【完結】紡ぎ事〜第二章〜

九時せんり

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子宮筋腫が見つかってから私は何度か病院を訪ねた。筋腫の大きさや出来た位置を入念に確認するためだ。
「本条さん。もしかすると子宮を摘出する可能性があります。」
「え?だって良性だと先生仰ってましたよね。」
私はテンプレのように話した。
「お調べになったかもしれませんが子宮筋腫を根本的に治す方法は今まだないのです。」
「子宮…取るって。」
「本条さんは性行歴も出産歴もないので酷な話だとは思いますがこれから説明しますので良く考えてみてください。」

病院から帰った私はシャワーだけ浴びて缶ビールを何本か開けた。
橋口は跡取りだ。子供を産まない私は彼にはふさわしくない。そう思うと涙が溢れて止まらなくなった。

次の週末、橋口が来た。
私は玄関で橋口にキスした。
「ど、どうかしたんですか?」
私は強がって橋口に抱いて貰おうとした。でも優しい橋口の顔を見るとそれは出来なかった。
「何かあったんですね?」
「違う、違うのよ。」
「何が違うって言うんですか?」
「赤ちゃん産めなくなっちゃう。」
私は泣きながら橋口に説明した。そのまま泣き崩れて玄関でうずくまった私を橋口が抱きかかえてリビングに運んだ。
「セカンドオピニオンもありますから都会の病院で診てもらいましょう。」
私はこくこくと頷いた。
橋口が私を抱きしめながらふたりでソファでうとうとした。お互いに疲れているのに橋口はよく来てくれるな。そう思った。
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