【完結】変わり身

九時せんり

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功績

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チームで描いた作品は学年で1番を貰った。そうは言ってもほとんど沖田の功績だ。メインの鳥は俺が描いたがそれを取り巻く緑が美しいと評価された。俺はそんな評価もあるんだな、その時はそう思ったがじわじわと悔しい思いになった。
やっぱり沖田は嫌いだ。
しかし、この頃の俺は沖田と永崎と3人で動くようになっていた。
「最近、沖田デッサンしてるけど何か大きな作品でも描くのか?」
永崎が尋ねる。
「模写をしようかとも思ったんだけどそれなら普通にスケッチして絵を描こうかと思って。」
「何号で描くんだ?」
「30号くらいで良いかなぁって。」
「我慢して30号なんだろう?」
俺はニヤニヤしながらそう聞いた。
「よくわかるね。」
「沖田は120号とか平気で描くからな。」
嫌いだ…でも沖田と同じ景色を見てみたい。俺は相反するその気持ちをうちに秘めていた。
沖田はそんな事を察する様子もなく、ニコニコと笑っていた。
日向がゴソゴソと沖田の作品を運んでいく。
「日向、お前、そんな堂々と…。」
俺と永崎は苦笑いした。
「沖田も良いって言ってるもん。ねー。」
この頃知ったことだが日向は画商の家の子だった。青田刈りとでも言うのだろうか、大学内で売れそうな作品を描く学生全てと日向は連絡先を交換していた。
そして、集めた作品を片っ端から売りにかけていた。
芸大生にとっては絵が売れれば絵の具が買える、キャンバスが買える、そう言って皆が喜ぶ。
俺と永崎は日向のお呼びがかからず、少しムッとしていた。
「沖田の作品っていくらで売れるんだ?」
永崎が尋ねる。
「まだよ。まだストックしてるの。今に世界が沖田宗純の名前を知ることになるわ。」
そう言って日向は笑った。
沖田は次の講義が終わったらキャンバスを買いに行くといった。
俺は天気も良いし運ぶの手伝うよ、そう言って沖田と講義を受けに行った。
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