【完結】白昼夢

九時せんり

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天啓

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私は過去に神社で願ってはいけないようなことを絵馬に書きました。
その願いは叶い、私は生死の境を彷徨う事となりました。そして改めて神社に参り、その願いを取り下げると話しました。
願いは叶い、私の身体に起きていた不調は全てがさっぱりと消え去りました。
それからというもの、私は神様を信ずるようになりました。
神社というのはおかしなもので朝も昼も夜もその姿なのに夕刻にはもう人が立ち入らぬようにと言われます。
朝はサラリーマンやOLの人達が参拝していかれます。よほど信心深いことなのでしょう。
私は無事に次の派遣先が決まり、おみくじを引きに来ました。
その時、私は何となく巫女さんと話しました。
「神様って信じますか?」
「え?」
「因果応報ってあるのかなぁと思って…。」
巫女さんは少し困った顔をして、それでも真っすぐ私を見つめて、
「神様はいると思います。天罰はあると思います。」
そう言って可愛らしい顔をより一層輝かせて私と二言三言話しました。
ああ、彼は神様なのだ。
私はその時、声が降ってきたのです。誰でもない貴方のあの優しい声が降ってきたのです。
私はニヤニヤとしながら大吉のおみくじを持って帰りのバスへと乗り込みました。
帰りのバスにはICカードが上手く使えないおばあさんが入口でもたもたしていました。
私はおばあさんからICカードを受け取り、正しい場所にかざしました。
おばあさんは手話で話をされました。私は手帳を開いて、
『私は手話は分かりません。』
と書いて手帳のページを破って渡しました。おばあさんはそれを宝物でもしまうかのように丁寧に折りたたんでカバンにしまい、手話とほんのちょっとだけ出る声で私の方を見てニコニコしていました。
ああ耳が、聞こえないのか。私はそう思いながらバスに揺られました。
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