斬り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ

藤間背骨

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第24話

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「すまなかったな、鹿衛しかえ。心配をかけた。しかし歳はとりたくないものだ。風邪もすぐに治らぬとは……」

 勝重の寝室に勝重と鹿島の二人はいた。
 今日も昼間は刀を振り、帰って夕食を摂ると勝重つきの小姓がやってきて、勝重の調子がよくなったと言うので勝重の部屋を訪れた。
 勝重はまだ布団から出られずに体を起こしているだけだったが、それでも鹿島は久しぶりに勝重と顔を合わせることができて安心していた。

「殿、どうかご無理をなさらず……。今日は顔を見られただけで十分です。もうお休みください」
「……うむ、そうさせてもらう」

 勝重は珍しく少し思案するように黙ってから、鹿島の言う通りに休むことにした。
 鹿島は勝重の部屋から去ると、さて今日は親則をどうしてやろうかと考えながら親則のいる離れに向かった。



 離れに向かうと、親則は牢の中に敷かれた布団の中に包まっていた。
 布団が丸く盛り上がり、鹿島が部屋に入る物音がしてもびくともしない。
 便臭で満たされた部屋で、自分の出した便が目の前にある状況で一晩放っておかれた親則は思った以上に疲弊しているようだ。
 今日が済んだら少しは親則を休ませてやろうと鹿島は思った。
 体を休めて体力を回復させるのはそうだが、心を休ませるのも同じくらい大事なことである。
 屈辱を味わい、尊厳を踏みにじられることが続くと簡単に人は狂ってしまう。
 武家は気位が高い人間が多いので尚更である。
 牢に入れているといえど、他人の目を遮れるものを用意するだけで心が長持ちするのだ。
 それが、終わらぬ責め苦を更に長引かせることになるとは皮肉なものである。
 朝には縄を解いて部屋を掃除するよう指示したから半日は体を休めているはずだ。

 部下に親則を牢から出すよう命じると、数人の部下が牢に入り、親則を力づくで引きずって鹿島の前に連れてきた。
 親則の手には金具のついた袋が被せられており、口が小さな錠で留められている。こうすると指を使って物を掴むことができなくなり、縄で縛らなくても自由を奪えるため、体を休ませるのに丁度良いのである。

「十分休まりましたか、犬吠森殿。今日のは少しきついやもしれませんが、これが終わったら数日は休みを入れましょう」

 言うと鹿島は部下に親則を縛るよう命じ、部下は手慣れた様子で親則を高手小手に縛り上げた。
 鹿島は部下を下がらせると箪笥の中を物色し、道具を色々と持ってきて準備を済ませる。
 紐のついた張型や革紐、銚子や盃、水桶などが並べられていくのを見て、親則は顔を嫌そうに歪めた。

「まずは媚薬ですね。……そう嫌な顔をしないでください。これは犬吠森殿のためでもあるのですよ。これからやることは、少し痛いもの故……」

 言うと鹿島は銚子の中身を盃にあけ、どろりと白く濁った媚薬で満たした。
 それを口に含むと親則の頭に手を回して逃れられないようにしてから唇を合わせた。口の中に強引に薬を流し込み、親則が嫌々ながらも飲み込むと親則を解放する。
 鹿島は嫌そうに水桶から柄杓で水を掬い、口の中を濯いで水を吐き捨てた。
 それから親則の後孔と会陰に当たるように結び目を作りながら股縄をかけた。

「んっ……」

 結び目が後孔と会陰を刺激し、親則は小さく声を上げる。
 それからもう一つの紐のついた張型を手に取った。陽根の根元と先端から革紐が出ているものだ。
 鹿島は張型を横に咥えさせるように親則の口に噛ませ、紐で縛った。張型に見えたそれは実は口枷だったのである。

「ん、む……っ」
「この前言っていた口枷ですよ。犬吠森殿は魔羅が大好きですからね。尻に入れるだけでは物足りないでしょう」
「んんっ……!」

 鹿島の言葉に言い返すように唸ったが、意味のある言葉にはならなかった。

「犬吠森殿は、魔羅と尻以外にも気持ちよくなる場所をご存知ですか?」

 鹿島は言うと胡座をかき、その上に親則を座らせる。
 香油を指に絡ませると、親則の体の後ろから手を回して親則の陽根を扱いた。

「そこで感じるようになるには少し時間がかかるのですが……。犬吠森殿は気持ちよいのが好きな御人ですから、きっと好きになります」

 鹿島は親則の体の後ろから手を回し、親則の陽根に手を伸ばした。

「う、うぅん……っ!」

 陽根をゆるゆると扱かれると次第に親則の陽根は勃ち上がり、刺激を与えられるとともに後孔が疼いた。

「んん、む、ぅ……ふ、ぅんっ……」

 親則が息を荒くし、その声に快楽の色が混じるようになると鹿島は先走りの滴る陽根から手を離した。
 そこから親則の引き締まった体を確かめるように手を這わせながら上に運んでいく。
 そしてたどり着いた乳首に指をあて、ぷっくり膨れた乳輪ごと強く揉み込んだ。

