【完結】25人の妖精〜第八章〜

九時せんり

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25人の妖精〜第八章〜

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「我々、千里教では、教祖様の千里眼で未来に起こることをすべて予知します。」
男がそう言うと拍手が起きた。
「長浜さんにも是非、教祖様の力を身をもって体感してほしくて。」
興奮気味に袴田が話した。
長浜と袴田は同じ団地に住んでいる。同い年の子供がいてママ友として仲良くなり、それからもたまに会えば挨拶する程度の仲だった。
しかし、近所に新興宗教法人が出来てから袴田は変わっていった。
袴田は片っ端から宗教の勧誘に周るようになった。長浜は気が弱くて断りきれずその日、宗教の集会に参加した。
「さぁ、貴女も奇跡を。」
そう言われて長浜は後悔した。
「何を知りたいですか?」
「じゃあ、長女の進学先を…。」
長浜は無難にそう言ったつもりだった。
「見えます。見えます。お嬢さんは東高校に合格するでしょう。しかし、影が見えます。いじめに遭う可能性があります。」
「そんな…。」
「大丈夫です。教祖様の祈祷があればその影は晴れるでしょう。」
「祈祷代は3万円です。今日して行かれますか?」
「3万?!」
「袴田さんのご友人なら特別に1万円で祈祷を引き受けます。」
会場の奇妙な熱気に包まれ、長浜は判断がつかなくなっていた。
「分かりました。お願い致します。」
そう言って財布から1万円札を出した。
「これでお嬢さんは安泰でしょうね。」
そう言って皆が拍手した。

「おじいちゃんプリン食べたいなぁ。」
天界警察では鏑木さんが田所さんの目を盗んでコンビニに行こうとしていた。
「鏑木さん…。」
田所さんが後ろに立っていた。
「田所さんがおじいちゃんを鏑木さんと呼ぶ時はガチな時…。」
「分かっているなら素直に戻りなさい。」
「今日はコンビニクーポンの最終日!!とうっ!!」
「おじいちゃん!!」
そう言って鏑木さんは田所さんをかわしてコンビニへと走った。
「本当にあれで長官なんて務まるんですか?」
新人がざわざわしている。
「過去に魔界の住人と天界警察が戦い抜いて勝利した際、鏑木さんは大活躍したんですよ。」
へーと新人から声が上がる。
「そんな優秀な人には見えませんけどねぇ。」
陽平君は悪気なくそう言う。
「能ある鷹は爪を隠すって言うじゃないか?」
坂本さんはニコニコしながら話す。
「隠しすぎじゃないですか?」
そう言うと皆が笑う。
「橘は正常だなぁ…。」
「田所さんが引退しても橘がいれば大丈夫ですね。」
「僕はおじいちゃんが引退するまで引退しませんよ。」
田所さんはそう言って仕事に取り掛かった。

鹿児島中央の神社では新人が音を上げていた。
「キッツイ…。」
「本殿だけでこの広さだもんなぁ。」
「その本殿をひとりで掃除してたのが橘だぞ~。」
学さんがひょっこり顔を出す。
「そうは言っても広すぎますよ~。」
「さすが橘さんだなぁ…。」
「ほら、3人分。」
そう言って学さんはオレンジジュースを手渡した。
「最悪、神様が通るところだけ綺麗にしてれば良いからな。」
「本当に流鏑馬までこぎつけられるんですか?」
「それはお前らの頑張り次第だなぁ。」
そう言って学さんは奥の間に入った。

「斗歩長官!!報告書が上がってきました!!」
「やはりほとんどが人間界の身体だったようですね…。関係部署に連絡してください。下界に降ります。」
「はい!!承知しました!!」

