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橋口は私のアパートに着くと身体を密着させて来た。
「橋口君…。」
「善子…。」
私はああ、こうして皆大人になるのか…そう思った。
「シャワー、借りていい…?」
「…待って。」
私は橋口を自分から引き剥がすと、橋口をじっと見た。
「本条先輩、足りないものは僕じゃだめですか?」
私は驚いた。そんな昔のことを今でも覚えていたのか。
「橋口君…。私、結婚までそう言う事は…。」
「大丈夫ですよ。僕も理性はあります。」
「だったらこんな…。」
「これでも不安なんです。」
そう言うと橋口は私にキスした。私はこの時、ほうほう理性はどこに行ったんだと思った。
「善子は僕じゃダメなんですか?最近どんどん元気をなくして…。」
「違うの。私、わからないの。」
「分からないって?」
「婚約者に愛される女の気持ちが分からないの。どう振る舞ったらいいか分からないの。」
私はそう言って泣き出した。
大人げない。そう思った。
「善子…。」
「もう止めて。橋口君のイケボで善子って言われたら誰だって落ちるわよ。」
私は泣き続けた。
「とりあえず、着替えはあるからシャワー浴びてきて。」
私は小さな声でそうつぶやいた。
シャワーを浴びた橋口と私は、答え合わせでもするかのように学生時代や子供時代の話をした。橋口は皆が恋をしてる時、それがどういう気持ちか分からなくて話に入れなかったと言ってきた。私は目の前にいるこの人がそんな人生を歩んできたことが不思議だった。
「…善子。」
「だめよ。」
私はキスしようとした橋口をブロックした。
橋口は頭をくしゃくしゃしながら私の手を取った。
「外さないんですか?外れないんですか?」
私は少し黙った。
「外さない。外したくない。」
そう言って私は意を決して話した。
「大事にしたいの、橋口君を。」
「善子…。」
「それに人生の先輩は私なんですからね。」
そう言った私を見た橋口は笑い出した。
「誰に会わせても恥ずかしく無い婚約者ですよ。」
「どうなのかしらね。」
そしてその晩はふたりでベッドで眠った。橋口は宣言通り手を出しては来なかった。
「橋口君…。」
「善子…。」
私はああ、こうして皆大人になるのか…そう思った。
「シャワー、借りていい…?」
「…待って。」
私は橋口を自分から引き剥がすと、橋口をじっと見た。
「本条先輩、足りないものは僕じゃだめですか?」
私は驚いた。そんな昔のことを今でも覚えていたのか。
「橋口君…。私、結婚までそう言う事は…。」
「大丈夫ですよ。僕も理性はあります。」
「だったらこんな…。」
「これでも不安なんです。」
そう言うと橋口は私にキスした。私はこの時、ほうほう理性はどこに行ったんだと思った。
「善子は僕じゃダメなんですか?最近どんどん元気をなくして…。」
「違うの。私、わからないの。」
「分からないって?」
「婚約者に愛される女の気持ちが分からないの。どう振る舞ったらいいか分からないの。」
私はそう言って泣き出した。
大人げない。そう思った。
「善子…。」
「もう止めて。橋口君のイケボで善子って言われたら誰だって落ちるわよ。」
私は泣き続けた。
「とりあえず、着替えはあるからシャワー浴びてきて。」
私は小さな声でそうつぶやいた。
シャワーを浴びた橋口と私は、答え合わせでもするかのように学生時代や子供時代の話をした。橋口は皆が恋をしてる時、それがどういう気持ちか分からなくて話に入れなかったと言ってきた。私は目の前にいるこの人がそんな人生を歩んできたことが不思議だった。
「…善子。」
「だめよ。」
私はキスしようとした橋口をブロックした。
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「外さないんですか?外れないんですか?」
私は少し黙った。
「外さない。外したくない。」
そう言って私は意を決して話した。
「大事にしたいの、橋口君を。」
「善子…。」
「それに人生の先輩は私なんですからね。」
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「誰に会わせても恥ずかしく無い婚約者ですよ。」
「どうなのかしらね。」
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