斬り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ

藤間背骨

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第19話

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 親則を捕らえた鶴木の軍は、城主が降伏し、表向きは恭順の姿勢を取る相馬城の中に堂々と踏み入った。
 角解つのおつから事の説明を受けた勝重は、早々に広間に家臣を集め、親則亡き後の高瀬は良晴の息子、#晴時_はるとき__#が治めることを許すと述べた。
 鶴木に弓引くようなことがあれば、また戦が起きると脅すことも忘れなかった。

 その後、戦の後処理で忙しくしている角解と鷹羽を放って、勝重は鹿島を連れ、晴時に案内をさせながら城内を歩いていた。

「あれは何だ」

 我が物顔で本丸を進んでいた勝重は、御殿からぽつんと離れて建っている建物に目を向けた。
 本丸の中では一番奥に位置し、後は山肌。背丈ほどの生垣に囲まれており、入口は板戸になっている。

「あれはちか……いえ、先代様が作らせた離れでして……。限られた者しか入ることが許されませんで、私も入ったことはないのでございます。何に使っていたのか、さっぱり……。皆は先代様の庭だと言っておりましたが……」

 晴時は勝重――というより、その背後に無言で立っている鹿島を恐れるように、ぺこぺこと頭を下げながら言った。
 興味深そうに勝重はその建物に歩み寄る。

「ゆ、遊佐様」

 勝重を止めるように名を呼んだ晴時は、勝重に睨まれて身を竦めた。

「親則はもうおらぬのだろう。誰が咎めるというのだ」

 それだけ言うと勝重は板戸を開け、中に入った。鹿島も続く。
 建物に向かい石を埋めて作った一筋の道が伸びている。
 庭とも呼べる空間には井戸がある。
 戸を開けて中に入るとすぐ脇に土間があった。ここで煮炊きをするものらしい。
 勝重は履物も脱がずに中に上がる。鹿島も続き、一番最後に来た晴時は履物を脱ぐか迷っていたものの、急かされて土足のまま上がった。
 廊下に沿うように部屋がいくつか並んでおり、世話をするものが詰める場所、といった印象だった。
 奥は渡り廊下となって離れに繋がっている。親則が使うならこの奥であろう。
 勝重は渡り廊下を進み、障子をあけて中に入る。
 中にはすぐ襖が見え、大きな部屋の中に小さい部屋が入れ子になっているように見える。

「念入りな作りですね。見られたくないものがあるかのようです」

 鹿島は呟くように口を開いた。
 それにうむ、と頷くと勝重は奥の襖を開け、中にあるものを見て片眉を上げた。
 そこは薄暗い座敷牢だった。
 板張りの床に、部屋の半分が太い格子で区切られている。

「……誰を入れるのだと思う?」

 勝重は面白そうに鹿島に問いかけた。



 日も落ち始めた頃、座敷牢には大きな長持を始めとした荷物が運び込まれた。
 行灯には火が入れられて夜を迎える準備が整う。
 鹿島は荷物が全て運び込まれたのを確認し、いくつかの桶に水を汲ませると配下の者に出ていくよう促した。

 一人きりになって大きく一息つくと、牢の前に置かれた長持の蓋に手をかける。
 重い蓋を持ち上げると、むわっと湿り気のある温かい空気を感じた。
 長持の中には裸に剥かれ縄で縛られ、猿轡を噛まされた親則が横たわっていた。
 高手小手に結ばれ、胸にかけられた縄は大きく盛り上がった胸筋を強調するように食い込んでいる。
 長身で筋肉質な体を収めるには長持は小さく、窮屈そうに体を折り曲げていた。
 ぐったりとした様子だが鋭い目に力は失われておらず、鹿島を睨みつけた。
 小便の独特な臭いが鼻をつき、鹿島は口の端を釣り上げた。とはいえ、覆面の下では誰も窺い知ることはできないだろう。

「おや、犬吠森殿ともあろう御人が粗相とは。罰を与えねばなりませんね」

 嫌味たらしく言うと長持から親則を引き摺り出した。

「ぐ、うっ……」

 乱暴に畳の上に引き倒され、親則は呻きを漏らす。
 猿轡を取ると、口の中の唾を吐き出すようにむせこんだ。
 それを横目に鹿島は水桶を手に取り、中の水を親則の体にぶちまける。

