4 / 13
本編
4話 ヒロインと悪役令嬢の奮闘
しおりを挟む「では、行って参りますね。」
「気をつけてね、サリアちゃん。」
「体調を崩したら、すぐに帰ってくるんだよ。」
「学園楽しんできてね。」
順番に、母、兄、父の言葉です。甘やかされていますね、我ながら。今日は昨日倒れたことで忙しい父と兄まで挨拶に来てくれました。
「大丈夫よ。昨日はたくさん寝たし、昨日は心配かけてごめんなさい。学園楽しんできます。」
そのまま、馬車に乗り…御者は昨日と同じ人です…学園に登校した。
「では、お嬢様。またお帰りの頃に迎えに来ますね。」
「えぇ、お願いね。いつもありがとう。行ってきます!」
使用人のみんなと話す時は少し口調が崩れてしまうけど、怒られたことはないのでいつものことだ。でも、今となってはこっちの方が話やすい。
「おはよう、サリア。昨日は体調は大丈夫だったかい?」
「おはようございます、ルクレウス殿下。えぇ、昨日はご心配をおかけいたしました。もうこの通り大丈夫ですわ。」
おぉ、朝から殿下と会ってしまった。
とりあえず、今は逃げよう!そうしよう!
「それでは、失礼致します。」
そのまま、すぐに足を早めたが後ろから手を引かれてしまった。
「なぜ?同じ教室なのだから一緒に行こう。それとも、何か用事があったのかい?」
「いえ、用事などはありません……」
あー、あるって言えばよかった。今は殿下と少しでも距離を置きたいのに…
「そしたら問題はないね。行こうかサリア。」
そのまま手を取られて、教室まで一緒に行くこととなった。
「ここか。私たちの席は…あぁ、少し離れているね。」
殿下は教室に入って行って席を確かめていたが、よしっ!と心の中でガッツポーズした。これで少しでも殿下と離れられる。
「ちょっと失礼。君、そこの席交換してくれないかな?」
「え、王太子殿下。でも…決められているので勝手に変えても良いんですか?」
「それは私が教師に言っておくから心配しなくていいよ。君のせいにはしないから。君は何か聞かれたら私の指示だと言って良いからね。」
「それなら、どうぞ王太子殿下。失礼いたしました。」
なんてことをしてくれたんだ。これでは全然離れられないし、んん?こんな展開あったっけ?
「サリア、これで隣の席だね。わからないことがあったら私に聞いてね。サリアならなんでも教えてあげるから。」
「はい、お気遣い感謝致します。殿下…」
いや、全然それは望んでない。ていうか、私の方見ないでってば。そうしないと、計画が進まない!
「おはよう、サリア。昨日はありがとうね。お茶会楽しかったわ。」
「おはよう、メル。私も楽しかったわ。また、お茶会しましょうね。」
メルがきたけど、殿下のいるところでは話せない。しかも、変わる前の殿下の席はメルの隣だった。これでは、メルとは接することができなくて、サリアと接する機会が増えるじゃん。早めに計画を進めなければ。
午前の授業が終わって、昼食の時間になってメルと一緒にご飯を食べようの思ったのだか、殿下が話しかけてきた。
「サリア、昼食を食べに行こう。」
「いえ、私はメルと一緒に取る約束をしていますので失礼いたします。」
「そしたら、メルティナ嬢も一緒に食べようか。メルティナ嬢はそれでも良いかい?」
「っへ?私?いや……ぜひご一緒させてください。」
まじかー。やっと殿下と離れられると思ったのに、メルが言質取られちゃったよ。
しょうがない、今日は我慢しよう。今日だけは…
「メルティナ嬢もこう言ってるし、サリア、行こうか。」
「えぇ、場所は食堂でよろしいですか?」
「いや、サリアと食べるつもりで料理長に作ってもらったから、中庭に行こうか。あそこならバラがきれいに咲いているだろうからね。」
え、それって、最初から私と食べることは決定してたってこと?なんか怖い。明日からは絶対にお断りしよう。
決意を硬くしてるうちに中庭についた。当然のように殿下は私の横に座ってくる。
「サリアもメルティナ嬢もたくさんあるから好きなものを食べてね。」
「殿下…私が殿下と一緒に昼食をいただくなど恐れ多いです。やっぱり、私はこれで…」
「メルティナ嬢、今の私は君たちと同じ学生だし、何より、サリアの友達なんだからそんなことは気にしなくていい。ほら、このサンドイッチはとても美味しいから、食べてごらん。」
おぉ、メルと殿下が仲良くなってる。殿下と一緒にご飯食べてよかったかも!