「斗歩君が下界に降りる?」
「へー、長官自ら出向くんですね。」
「まあ、魔界の門の不祥事があるからなぁ。」
無事にプリンを買って鏑木さんは天界警察に戻ってきていた。
「何プリン買ったんですか?」
「かぼちゃ。」
「一口くださいよ。」
「嫌だよ、田所さんと間接キッスなんて…。」
「次、休憩時間外にコンビニ行ったら上層部に報告しますよ。」
「わかったよ。はんぶんこな。」
「斗歩長官って?」
陽平君は聞いた。
「神官課の若き天才斗歩伸之だよ。」
「神官護衛課のうちと何が違うんですか?」
「神官護衛課は神様や神官の護衛が専門なのに対して神官課は皆が陰陽師や祈祷師、結界師と言った専門家何だよ。」
へー陽平君は思った。
「斗永さんは何課なんですか?」
「去年マル暴に変わったって聞いたけどなぁ…。」
「斗永さんに目付けられたら終わりだよ…。」
皆が静かにため息をつく。
「そんなに怖い人なんですか?」
「斗永はなぁ…。」
「駄目だ!!斗永の話は止めよう。どこで聞いてるか分からないんだから。」
そう言って皆は黙った。

「長浜さんなら分かってくれると思ったの!!」
袴田は再び、長浜を宗教の勧誘に来ていた。
「あの、私やっぱり宗教とかは…。」
「教祖様の力がなかったら娘さんはいじめに遭うわよ。定期的に祈祷して頂かないと。」
そう言って袴田は長浜の家のドアをつかんだ。
「次の集会は明日だから明日迎えに来るわね。」
そう言って袴田は帰った。長浜は悩んだ。祈祷に加えて水晶や数珠、印鑑など様々なものを勧められる。その日は手持ちがないと断ったが常にそうするわけにも行かない。
しかし、娘の志望校は東高校だ。これと言って誰にも言ってない。
「お母さん、また宗教?」
「大丈夫よ。もう行かないから。」
「お母さんは気が弱いんだからガツンと言わなきゃだめだよ。」
娘の麻里奈はそういう。
「麻里奈、志望校が東高校だって誰かに言った?」
「よしちゃんとたかぼうには言ったよ。」
「袴田さんには言ってないのよね?」
「言ってないよ。」
そう言って麻里奈は冷凍庫を開けてアイスを取り出した。抹茶味のカップアイスを、スプーンですくって食べていく。
明日、行かなければ全て解決する。そう思って長浜は夕飯の支度に取り掛かった。

「神官護衛課からは9人くらいで良いかなぁ?」
鏑木さんは書類を見ながら下界に降りるメンバーを選んだ。
「橘ー行ってみるか?」
「僕がですか?」
「斗歩君が是非にって。」
「斗歩長官ってそっちの人だって聞いたことあるんですけど。」
田所さんが話す。
「一時期噂になったなぁ…。」
「黒歴史ですよ。」
「そっちってなんですか?」
「橘はとことん穢れがないなぁ…。ゲイってことだよ。」
鏑木さんが話す。
「斗歩君は大企業の創業者の息子だからなぁ…。」
「神官課には斗歩君がシャワー室付けたんですよ。」
「シャワー室?!付けた?!」
へー、陽平君は思った。
「斗歩君が天界警察に合格した時は札束が舞ったって噂になったもんな。」
「そんな人が現実にいるんですねぇ…。」
「で、どうする?行ってみるか?」
「はい!!お願いします!!」
そう言って陽平君は席を立った。

翌日、陽平君たちは普段着で天界警察に集まって簡単な研修を受けた。ホテルの一室に訪れ整列するように言われる。
「時空の歪に入りますから周りと離れないように。」
そう言われて中に入った。
空間が伸びたり縮んだりするような不思議な感覚があった。
「橘!!集中するように!!」
「すみません!!」
そうして扉があった。そこから外に出るとタバコの臭いがした。…下界だ。
陽平君は当たりを見渡した。天界とそう変わりはない世界だ。
しかしすれ違う人たちからは独特の匂いがする。
「これが下界…。」
「天界と大差ないだろう?」
そう言って橋田さんが笑う。
「神官護衛課なら、この先も年に1回は下界に降りるんだ。慣れておくと良いぞ。」
そう言われて陽平君は皆のあとについて行った。