「これでよし。汚いのは嫌ですからね」

 鹿島はひとりごちるように言うと牢の格子の元まで親則を引きずり、 親則の体を起こすと戒めている縄の先を格子に通し、尻が軽く浮くまで釣り上げるとそこで固定した。
 縄を手に取ると今度は足首を縛り、足を持ち上げるようにして格子に縛り付け、もう片方も同じように縛った。
 足を大きく開き、陽根も後孔もさらけ出す姿勢になり、親則は羞恥に耐えるように目を伏せている。

「いいですね、犬吠森殿の尻穴までよく見えます」

 親則のあられもない姿を楽しむように、目を細めながら鹿島は言う。
 それから用意していた銚子と盃を手に取った。
 銚子から盃に、白く濁ってどろりとした液体を注ぐと親則に近付いた。
 盃の中身を一気に飲み干すと床に膝をつき、目を伏せている親則の顎に手をかけて上を向かせる。

「なにをっ……!」

 親則の言葉は、鹿島の唇にふさがれて最後まで言うことができなかった。
 口の中に苦いものを流し込まれ、親則が抵抗の声を上げるも鹿島は引かなかった。
 そのまま鼻をつままれて息ができなくなると薬を飲み込まざるを得ず、ごくりと嚥下する。
 それを確認すると鹿島は親則を解放し、水桶に突っ込んでいた柄杓で水をすくって口を濯いだ。

「毒ではないので安心してください。ただの媚薬ですよ」

 言って鹿島は乱雑に置かれた箱の中から鉤と妙な袋を取り出した。
 獣の膀胱と腸を繋いで作ったもので、漏斗のような構造になっている。細長いほうの先端には金具がついていた。根元がくびれた円錐形をしており、管のように中が空洞になっている。
 鹿島は鉤を格子に引っかけて袋を吊り下げると、親則の前に膝をついた。
 袋の先端についた金具を持ち、親則の口に強引に押し込む。
 口内に金属の塊が入り、硬いものが歯に触れかちゃかちゃと音を立て、親則は不快そうに顔を歪める。
 金具を押し込まれて閉じられなくなった口からは唾液があふれ、顎まで伝う。

「ちゃんと唾をつけるんですよ。そうしないと痛いのは犬吠森殿のほうですからね」
「がっ、ぐ……ぅ」

 鹿島は一際奥まで金具を突っ込むと口から金具を抜き、今度はさらけ出されたままの親則の後孔を弄ぶようにつついた。

「う、っ……」

 冷たい金具が後孔に触れ、きゅっと窄まるのを楽しげに見つめながら鹿島は言う。

「可愛らしい尻穴だ。直にここに魔羅を咥えこむのが気持ちよくなりますからね」

 言って鹿島は金具を後孔に宛てがい、一気に挿入する。

「っ……!」

 硬い異物が体内に挿入され、親則は声を上げそうになったが必死に声を殺していた。
 金具に硬いものが当たる感触がして、鹿島はにやりと笑った。

「おっと、ここまで糞が来ていますね。ずっと我慢していたのですか?」

 言って鹿島は手応えを確かめるようにぐりぐりと金具を押し込んだ。
 嫌らしく責め立てるような鹿島の言動に、親則は羞恥に体を震わせ、顔まで赤く染めていた。
 後孔が金具のくびれた根元を咥えたのを確認すると、懐から紐を出して親則の腰に回し、金具が抜けないように固定した。
 それから立ち上がって水桶を手にする。

「まずは腹の中にあるものを出してもらいますよ」

 鹿島は吊り下げられた袋に水桶の中の水を注ぐ。袋から細い管を通って親則の体に冷たい水が入り込んだ。

「んんっ……!」

 冷えた水が腹の中に注ぎ込まれる何とも言えぬ感覚に、親則は顔をしかめた。

「薬が入っているので腹は痛くなりますが、まあ死ぬほどではありませんよ」

 眉一つ動かさず、水桶をゆっくりと傾けながら鹿島は言う。

「一升は入れます。……とはいえ、犬吠森殿はこちらに来てから糞をしていませんからね。いっぱい糞が溜まっているならどうでしょう。あまり入らないかもしれませんね」

「う、う……っ」

 少しずつ、だが確実に腹の中が冷たい水で満たされ、薬で刺激された腹がぎゅる、と音を立てて蠕動する。

「う、あ、ぁ……っ」

 猛烈な便意は後孔に咥えこんだ金具の刺激でさらに強まって親則を責め立てるが、どうすることもできなかった。
 腹は勝手にいきんで便を押し出そうとするが、紐で固定された金具はびくりともしない。

