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脱落
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芸大に入学して半年が経った。この頃には教授と喧嘩するものや脱落するものがじわりじわりと出てきた。
「沖田は才能あるからいいよなー。」
そんな中で沖田は格好の的だった。
「沖田と同じだけ作品仕上げてから言いなよ。努力に勝る天才はなしなんだから。ねえ、沖田。」
沖田が入学してからずっと沖田を追いかけ回している日向という女子が、そう言って周りの人間を蹴散らす。
「あのふたりって付き合ってんのかなぁ…?」
「沖田はその気ないだろう…。」
「だよなぁ…。」
沖田はボソボソと話しながら画集を見ていた。ルネ・マグリットの画集だった。沖田の作風とはだいぶ違う。ただ正確に描写しているという点ではふたりの芸術家は似通っていた。
日向は作品が作りたくて芸大に入ったのではなく、芸術を扱う仕事がしたくて芸大に来たと誰かが話していた。沖田はお得意様にでもなるのだろうか。俺はそんな事をぼんやり思った。
「沖田の最新作撮らせて貰ったんだー!!」
永崎は楽しそうにそう語った。
「俺のは撮らないのかよ。」
「凡人の作品撮ってもなぁ…。」
「永崎ぃいい。」
「ギブギブギブ。」
俺は永崎を絞め上げた。沖田は画集を置いて外に出た。もうじき夏休みだ。
沖田はいつも通り白いシャツと紺のチノパンを履いている。
絵の具が飛んだりしないのだろうか、俺はそんな事を思いながら沖田の後ろ姿を見ていた。
「石松、そんなに沖田を見つめてどうしたのよ?」
日向が茶化してくる。
「沖田は俺等と同じ景色を見てるのかなぁって思って。」
「へーそんな事思うんだ。」
「沖田は沖田のフィルターを通して世界を見ているんだよな…。」
俺はそこまで言っていやいや俺だってそのくらい描ける。
そう思いながら俺は次の講義に向かった。
「沖田は才能あるからいいよなー。」
そんな中で沖田は格好の的だった。
「沖田と同じだけ作品仕上げてから言いなよ。努力に勝る天才はなしなんだから。ねえ、沖田。」
沖田が入学してからずっと沖田を追いかけ回している日向という女子が、そう言って周りの人間を蹴散らす。
「あのふたりって付き合ってんのかなぁ…?」
「沖田はその気ないだろう…。」
「だよなぁ…。」
沖田はボソボソと話しながら画集を見ていた。ルネ・マグリットの画集だった。沖田の作風とはだいぶ違う。ただ正確に描写しているという点ではふたりの芸術家は似通っていた。
日向は作品が作りたくて芸大に入ったのではなく、芸術を扱う仕事がしたくて芸大に来たと誰かが話していた。沖田はお得意様にでもなるのだろうか。俺はそんな事をぼんやり思った。
「沖田の最新作撮らせて貰ったんだー!!」
永崎は楽しそうにそう語った。
「俺のは撮らないのかよ。」
「凡人の作品撮ってもなぁ…。」
「永崎ぃいい。」
「ギブギブギブ。」
俺は永崎を絞め上げた。沖田は画集を置いて外に出た。もうじき夏休みだ。
沖田はいつも通り白いシャツと紺のチノパンを履いている。
絵の具が飛んだりしないのだろうか、俺はそんな事を思いながら沖田の後ろ姿を見ていた。
「石松、そんなに沖田を見つめてどうしたのよ?」
日向が茶化してくる。
「沖田は俺等と同じ景色を見てるのかなぁって思って。」
「へーそんな事思うんだ。」
「沖田は沖田のフィルターを通して世界を見ているんだよな…。」
俺はそこまで言っていやいや俺だってそのくらい描ける。
そう思いながら俺は次の講義に向かった。
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