「長浜さん、いるんでしょう?もうじき、集会が始まるわよ。急がないと!!」
袴田はそう言って長浜の玄関のドアを叩いてチャイムを鳴らした。
「地獄に堕ちるわよ!!」
そう言って袴田は去っていった。長浜は恐る恐るドアを開けた。
「み~つけた。」
そう言ってそこにはチェーンソーを持った男がいた。
「え?」
その瞬間、男はドアチェーンを切って、ドアをガッと開けた。
「アハハハハ、影が見えます、影が見えます。」
「嫌あぁぁ!!」
そして長浜は帰らぬ人となった。

天界警察一行は東京都庁に来ていた。
「布川さんをお願いします。」
そう言うと受付がざわついた。
「すぐにお呼びします。そのまま少々お待ち下さい。」
「布川って?」
「天界警察神官課の布川って人がいるんだ。普段は下界で潜伏してるんだよ。」
そう言うと布川が現れた。
「とりあえずまあ、まんじゅうね。」
「久しぶりに天界の物が口にできますよ。」
布川はそう言って包を開けてまんじゅうを食べ始めた。
「犯人と繋がってる下界の住人がいるはずなんだが…。」
「目星はついてます。」
そう言って布川さんはお茶を飲む。
「ここ数年、急激に拡大した千里教という宗教団体があるんです。そこの宗教と関わった人が変死体で発見されてるんです。」
そう言ってまんじゅうを口にする。
「最近も都内に3軒施設を建てたんです。表向きは白ですが裏では真っ黒ですよ。墓荒らしなんかもやってるみたいですよ。」
斗歩長官は考え込んだ。
「とりあえず天界警察で借り上げているアパートに勧誘が来るように誘導してみましょう。話はそれからです。」
「橘と向田はコンビニでみんなの分弁当買ってこい。向田はアパートまで来れるな?」
「はい!!大丈夫です。」
そして陽平君と向田さんはコンビニに向かった。

「お母さんが、お母さんが…。」
麻里奈はお父さんに抱きついて泣いた。
「顔もめちゃくちゃにされてるし、お嬢さんはあまり見ないほうが良いと思います。」
「何でこんなことに…。」
お父さんは呆然としている。
「何か誰かに恨みを買ったりした覚えはありませんか?」
「いえ、まったく。」
警察の事情聴取が始まる。
「お母さんはお人好しで人から恨みなんて買わない!!」
そう麻里奈は怒鳴った。
「犯人の目撃情報もないんですよ。」
「これだけ凄惨な現場ですからね、返り血も酷いでしょうし…。」
「検死が済み次第、ご遺体はお返しします。」
そう言ってブルーシートを広げた通路を遺体は通っていった。
「千里教…。」
麻里奈はふと口に出した。
「千里教だよ!!お父さん!!あそこに通いだしてからおかしくなったんだよ!!」
「よしなさい!下手に宗教団体を敵に回すと怖いんだからな。」
そう言ってお父さんはタバコを吸った。

天界警察で借り上げているアパートにはみんなの姿があった。
「まっず…。」
陽平君は下界のお好み焼きを食べながら吐き気を催した。
「しばらくは下界の飯だからな。天界の気配を消すんだ。」
「下界のご飯ってこんなに不味いんですか?」
「いい経験になるよ。」
そう言ってみんなは笑った。
斗歩長官はアイスを口にしている。
「それ、美味しいんですか?」
「食べてみますか?」
陽平君はアイスを口にした。やはり天界のアイスとは違う味がする。
「我々が普段食べている天界の食物は神の光で出来ていますから清らかな物です。下界の食べ物はどうしても家畜の死が伴います。」
斗歩長官は話した。陽平君はその話を聞きながら、お好み焼きを完食した。
「まあ本当に食べれない時はサラダだな。」
的場さんがそう言う。
「明日からは食事はここで作ります。みんな出来ますね?」
「はい!!」
炊事場に入るなんて鹿児島以来だな…陽平君はそう思った。学さんは元気だろうか?そう思って順番に風呂に入った。