「あ、う、ぅ……、う、ぐっ……!」

 浅い呼吸しかできずに力なく開いたままの口からは声が漏れ、それを止めることすらできない。
 ひたすらに自分を律して生きてきた親則には、このようなことは信じがたかった。
 自分のことは自分が一番理解していると思っていたし、自分というものを制御できていると思っていたのだ。
 それが今はどうだ。
 足を開いたまま秘部をさらけ出す体勢をとらされ、浣腸までされた。
 薬で強制された便意は留まることを知らず、どんなに体に力を入れても後孔に挿入された栓のおかげで便を出すこともままならない。
 口から勝手に漏れる声は思っているより情けない響きを持って耳に届く。
 最早自分にできることは何一つないのだ。
 どんなにもがこうと排泄を見られる辱めからは逃れられないという現実が、さらに親則の心を削った。
 鹿島は袋の中に水桶の水を全て注ぐと親則の前に膝をつく。
 頭を上げる気力すら奪われたのか、苦悶の声を上げながらぐったりしている親則の顎に手をやって正面を向かせた。
 鹿島と視線が合い、見られていることを意識させられた親則の目が動揺に揺らいだ。

「どうですか、犬吠森殿。腹にいっぱい水が入って苦しいでしょう。ですが、すぐに出しては薬の効き目も薄いですから、少し待ってくださいね」

 言いながら鹿島はもう片方の手で親則の腹を撫でさすった。割れた腹筋の隆起を確かめるようにゆっくりと手でなぞる。

「ここには糞が溜まっているようですが、小便のほうはどうですか? 全部出してしまいましたか?」
「あ、あぁっ……!」

 鹿島に脇腹を押され、尿の溜まった膀胱を刺激されて親則は一際大きな声を上げた。
 その様子を見て鹿島は満足そうに笑った。

「まだ残っているのですか。いいですね」

 言って鹿島は親則の顎から手を離し、腹を撫でたあと、つ、と指を下のほうに滑らせていく。

「苦しいのはつらいですから、少し楽にさせてあげましょうね」

 鹿島は親則の陽根に手を触れるとその大きな手で陽根を握り、ゆるゆると扱き始めた。

「あっ……? う、ぅっ……っ!」

 陽根を刺激され、親則は喘ぐ。
 自分で慰めるときよりも強い快感に戸惑いながらも、なすがままにされるしかできなかった。
 すぐに陽根は勃ちあがり、次第に先走りを溢れさせる。

「媚薬もよく効いているようですね。もうこんなになってしまって……」

 鹿島はわざとくちゅくちゅと音の鳴るように亀頭を責め立てる。

「は、あっ……、あ、あぁっ……!」

 先走りを塗り込むように敏感な亀頭を愛撫され、上擦った声が漏れる。
 苦痛と便意と快楽が同時に襲い掛かってきてぐずぐずになっている親則を更に追い詰めるように、鹿島はもう片方の手で親則の膀胱のあたりを押さえつけた。

「あ、ああ……っ!」

 鹿島が腹を押すたびに親則は苦悶の声を上げる。
 尿の溜まった膀胱は刺激するたびに強い尿意を催すが、勃起している今では尿を出そうと思っても出せないのだ。

「魔羅が勃っていると小便は出せないですからね。苦しいですねえ……」

 他人事のように言いながら鹿島はぐいぐいと腹を押し、親則が喘ぐのを楽しんでいた。
 そうしている間にも腹の痛みと便意は絶え間なく親則を襲い、栓で刺激された後孔はさらに便意を増幅させ、ぎゅうと栓を締め付けている。
 陽根を扱いていた鹿島の手は、今度は裏筋を撫でるようにして刺激する。
 背筋を撫でられるような快感に思わず腰が引けるが、格子に縛り付けられた体では逃げようもなかった。