「う、っ……」

 冷えた指先が乳首に触れ、親則は思わず声を漏らした。

「最初はなんとも思わないのですがね、こうしていじっていると段々と下腹が疼いてくるのです」
「ん、ぅ……っ」

 鹿島の上に座らされると耳元で囁かれるような形になり、耳に吐息がかかって親則はびくりと体を震わせる。
 まだ柔らかい乳首を揉み込むように刺激していると、やがて粟立ち乳首が勃つようになる。

「硬くなりましたね」
「う、ぅ……」

 ぴんと勃った乳首を親指と人差し指でつまむと親則はむず痒さに声を漏らした。
 腰が引けそうになるが、後ろから鹿島に抱えられているのでは逃げ場もない。
 香油でぬるぬると滑りながら指で擦られ続けると、段々と下腹が疼くようになる。

「んん、むっ……ん、んぅ……」

 尻で感じるように教え込まれただけでも相当な屈辱だというのに、更に乳首でも感じるようになるというのか。
 しかし媚薬を盛られた体は貪欲に快楽を欲し、一度感じるようになってしまえばもう後戻りはできなかった。

「う、むぅ……、んんっ!」

 乳首を一際強くつままれ、親則は快楽の混じった声を上げる。

「おや、犬吠森殿はもう乳首で感じるようになったのですか? 本当に気持ちよいのがお好きな御人ですね」
「んっ、ふ、うぅ……っ、んん、んうっ……!」

 言いながら鹿島は乳首を責める手を止めない。
 指の腹で撫でられたり揉まれたりしたかと思えば軽く捻るようにつままれる。
 時折爪で引っかかれたり、乳頭に爪を立てられたりするたびに親則は喘ぎを漏らした。
 乳首を刺激されて下腹が疼くたびに張型をぎゅうと締め付け、更に強い快楽が生まれる。
 しかし達するほどではない。
 もっと、もっとと強い刺激を求める体は焦らされ、頭の中が快楽を得ることで埋め尽くされる。
 強く乳首をいじられ、陽根を扱かれ、後孔に陽根を受け入れ、奥まで突かれたい。
 そうねだりたくなる己と、そう思うことがなんと惨めなのかと思う己がいる。

「ふ、うぅ……っ、うっ、ん……っ!」

 陽根の形をした口枷を咥えているのはなんとも無様だと思うが、この口枷がなければ鹿島にもっととねだっていたかもしれぬと思うとあったほうがましに感じる。

「う、むっ……、ん、んんっ! ふ、ふぅ……」
「口枷をしていても喜んでいるとわかりますよ。犬吠森殿は乳首をいじられるのも好きなのですね。魔羅をいじられるのとどちらがお好きですか?」
「んんぅ……っ!」

 鹿島は言いながら親則の陽根をゆるゆるとしごいた。
 先走りでしとどに濡れた陽根は精を吐き出せるだけの刺激を待っている。
 しかし、それが与えられることはない。
 またじわじわと乳首を刺激され、思い出したように陽根に触れられる。
 強い刺激があるたびに縄の結び目が当たる後孔が物欲しげにきゅうと締まる。
 しばらく乳首と陽根を弄び、親則が昂る様子を見せると不意に手を離すのを鹿島は繰り返した。

「もっと弄ってくださいとおねだりができたら、いかせてあげます。できますか?」
「んんっ……、っむ、うぅ……っ!」

 そんなことを言われても、どんなに刺激が欲しくても口枷をされたままでは喋れない。鹿島はわかって言っているのだ。
 鹿島は、は、と笑う。

「犬吠森殿はどうしてほしいですか? 言ってご覧なさい」
「う、んぅ……っ、んっ、むぅ……!」

 鹿島の手の動きに合わせて親則が意味のない喘ぎを漏らすのを見て、鹿島は満足そうに目を細めた。
 そうして長い間刺激を与えられては寸止めを繰り返され、親則の頭は快楽を求めることでいっぱいになっていた。
 乳首も陽根もだが、縄の結び目で後孔だけ刺激されると奥が疼いて仕方ないのだ。
 今すぐにでも太いものをねじ込んで欲しくてたまらない。この口枷さえなければと何度思ったかわからなかった。

「そろそろ終わりにしましょうか」

 鹿島は飽きたように言うと乳首を責め立てる手を強め、仕上げと言わんばかりに強くつまんだ。

「んんんんっ……!」

 待ち望んでいた強い刺激に親則はびくりと体を震わせて達する。陽根からもどくどくと精を吐き出した。

「乳首だけでいきましたか。では、今後は乳首だけで遊んであげましょうかね」

 言うと鹿島はそばに置いてあった革紐を手に取り、笑ってみせた。

「なんて、ね。もっと気持ちのいい場所を教えてあげますよ」
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