【完結】紡ぎ事〜第二章〜

九時せんり

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指輪

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その日、指輪が外れた。
ストレスで痩せたのか指が細くなったからだ。橋口はその日のうちにチェーンを買ってきて首から指輪をかけられるようにしてくれた。
私は今まで自分は強い人間だと思っていた。
部下もいるし出世もした。
それでも私にも満たされない女の影があった。私は好きな人の子供も産めないのか。
この頃の私は情緒不安定で足谷は度々私の話を聞いてくれた。
会社がなければ私は死んでいただろう。
休みに入ると橋口と病院をまわった。
何件かまわった後で、私は橋口に告げた。
「もうやめにしない?」
「何を…ですか?」
「私、こんな女じゃなかった。嫌味と皮肉を言って社会の片隅で生きてるおっさんみたいな女だった。」
「善子…。」
「私ってどんな人間だった?橋口君が好きな私って私?」
「次の休み、また必ず来るから。」
橋口はそう言って私を抱きしめた。

私は橋口と分かれた後で会社に有給申請をしに行った。しばらく何も考えずに過ごしたい。
そして実家に戻った。
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