「長浜さんはお気の毒よね~。」
下界の葬儀場には袴田の姿があった。
麻里奈が袴田に掴みかかる。
「うちのお母さんに何したの?!何したのって聞いてんだよ!!」
麻里奈は怒鳴り散らす。
「私は何もしてませんよ。ただ長浜さんは集会にも来なかったし、ご祈祷もあまりされなかったから天罰でしょうね。」
「帰ってよ!!」
麻里奈は泣き続ける。その後ろで父親が頭を下げる。
「麻里奈止めなさい。袴田さんはこうして葬儀にも足を運んでくださったんだ。悪い人ではないよ。」
「でもお母さんが…。」
麻里奈のお父さんは小さな声で囁いた。
「千里教が関わってるなら警察が必ず動く。待ちなさい。」
麻里奈は静かに頷いた。
その様子を見ながら袴田は微笑んだ。

天界警察が潜伏して3日経った。土曜日の昼頃にインターホンがなった。
ふたり組の女性がいた。
「何か生活でお困りのことございませんか?今、無料で会報誌をお配りしてるんです。」
浦河がドアを開けた。
「ありがとうございます。是非お話聞かせてください。」
そう言ってふたり組の女性と話し込んだ。

「だめですね。千里教がかかりませんね。」
下界に潜伏して5日経った。宗教の勧誘は来るものの千里教はない。
その日、陽平君は向田さんとスーパーに買い出しに行った。
「すみません。」
サッカー台で荷物を袋に詰めていると隣の女性が話しかけてきた。
「私、こういう者なんですが…。」
名刺には千里教とあった。
「いま、幹部になる人を探しているんです。貴方様ならきっとご活躍できると思って。」
そう言って女性は陽平君を見つめている。
「詳しい話を後日聞かせてもらえませんか?」
そう言って陽平君と向田さんはアパートに戻った。

「麻里奈、大丈夫か?」
学校へ行くとよしちゃんとたかぼうが話しかけてきた。袴田の娘はニヤニヤしている。
「大丈夫ではないけど、もう勉強するしか無い。」
「お母さんのことは気の毒だったな。」
「いわないで。腹が立つの。」
「ぷっ…。」
袴田の゙娘が笑う。
「マジで袴田、ぶん殴りたい。」
「袴田は昔からハブだからな。」
「なにが娘さんが虐められます、よ。虐められてんのは袴田の方でしょ。」
そう言って麻里奈は英語の教科書を開く。
「広田の家も千里教に入ってからお兄さんが事故って死んだらしいぞ。」
3人はじっと袴田の娘を睨んだ。
「証拠さえあれば…。」
袴田の娘は不気味な笑みを浮かべている。
「とりあえず勉強しないと。」
そう言って3人は席についた。

「橘が中心に行くしか無いな。」
天界警察で借り上げているアパートでは作戦会議が開かれていた。
「橘の顔が役立つとはなぁ…。」
「まあ客寄せパンダってところでしょう?」
「拳銃の発砲を許可します。真相解明も大事ですが命あってのものですからね。」
「何を調べたらいいですか?」
「人間の死体を魔界の住人化している現場の写真が欲しいですね。」
「分かりました。」
「向田とふたりで行けるか?」
「あんまり多いと疑われる可能性がある。」
「明日の昼に近所のファミレスで会う約束を取り付けました。」
「決起は明日か。」
「今日はよく休むように。みんなも千里教絡みの犯罪は随分把握できています、この調子で頑張りましょう。」
そう言うと斗歩長官はノートパソコンを開いてなにかの書類を作成していた。

