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餌付け
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次の休み、橋口は家を訪ねてきた。
きっとこれは夢に違いない。そう思って私は居留守を使った。
「善子ーいるんでしょう?」
「居ません。」
私は小声でそう話した。橋口には聞こえていない。
「おーい。」
橋口は呼び鈴を連打する。
「あ~あ。」
そう言って帰る様子が見えた。
私がドアをゆっくり開けると反対側に橋口がいた。
「いるんじゃないですか?!」
「橋口君あのね。私達お付き合いしてるわけでも、婚約してるわけでもないのよ。」
私がそう言うと橋口は私の手を握った。
「だったら指輪なんでしてるんですか?」
「抜けなくなったのよ。」
「そんな事あります?」
「入って。話なら聞くわよ。」
「そう言うと職場みたいですね。」
「この指輪、本当に抜けないんですね。」
「呪いかと思ったわ。」
「運命なのかもしれませんね。」
橋口よ、お前は何時からそんなロマンチックになったのだ。
「最近、職場で手袋してたのって…。」
「そうよ。突っ込まれたら終わりだもの。」
「じゃあ僕からみんなに話しますよ。」
「いやよ。止めて!!ただでさえ今だって敵が増えてきてるのに。」
「敵って…。」
「大学時代の彼女とかいるんでしょう?そっちにしなさいよ。」
「僕、大学時代に彼女なんていませんよ。」
橋口は手をパタパタと振る。
「ああ、そんなことより。」
そんなことだとー私は内に怒りを秘めた。
「実家に使ってない銀食器あったんでスプーンとフォークです。」
ぎ…銀食器…。
「それって良く磨かないと行けないんでしょう?」
「どうなんですかね?母が磨いてるのは見たことないですけどね。」
「貰って良いの?」
「父も母も是非にと。あと早く会いたいそうですね。」
「ふふふ…。それでご破算になるわね。」
「母は本条先輩の容姿が可愛いって連呼してましたよ。」
「容姿?!」
「この間話しかけても無視したでしょう?その時写真撮りますよーって言ってたんですよ。」
「肖像権の侵害ー!!」
「許可は取りました。本当はスマホの待ち受けにしたいんですけど。」
「叩き壊すわよ。」
「言うと思ってました。で、次のデートなんですけど。」
私はこの時思い出した。押せば通る。橋口の悪いクセだ。
「橋口君。」
「だから橋口君呼びは。」
「何でも押して通るわけじゃないのよ。」
「善子…。」
「あーもう!!その平成顔で、昭和ネームを話すこと自体合ってないのよ!!」
「そうは言ったって時代は令和ですよ。」
「とりあえず今日は帰って。」
「ご飯の材料買ってきたんですよ。」
「何作るの?」
「チーズタッカルビです。」
「じゃあご飯済んだら帰って。お金は?」
「泊めてくれたらタダでも良いですよ。」
「絶対払うわよ。」
「ハハハ…。」
そうして私は橋口にてなづけられていった。
きっとこれは夢に違いない。そう思って私は居留守を使った。
「善子ーいるんでしょう?」
「居ません。」
私は小声でそう話した。橋口には聞こえていない。
「おーい。」
橋口は呼び鈴を連打する。
「あ~あ。」
そう言って帰る様子が見えた。
私がドアをゆっくり開けると反対側に橋口がいた。
「いるんじゃないですか?!」
「橋口君あのね。私達お付き合いしてるわけでも、婚約してるわけでもないのよ。」
私がそう言うと橋口は私の手を握った。
「だったら指輪なんでしてるんですか?」
「抜けなくなったのよ。」
「そんな事あります?」
「入って。話なら聞くわよ。」
「そう言うと職場みたいですね。」
「この指輪、本当に抜けないんですね。」
「呪いかと思ったわ。」
「運命なのかもしれませんね。」
橋口よ、お前は何時からそんなロマンチックになったのだ。
「最近、職場で手袋してたのって…。」
「そうよ。突っ込まれたら終わりだもの。」
「じゃあ僕からみんなに話しますよ。」
「いやよ。止めて!!ただでさえ今だって敵が増えてきてるのに。」
「敵って…。」
「大学時代の彼女とかいるんでしょう?そっちにしなさいよ。」
「僕、大学時代に彼女なんていませんよ。」
橋口は手をパタパタと振る。
「ああ、そんなことより。」
そんなことだとー私は内に怒りを秘めた。
「実家に使ってない銀食器あったんでスプーンとフォークです。」
ぎ…銀食器…。
「それって良く磨かないと行けないんでしょう?」
「どうなんですかね?母が磨いてるのは見たことないですけどね。」
「貰って良いの?」
「父も母も是非にと。あと早く会いたいそうですね。」
「ふふふ…。それでご破算になるわね。」
「母は本条先輩の容姿が可愛いって連呼してましたよ。」
「容姿?!」
「この間話しかけても無視したでしょう?その時写真撮りますよーって言ってたんですよ。」
「肖像権の侵害ー!!」
「許可は取りました。本当はスマホの待ち受けにしたいんですけど。」
「叩き壊すわよ。」
「言うと思ってました。で、次のデートなんですけど。」
私はこの時思い出した。押せば通る。橋口の悪いクセだ。
「橋口君。」
「だから橋口君呼びは。」
「何でも押して通るわけじゃないのよ。」
「善子…。」
「あーもう!!その平成顔で、昭和ネームを話すこと自体合ってないのよ!!」
「そうは言ったって時代は令和ですよ。」
「とりあえず今日は帰って。」
「ご飯の材料買ってきたんですよ。」
「何作るの?」
「チーズタッカルビです。」
「じゃあご飯済んだら帰って。お金は?」
「泊めてくれたらタダでも良いですよ。」
「絶対払うわよ。」
「ハハハ…。」
そうして私は橋口にてなづけられていった。
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