「サリア?食べないの?これ、サリアが好きなジャム入りのサンドイッチだから食べてね。はい、あーん。」
「いや、殿下。自分で食べれますから。」
「良いから、ほら口を開けて。」
「…はい… 美味しい!やっぱり料理長の作るジャムサンドは本当においしいですね。」
殿下の圧に負けてしまった…でも、サンドイッチは本当に美味しい。何個でも食べれそう。
「やっぱり、そういう美味しいそうに食べるサリアの顔はかわいいね。」
「ぐふっ。殿下なんてこというんですか。そんな冗談はやめてください。」
やば、めっちゃ焦った。なんてこというんだ。そういうことはメルティナに言えよ!
でもそのとき、メルティナは殿下の方を見つめて何やら考え事をしていた様に見えた。殿下の様子みて次の作戦をメルティナなりに練っているのかな。まぁ、いいか。それより、お昼ご飯食べよー。
お昼ご飯を美味しく食べていたら、午後の授業の時間になった。
あ、結局何にも計画進まなかった。
はぁ、明日からかな。
「殿下、明日からは、メルと2人で昼食を食べますので、殿下もクラスの方々と交流を深めてくださいね。」
「……じゃあ、週に4回は僕とご飯を食べようね。」
「いやいや、それは多すぎかと思います。2日にしましょう。私も他のクラスメイトと交流を深めますので。」
「わかった、じゃあ、3回だ。メルティナ嬢も一緒でいいからね。これ以上は減らさないよ、婚約者との交流を深めたいからね。」
「…わかりました。それでは、教室に戻りましょうか。」
チッ。結局一緒に食べることは変わらないのか。まあ、メルが一緒にいてくれるからまだいいが。はぁー、全然計画進まなさそう。長めに見るしかないか…はぁ……
その後は、何もなく午後の授業は過ぎていった。内容が貴族令嬢として、知っていることと日本で学んだことだったので簡単で寝ない様にするのが大変だった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
王女殿下の秘密の恋人である騎士と結婚することになりました
鳴哉
恋愛
王女殿下の侍女と
王女殿下の騎士 の話
短いので、サクッと読んでもらえると思います。
読みやすいように、3話に分けました。
毎日1回、予約投稿します。
攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
【完結】誰にも相手にされない壁の華、イケメン騎士にお持ち帰りされる。
三園 七詩
恋愛
独身の貴族が集められる、今で言う婚活パーティーそこに地味で地位も下のソフィアも参加することに…しかし誰にも話しかけらない壁の華とかしたソフィア。
それなのに気がつけば裸でベッドに寝ていた…隣にはイケメン騎士でパーティーの花形の男性が隣にいる。
頭を抱えるソフィアはその前の出来事を思い出した。
短編恋愛になってます。
軽い気持ちで超絶美少年(ヤンデレ)に告白したら
夕立悠理
恋愛
容姿平凡、頭脳平凡、なリノアにはひとつだけ、普通とちがうところがある。
それは極度の面食いということ。
そんなリノアは冷徹と名高い公爵子息(イケメン)に嫁ぐことに。
「初夜放置? ぜーんぜん、問題ないわ!
だって旦那さまってば顔がいいもの!!!」
朝食をたまに一緒にとるだけで、満足だ。寝室別でも、他の女の香水の香りがしてもぜーんぜん平気。……なーんて、思っていたら、旦那さまの様子がおかしい?
「他の誰でもない君が! 僕がいいっていったんだ。……そうでしょ?」
あれ、旦那さまってば、どうして手錠をお持ちなのでしょうか?
それをわたしにつける??
じょ、冗談ですよね──!?!?
命を狙われたお飾り妃の最後の願い
幌あきら
恋愛
【異世界恋愛・ざまぁ系・ハピエン】
重要な式典の真っ最中、いきなりシャンデリアが落ちた――。狙われたのは王妃イベリナ。
イベリナ妃の命を狙ったのは、国王の愛人ジャスミンだった。
短め連載・完結まで予約済みです。設定ゆるいです。
『ベビ待ち』の女性の心情がでてきます。『逆マタハラ』などの表現もあります。苦手な方はお控えください、すみません。
伝える前に振られてしまった私の恋
メカ喜楽直人
恋愛
母に連れられて行った王妃様とのお茶会の席を、ひとり抜け出したアーリーンは、幼馴染みと友人たちが歓談する場に出くわす。
そこで、ひとりの令息が婚約をしたのだと話し出した。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
最悪なお見合いと、執念の再会
当麻月菜
恋愛
伯爵令嬢のリシャーナ・エデュスは学生時代に、隣国の第七王子ガルドシア・フェ・エデュアーレから告白された。
しかし彼は留学期間限定の火遊び相手を求めていただけ。つまり、真剣に悩んだあの頃の自分は黒歴史。抹消したい過去だった。
それから一年後。リシャーナはお見合いをすることになった。
相手はエルディック・アラド。侯爵家の嫡男であり、かつてリシャーナに告白をしたクズ王子のお目付け役で、黒歴史を知るただ一人の人。
最低最悪なお見合い。でも、もう片方は執念の再会ーーの始まり始まり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる