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本編
2話 ヒロインと悪役令嬢は戦友⁉︎
しおりを挟む「じゃあ、明日から頑張るぞー!」
「おー!」
2人の気合いを確かめたところでガチャっとドアが開いて女の人が入ってきた。
「あら?目が覚めたのね、私はここの救護室の先生のマリア・オルターよ。大きな声がしたけど何かあった?」
そういえばここは救護室だったのか。色々ありすぎてすっかり忘れていた。
「はい!2人とも元気です。マリア先生、ご心配をかけてしまいすみませんでした。」
「ご心配おかけしました、マリア先生。もうすっかりよくなったので、家に帰ります。」
サリアとメルがそう言ったのを聞いたマリアは、
「あら、そうなのね。入学式で2人も倒れたと聞いたからとても驚いたわ。でもよくなったみたいで良かった。気をつけて帰るのよ。」
「「はい、失礼します。」」
2人で救護室を出て馬車乗り場に向かっていると、
「あ、サリア!大丈夫だったかい?倒れたのが壇上から見えた時にはとても驚いたよ。ん?そっちは…あー、メルティナ・エルドー伯爵令嬢だね。君も倒れていたけど大丈夫かい?」
「ごきげんよう、ルクレウス殿下。私もメルももう元気ですわ。それよりどうしましたの?」
まじか、今ここでくるか?こんなのイベントにはなかったよね?どうしよう。まだ、ヒロインと会うはずじゃないのに!
そんなあたしの心の中を知らずに2人の会話が始まっていく。
「初めてお目にかかります、王太子殿下。メルティナ・エルドーです。これからの学園生活、よろしくお願い致します。」
メルティナが綺麗なお辞儀とともに挨拶をする。
「堅苦しい挨拶はいいよ、呼び方もルクレウスでいい。それよりも……サリア!なんでじゃないよ!君が倒れたから心配で見にきたんだよ。」
なんでかあたしの方に向かって詰め寄ってくる。
「そうでしたのね。わざわざありがとうございます。この通り2人ともすっかり元気になりました。これから家に帰るところですの、この後、メルと我が家でお茶を楽しもうと思いまして。」
「えっ?サリア、そんなことは聞いて…」
メルが余計なこと言いそうだったのでちょっと脇腹をつねって笑顔をむけると、
「あ、そうなんですの!これから、サリアと一緒にお茶を飲みながら、お庭を見せていただく約束をしているんです!」
「へぇ、2人はそんなに仲がよかったんだね。サリアの無事も確認できたし、僕はこれから城でやることがあるから今日はもういくね。」
「ルクレウス殿下、わざわざありがとうございました。お仕事頑張ってくださいね。」
「…あら?サリアとルクレウスの仲ってこんなによかったっけ?…」
ぼそっと、メルが言った言葉に驚いて聞かれてないよな、と思わずルクレウスの方を見るがルクレウスはちらっとこちらを見ただけですぐに視線を戻していたので胸を撫で下ろした。
「じゃあ、2人とも気をつけて帰るんだよ!」
そう言いながら殿下は帰っていった。嵐のようだったな。ヒロインと接触してもとりあえず何もなかった。やっぱり明日からのイベントから有効なのかな?
「じゃあ、今度こそ帰りましょうか。」
気を取り直して2人で馬車乗り場に向かって歩き出して、家に向かった。
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