斬り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ

藤間背骨

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第18話

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鹿衛しかえ、遊びに来たぞ」

 自分の幕舎で一人気を落ち着けている鹿島の元を訪れた勝重は、鹿島の前に縛られた親則を転がして不敵に笑った。

「殿……! これは、どういう……」

 鹿島はまず勝重の来訪に驚き、それから縄をかけられている親則に目をやった。

「何、どうせ腹を切って死ぬのだ。その前に儂らが遊んだとて行く末に変わりあるまい」

 言って勝重はうつ伏せに倒れている親則の髪を掴んで強引に上を向かせる。

「高瀬の狼に吠え面をかかせるのは楽しそうだと思わんか」

「しかし……」

 勝重の誘いに鹿島は珍しく渋った。

 鹿島にとって親則は自分の手で打ち倒したい相手である。
 鹿島が勝って親則を捕えた暁には気の済むまで弄んでやりたかったが、今の親則は自分の意志で降伏を選んだのである。それを無理矢理手籠めにしたとて鹿島の心は満たされない。
 その気持ちをどう勝重に伝えたものかと言葉を選んでいると、は、と親則の笑う声がした。

「何がおかしい」

 鹿島が問うと、親則は不敵に笑った。

「どうした、その覆面は。武神殿ともあろう御仁が、顔につけられた傷を恥じているのか。武神とは名ばかり、まるで生娘だ」

 挑発するような親則の言葉。
 その言葉に鹿島はすっと頭が冷えるのを感じた。
 行き過ぎた怒りは却って冷静になるのだと聞いたことはあったが、それが自身の身に起きるとは思っていなかった。

 この男、ただ殺すだけでは飽き足らない。
 その全てを踏みにじり、それから殺してやろう。

「いいでしょう。礼を取らぬ相手に礼を尽くす必要もありません」

 言って鹿島は地に伏せる親則の顔を蹴り上げると、勝重に向き直った。

「……殿。一つ約束していただきたいことがあるのですが」
「どうした鹿衛、お前の望みなら何でも叶えよう」

 勝重の言葉に鹿島は頷いた。

「犬吠森殿とは斬り合いをしてみとうございます」
「ほう……。で、儂にどうしろと言うのだ」

 興味深そうに勝重は目を細めて笑う。

「鶴木の主、遊佐勝重の名においてその機会を請け合っていただきたく存じます。俺以外の者が犬吠森殿を殺すことのないよう。たとえ殿であっても殺すことは許さぬと」
「貴様にそこまで言わせる男か、高瀬の狼は」

 面白いと笑う勝重に、鹿島は頷いて答えた。

「請け合おう」
「有難く存じます」

 言って鹿島は勝重に頭を下げると、親則に目をやった。

「吐いた唾を呑めぬこと、その体に教えて差し上げます」

 勝重は親則から離れると、鹿島の動きをにやにやと笑いながら見守った。
 鹿島はうつ伏せになっている親則に手を伸ばし帯を解くと体を蹴って仰向けにさせた。
 染みひとつない真っ白だった白装束は土埃に塗れている。
 合わせに手を差し入れてはだけさせると両の足の間に体を割り込ませ、下帯にも手をかける。
 流石にそれには抵抗があるのか親則の体が強張った。
 下帯を解いて陽根をあらわにさせると、鹿島は目を細めて親則の体をねぶるように見つめる。
 その視線から逃れるように親則は目を伏せ顔を背けた。

「いい体をしていますね、犬吠森殿」

 言って鹿島は親則の胸に指をそわせる。
 よく鍛えられて盛り上がった胸筋は少し押し込めばしっかりとした弾力を感じる。
 ぷっくりと盛り上がった褐色の乳輪があり、その中心にある乳頭は寒さからか、つんと立ち上がっていた。
 そこから指を這わせながら手を下に進める。
 綺麗に割れた腹筋の中央には窄まった臍があり、その縁をなぞるように指を滑らせると親則の体がびくりと震えた。

 そこから更に下。
 平らな下腹部には髪と同じ黒茶の下生えが茂り、太く大きい陽根がぶら下がっている。
 それを指先で軽く撫でると、親則はうっと小さく声を漏らして身を捩った。
 いかに斬り合いの強い親則とて、他人に陽根を触れられるのは強い羞恥を感じるのであろう。

「魔羅も乳首も、これからたっぷり躾けて差し上げますね」

 鹿島は羞恥に震える親則の様子を楽しむように目を細めて笑うと、袴の上からでもわかるほど勃ち上がった己の陽根を撫でさすった。
 腰紐を解いて袴を下ろし、下帯をずらして陽根をあらわにする。
 普通の男よりも遥かに大きい陽根は先走りを溢れさせ、血管が浮き上がるほど強く勃ち上がっている。
 先走りを陽根全体に塗りたくると、鹿島は親則の足に手を伸ばした。
 膝の裏に手をかけてぐいと持ち上げると、親則の後孔が鹿島の前に晒される。
 陽根の根元、でっぷりと丸く膨らんだ陰嚢から、筋の入って柔らかく盛り上がった会陰の下につぼんだ後孔があった。
 薄桃色をした後孔はふっくらと盛り上がり、冷たい外気に晒されたからか、羞恥で体が強張るからか、ひくひくと震えている。

