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第7話

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「っ、太公曰たいこういわく兵勝之術へいしょうのじゅつ、……ひ、密察敵人之機ひそかにてきじんのきをさっして……っ、而速乗其利すみやかにそのりにじょうじ、ぁあ、あっ……、復疾撃其不意またとくそのふいをうつ……っ」

 角解が言い終えると勝重は満足げに笑った。
 角解の背中は白い蝋で埋め尽くされ、汚れていないところなどなかった。一度背中を埋め尽くしただけでは足りず、冷えて固まった蝋を剥がしてまた蝋を垂らしたから二度目の光景であった。

「殿……、もう……っ」
「見事であった、角解。存分にひり出すがよい」

 その言葉と同時にまだ犯されていなかった首筋に蝋が垂らされた。

「あ、あああああっ!」

 限界を迎えた角解は後孔から玉を一つ、また一つと吐き出し、体の内から肉をかき分け後孔を通り過ぎる感覚に背をのけ反らせて達した。

「う、ううぅ……っ」

 それからもう一つの玉をごぶりと吐き出し、力なく角解が唸る。

「どうした、まだ一つ残っているぞ。ひり出さんか。まさか、尻の締め方をもう忘れたのか。では覚えるまで躾けてやらなくてはな」

 勝重は言いながら角解の後孔を親指の腹で揉んだ。
 勝重の言葉に角解はひっと声を漏らし、震える声で口にした。

「いいえ……、でき、ます……、故……」

 言って角解は耐えるように目を伏せ、最後の力を振り絞って腹に力を込めた。
 勝重は角解の尻たぶを割り開き、後孔を露わにする。
 つぼんだ後孔がひくついて盛り上がり、後孔が開いて白い石が覗いた。

「うっ、ん……あ、ああっ……!」

 角解は喘ぎだか呻きだかわからぬ声をあげながら、ゆっくりと玉を吐き出した。
 それを見て満足そうに勝重は笑い、やっと角解の上から退いて立ち上がった。

「鹿衛、解いてやれ」

 言われて鹿島は角解の手を戒めていた紐を解く。紐が擦れて細い手首には血が滲んでいた。

「……殿、高瀬攻め、何卒、お考えを……」

 角解の掠れた声を聞き、勝重は片眉を上げた。

「おお、そんな話であったな」

 すっかり忘れていたと勝重は言う。

「高瀬は攻める」

 有無を言わさぬ声色で勝重は言い放った。

「そんな、一晩相手をすれば考え直すと……」
「考え直す? 儂は考えないでもないと言ったのだ」

 勝重はそこで言葉を区切り、よいことを思いついたとにやりと笑った。

「高瀬攻め、お前に任せよう。腕を見せるがいい」

 勝重はそれだけ言うと鹿島と共に部屋を後にした。

 一人残された角解はしばらくぐったりしていたが、なんとか起き上がって剥ぎ取られた襦袢を手にし、それを羽織った。そして散々角解を苦しめた蝋燭が未だ火を灯しているのを見て、わずらわしげに眉を寄せる。
 燭台まで這っていくと、ふっと息を吐いて吹き消した。

 明かりを失った部屋は暗くなり、青い色をしたわずかな月明りが部屋を染めた。
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