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発展
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それから稽古を重ねて叶太と真凛ちゃんはステージにたった。
とは言っても発表会だ。
舞台の幕が上がり、クリスマスイヴにクララの家に呼ばれた子ども達が軽快なステップで雪道を歩いていく。
クララの伯父のドロッセルマイヤーがくるみ割り人形を持って出てくる。機械仕掛けの人形に子ども達は喜ぶ。
私はドロッセルマイヤー役は随分、大きな子だなと思ったが大人も出ているのかもしれない。クララと弟のフリッツが喧嘩して、くるみ割り人形が壊れる。
何の問題もなく順調に物語は進んでいく。
叶太はネズミの兵隊役だ。
クララが夜になり壊れたくるみ割り人形の様子を見に来た。
0時の鐘がなりクララの姿が人形ほどの大きさになりネズミの王様とネズミの家来が出てくる。
多分、叶太は右から3番目だな、私はそう思った。
バレエに触れたことは殆どない私が叶太を通して舞台を見ている。不思議だな。そんな事を思っていた。
クララが機転を利かせてネズミの王様はくるみ割り人形にやっつけられる。
そしてくるみ割り人形が王子になる。
そして雪の妖精たちが踊る。
第1幕はここで終わりだ。
保護者が後日購入出来るように本格的な撮影機材が回っている。
私はトイレへ行くのに席を立った。
トイレでは普段見たことのないおかあさんたちがいた。
やっぱり習わせて良かったわね、そんな話をしながら列についていた。
私は真凛ちゃんのお母さんも来てるはずだが、見つからなくてひとりでまた席についた。
第二幕の幕が上がった。
クララは王子から助けて貰ったお礼にと、お菓子の国に招待される。
そこでは世界各国の踊りが披露される。
スペイン、アラビア、中国、ロシア、フランス…。そして真凛ちゃんの出番だ。
マダムボンボニエールのスカートの中からキャンディーボンボンの真凛ちゃんたちが飛び出してくる。
真凛ちゃんはやはりひときわ美しく動いている。舞台が終わったらなんて言葉をかけよう。私は今からそう思った。
そしてクララは自宅のソファで目を覚ます。舞台は大成功だ。我が子の成長に涙ぐむお母さんや拍手しながら立ち上がるお父さん。様々な人がいた。子ども達は一番最後に整列してお辞儀する。皆がキラキラとしていた。そして最後の幕が降りた。
「真凛ちゃん、素晴らしかったわ。」
私は帰る子のなかから、まず真凛ちゃんを見つけた。真凛ちゃんはニコニコしている。
「叶太君ならトイレですよ。」
そう言って真凛ちゃんのお母さんが現れた。今までどこにいたのだろう…。
「お母さん、やっぱり私はバレエを続けたい。」
真凛ちゃんの頬が赤く染まる。
「勉強も頑張らないとね。留学するとしたら現地の言葉で、勉強するんだから。」
「留学?!私が?!」
真凛ちゃんは喜んでニコニコしていた。
叶太はゆっくりトイレから現れて、
「お母さんどこに座ってたの?」
そう言って欠伸をした。
とは言っても発表会だ。
舞台の幕が上がり、クリスマスイヴにクララの家に呼ばれた子ども達が軽快なステップで雪道を歩いていく。
クララの伯父のドロッセルマイヤーがくるみ割り人形を持って出てくる。機械仕掛けの人形に子ども達は喜ぶ。
私はドロッセルマイヤー役は随分、大きな子だなと思ったが大人も出ているのかもしれない。クララと弟のフリッツが喧嘩して、くるみ割り人形が壊れる。
何の問題もなく順調に物語は進んでいく。
叶太はネズミの兵隊役だ。
クララが夜になり壊れたくるみ割り人形の様子を見に来た。
0時の鐘がなりクララの姿が人形ほどの大きさになりネズミの王様とネズミの家来が出てくる。
多分、叶太は右から3番目だな、私はそう思った。
バレエに触れたことは殆どない私が叶太を通して舞台を見ている。不思議だな。そんな事を思っていた。
クララが機転を利かせてネズミの王様はくるみ割り人形にやっつけられる。
そしてくるみ割り人形が王子になる。
そして雪の妖精たちが踊る。
第1幕はここで終わりだ。
保護者が後日購入出来るように本格的な撮影機材が回っている。
私はトイレへ行くのに席を立った。
トイレでは普段見たことのないおかあさんたちがいた。
やっぱり習わせて良かったわね、そんな話をしながら列についていた。
私は真凛ちゃんのお母さんも来てるはずだが、見つからなくてひとりでまた席についた。
第二幕の幕が上がった。
クララは王子から助けて貰ったお礼にと、お菓子の国に招待される。
そこでは世界各国の踊りが披露される。
スペイン、アラビア、中国、ロシア、フランス…。そして真凛ちゃんの出番だ。
マダムボンボニエールのスカートの中からキャンディーボンボンの真凛ちゃんたちが飛び出してくる。
真凛ちゃんはやはりひときわ美しく動いている。舞台が終わったらなんて言葉をかけよう。私は今からそう思った。
そしてクララは自宅のソファで目を覚ます。舞台は大成功だ。我が子の成長に涙ぐむお母さんや拍手しながら立ち上がるお父さん。様々な人がいた。子ども達は一番最後に整列してお辞儀する。皆がキラキラとしていた。そして最後の幕が降りた。
「真凛ちゃん、素晴らしかったわ。」
私は帰る子のなかから、まず真凛ちゃんを見つけた。真凛ちゃんはニコニコしている。
「叶太君ならトイレですよ。」
そう言って真凛ちゃんのお母さんが現れた。今までどこにいたのだろう…。
「お母さん、やっぱり私はバレエを続けたい。」
真凛ちゃんの頬が赤く染まる。
「勉強も頑張らないとね。留学するとしたら現地の言葉で、勉強するんだから。」
「留学?!私が?!」
真凛ちゃんは喜んでニコニコしていた。
叶太はゆっくりトイレから現れて、
「お母さんどこに座ってたの?」
そう言って欠伸をした。
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