「あっ、あ……ふ、っう、ぐぅ……っ!」
「そろそろ頃合いでしょうか。あんまり長引いては苦痛のほうが勝ってしまいますからね」

 言って鹿島はぱっと親則の陽根から手を離すと立ち上がった。

「っ……!?」

 あと少しで達するというところで刺激が止み、上りつめる寸前で放り出された親則は思わず身を捩った。
 自ら快楽を欲しがっているわけではないが、薬で性欲をかき立てられ、勃ち上がった陽根は本能のままに強い刺激を求めている。それが敵から無理矢理与えられるものであってもだ。
 少しして鹿島は盥を持って戻ってきた。
 盥を親則の前に置き、親則の脇に膝をつくとまた陽根に手を伸ばした。

「あと少しの辛抱ですよ」
「あ、ぁっ……」

 言いながら陽根を握り込むように扱き、もう片方の手のひらで亀頭を撫でるようにして敏感な尿道口を刺激する。

「あ、ああっ……! ぐ、うっ……、ふっ、う、んぅっ……ああっ!」

 一際強く手のひらを撫でつけると陽根が脈打ち、どくりと白濁を吐き出した。
 未だ白濁をしぼり出している最中の陽根を扱きながら今度は親則の尻に手を伸ばし、栓を固定していた紐を解く。

「ああああっ……!」

 栓が抜け落ち、汚い破裂音と共に勢いよく薬液が噴き出たあと、茶色の太い便塊が後孔を広げながらひり出される。
 辺りにはひどい便臭が広がった。

「う、うっ、んんぅ……っ!」

 それを見ながらも鹿島は陽根を刺激する手は止めなかった。

「ああっ! ひっ、や、やめ……、あ、ああああっ……!」

 達したばかりの敏感な亀頭を刺激され、我慢させられていた便が腸壁を擦り上げながら後孔を押し広げて排泄される快楽は最早親則の体では受け止めきれず、ただされるがままになっている。
 やめてくれ、と鹿島に懇願していることにも気が付いていなかった。
 亀頭を無理に刺激されてがくがくと足が震えそうになるも、縄が軋むばかりだった。
 そのまま亀頭を責められ続け、やがて猛烈な尿意を感じるも、それを押しとどめる気力さえ残っていなかった。

「ああああっ……!」

 陽根からびゅっと尿が噴き出て、盥の中に出された便塊を濡らしていった。
 固形の便を出し終え、今度は後孔をひくつかせながら便塊の上に軟便をひり出していく。
 軟便が盥の中に落ちるたびにびちゃりと汚い音がし、尿がじょぼじょぼと水音を立てる。
 しばらくして便と尿を残らず出し終えた親則はぐったりと項垂れ、浅い息をしていた。
 その様子を見て、鹿島は手拭いで手を拭きながら鼻で笑ってみせた。

「どうでしたか犬吠森殿。人前で魔羅を勃たせながらこんなに太い糞をして、小便まで垂れて……。さぞかし気持ちのよかったことでしょう」

 言いながら鹿島は親則の髪を掴み、強引に盥の中を見せた。

「それにしても臭いですね、何を食べたらこんな臭いになるのでしょう。覆面をしているというのに臭いますよ。鼻が曲がりそうだ」

 言いながら鹿島はわざとらしく顔をしかめてみせ、鼻を手で覆う。
 それから手拭いを持った手を親則の後孔に持っていき、便に塗れた後孔をぐいぐいと拭うと、うう、と親則は声を漏らした。

「他人の尻を拭うとはよく言いますが、自分の尻も拭えないとは、情けないことこの上ないですね、犬吠森殿」

 鹿島はそう言うと手拭いも盥の中に捨て、まだ水桶に残っている薬液に目をやった。

「一回ではまだ足りませんからね。あと二、三回はやらなくてはなりませんよ」

 鹿島の言葉も届いていないのか、親則はぐったりとしたままだった。

「おやおや、まだ腹の中を綺麗にしただけだというのに」

 言って鹿島は親則の尻に手を伸ばし、よく締まった尻を揉みしだいた。

「ここで気持ちよくなれるように、きちんと躾けてあげますからね。一晩かけて、じっくりと」

 それだけ言うと鹿島は汚物でいっぱいになった盥を持って部屋を後にした。
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