫婦としての生活も開始。  夜一緒に寝たり、一緒に大学の講義を受けたり、新婚旅行に行ったりと  新婚生活も満喫中。  これは俺と百合が恋人としてイチャイチャしたり、  新婚生活を楽しんだりする、甘くてほのぼのとする日常のお話。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

女豹の恩讐『死闘!兄と妹。禁断のシュートマッチ』

コバひろ
大衆娯楽
前作 “雌蛇の罠『異性異種格闘技戦』男と女、宿命のシュートマッチ” (全20話)の続編。 https://www.alphapolis.co.jp/novel/329235482/129667563/episode/6150211 男子キックボクサーを倒したNOZOMIのその後は? そんな女子格闘家NOZOMIに敗れ命まで落とした父の仇を討つべく、兄と娘の青春、家族愛。 格闘技を通して、ジェンダーフリー、ジェンダーレスとは?を描きたいと思います。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

秘密のキス

廣瀬純一
青春
キスで体が入れ替わる高校生の男女の話

ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした

黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。 日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。 ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。 人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。 そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。 太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。 青春インターネットラブコメ! ここに開幕! ※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。

処理中です...