「犬吠森殿の尻穴は綺麗な桃色をしていますね。こんなに可愛らしい尻穴に、俺の魔羅は入るでしょうか」
「っ……!」

 鹿島の言葉に親則は耳まで赤く染める。
 必死に顔をそらす親則だったが、いつの間にか親則の近くまで寄っていた勝重の両手で無理に正面を向かされた。

「ちゃんと見んか。今からあれがお前の尻に入るのだぞ」

 にやりと笑いながら勝重が言う。
 あまりに大きく怒張した鹿島の陽根を目にして、親則の目が揺らぐ。
 その様を楽しむように鹿島は目を細めて笑い、陽根を親則の後孔に宛てがい一気に貫いた。

「あ、あああああっ……!」

 痛みを伴って体内に侵入してきた異物に殺しきれなかった声が漏れる。

「ぐ、うぅ……っ」

 慣らしもせずに捩じ込んだおかげで後孔にはじわりと血が滲み、鹿島の陽根を濡らした。
 それを見て鹿島は、は、と声を出して笑った。

「どうしました犬吠森殿、血など流して。これではまるで破瓜の血。親則殿の方こそ生娘のよう」

 鹿島の言葉も親則には意味を持ったものにはならなかった。
 親則は男を抱くどころか、女を抱いた経験もない。
 機会はあったのだが、良晴の差し向けた人間かもしれぬと思うと拒むしかなかった。
 それが敵に捕まり自由を奪われて無理矢理抱かれるなど、羞恥と屈辱で何も考えられなくなっていた。
 行き場のない感情が溢れ出るように目に涙が滲む。
 後孔と腹の中をその質量で無理矢理押し広げられ、初めて異物を受け入れた体はぎゅうときつく鹿島の陽根を締めつけた。

「初めてが指など生温い。最初に魔羅の味を覚え込ませてこそですよ。どうです、俺の魔羅は?」

 言いながら鹿島はゆるゆると腰を動かし始める。
 腸壁と後孔を擦り上げながら陽根が抜かれたかと思えば、根元まで一気に埋められる。
 陽根を抜かれるときに何かが背筋を這うような感覚がし、そのむず痒さから逃れようと親則は体を捻った。

「ぐ、うぅ……っ。あっ、が、あ……っ……!」

 奥を突かれる度に親則は声を漏らす。

「きついほどに締めつけますね。それを何回も犯して、犯して、俺の魔羅の形を覚えさせるのがたまらないんですよ。犬吠森殿もいずれそうなります」

 言いながら鹿島は陽根を抜き、一息に奥まで貫く。陽根が一際大きくどくりと脈打ち、熱い精を吐き出した。

「ぐ、あっ……っ!」

 腹の中に熱いものを感じ、それが何であるか察した親則は体を強張らせた。
 鹿島が親則の中から陽根をずるりと引き抜くと、後孔からごぼりと白濁が溢れる。
 それを留めるように鹿島は親指の腹を後孔に押し当てた。

「おっと、俺の子種ですよ。ちゃんと腹に収めてもらわなくては」

 ひくつく後孔にさらにぐいと指を押し付け、円を描くように揉みながら鹿島は言う。

「安心してください犬吠森殿、痛くて苦しいのも今だけの話。きちんとここで気持ちよくなれるよう躾けてあげますからね。直に俺の魔羅が欲しくてたまらなくなりますよ」

 鹿島の言葉に反抗するように親則は睨みつけたが、羞恥に顔を赤く染めて目に涙を溜めているのでは鹿島を喜ばせるだけだった。

「しかしそれでは斬り合いはどうなる? こやつを腑抜けにしてはまともに刀を振るえるとも限らんぞ」

 勝重の疑問に鹿島は親則の後孔を弄んでいる手を離した。しばし考え込んでから鹿島は口を開く。

「約束をしましょう。これから犬吠森殿には俺に対する無礼の数々を体で償っていただくとして……。ひと月、心が折れずに耐えられたなら斬り合いをしましょう」

 親則の返答も聞かずに鹿島は用が済んだとばかりに立ち上がる。

「何だ、これだけで終いか」
「色々準備が必要ですし、今日のところはこれまで。殿、犬吠森殿をどう躾けるか話しながら酒でも飲みましょう」
「それも楽しそうだ」

 勝重も言って立ち上がると、二人は親則を残して幕舎を後にした。

「必ずだ、必ずだぞ……」

 遠ざかるその背を、親則はずっと睨みつけていた。
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