「天界警察が動いてる?」
警視庁では矢白木が話した。
「都市伝説かと思ってたよ。」
「本当に天界警察ってあったんですね。」
「鏑木さんか?」
「いや、そこまで詳しくは…。」
「昨日、天界警察を名乗る人物から警視庁宛にメールが届いたんです。千里教の証拠映像と一緒に。」
「ガサ入れだ、千里教に立ち入り調査に入るぞ。令状取ってこい!!」
「はい!!」
「前から怪しいとは思っていたんだ。」
「捜1から氷室さん、引っ張ってこい。」
「必ず上げるぞ!!」
「はい!!」

「であるからして、我々千里教は皆さんの幸せのために活動しているわけなんです。」
近所のファミレスでは陽平君と向田さんが3人の千里教職員から勧誘を受けていた。
「加持祈祷をなされるって話を聞きましたが。」
「加持祈祷なんて簡単ですよ。うちの職員になって頂けたらすぐに覚えられます。」
「どうです?」
「一度見学したいのですが?」
「では、これから見学にいきましょう。」
そう言って5人はファミレスを後にした。

陽平君は小型のカメラを持って千里教に潜入捜査に来ていた。
「これが千里教のご本尊です。」
そこには魔界の住人のミイラがあった。
「神はいます!!奇跡はあります!!皆で願えばいつかご本尊も目を覚ますと。」
「どうです!!橘さん!!」
「少し考えさせてください。ありがとうございました。」
そう言うと周りに千里教の職員が集まってきた。
「神はいます!!教祖様のために!!」
「ここまで見せて返すわけには行かないんですよ。」
向田さんと陽平君は銃を構えた。
「おやおや物騒ですね~。」
「私達は教祖様から不滅の肉体を頂いたんです。鉛玉ごときに倒れません。」
後ろが騒がしくなった。

「警視庁だ!!立ち入り調査に入らせてもらう!!令状だ!!」
「政府の犬が…。」
「半分は向こうの対応に行きなさい!!」
そう言うと教祖は刀を出した。
「橘行けるか…?」
「向田さんの動きはよく覚えましたから。」
「じゃあ行くか!!」
「はい!!」
向田さんが銃を撃つ。その援護射撃に橘は入る。

「データ上がってきたぞ!!」
「土葬の地域で千里教の大規模な建物がある!!」
「警視庁にデータの転送を。」

都内の千里教施設では向田さんと陽平君が教祖とこう着状態を続けていた。
「教祖様には生きてて貰わなくちゃいけないんですよ~。」
向田さんは笑いながらそう言う。額には汗をかいている。
「警視庁だ!!立ち入り調査に入らせてもらう!!」
ふたりは銃をしまった。
「職員か?」
「いえ、宗教の勧誘にあって帰れなかったんです。」
「職員総出で引き止められたんです。」
その時、矢白木はこの世のものとは思えない良い香りを嗅いだ。
「天界警察…。」
「え?」
「もしかして貴方たちは天界警察何じゃあ…。」
「天界警察ってなんですか?我々は民間人ですよ。」
向田さんが陽平君を後ろから叩く。
「そうです!!天界警察なんて知りません。」
「とりあえず事情聴取が済んだらお返しします。」
「分かりました。お願いします。」
そう言ってふたりは警視庁の事情聴取に応じた。

後日、下界のニュースで千里教は徹底的に糾弾されていた。土葬の地域から遺体を掘り起こし加工していた話、教団を批難した人に対しての報復行為…。
「天界のご飯だぁ…。」
陽平君はニュースを聞きながら、天界警察でご飯を食べた。
魔界の住人は依然としてこの世にいる。それでも少しの安息があった。
次の戦いまで陽平君は身体を休める。
そうして人間界まで巻き込んだ戦いが始まろうとしていた。
鏑木さんはそんな予感があった。
魔界の住人の不気味な動きは依然としてある…。
陽平君は今度の休みにすずちゃんとデートすることにした。都内のデートスポットの雑誌を読みながらにやにやしている。すずちゃんと会ったら何を話そう、そう思って、今日も職場に戻った。
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