斬り結ぶ太刀の下こそ地獄なれ

藤間背骨

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第6話

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「ぁああっ……!」

 苦痛と喘ぎの入り混じった角解つのおつの声が響く。
 角解は裸にされ、今度は手を前に縛られてうつ伏せになっていた。その上に勝重が跨り、角解の後孔を穿ち腰を打ちつけている。
 すぐ横には鹿島が座っており、その手には火を灯した蝋燭が握られている。
 それを角解の背中の上で傾けると、溶けた蝋が零れ落ちた。

「ああ、っ……」

 蝋の熱さから逃れるように角解が身を捩らせた。力の入った体は勝重の陽根をぎゅっときつく締め付け、その強い刺激に思わず達しそうになる。

「おお、そうだ角解。ちゃんと尻を締められるではないか。こうして魔羅を喜ばすのだ」

 勝重はにやにやと笑いながら言い、角解の尻をぺちぺちと叩いた。

「ぐっ……」

 屈辱に耐えるように角解は歯を食いしばる。
 そこにまた一滴蝋が垂れ、角解の背中に白い模様を描く。

「ひ、いぃ……っ、あぁっ!」

 角解は限界まで背をのけ反らせ、陽根を締め上げて今度こそ達した。細かく痙攣し、びくびくと震えるのに合わせて腸壁も収縮し、勝重の陽根を刺激した。

「ふむ、気持ちはよいが、喘ぐばかりではつまらんな。貴様は喋っているのがよく似合う」

 勝重は少し思案してから何かを思い付き、角解の尻を叩いた。

六韜りくとうそらんじてみせよ」
「なっ……?」

 角解の口から戸惑いの声が漏れる。
 勝重の言葉を聞いた鹿島は蝋燭を持っていないほうの手で口元を押さえ、くすくすと笑った。

「殿も面白いことを考えますね」
「お前ほどではない」

 勝重は笑うと、大人しくしている角解に問いかけた。

「どうした、貴様とて軍師の端くれ。兵法の一つも覚えていよう。言えたら終いにしてやる」

 角解は返事をしようとしたが、からからに乾いた喉では上手く声が出なかった。

「っ……。御意、に……」

 絞り出すような声で返事をすると、震える声で六韜、文師第一の一節を紡ぎ始めた。

文王ぶんおう將田まさにかりせんとす……。う、あああぁっ……!」

 背中に蝋の雫が落ち、角解は身悶えまた達した。その様子を楽しげに見ながら勝重は激しく律動を始める。

「どうした角解、その調子では夜が明けてしまうぞ」

 勝重は両手で角解の尻を揉みしだきながら言った。
 角解は短く息を吐き、息も絶え絶えに続きを口にする。

史編しへん布卜曰ぼくをしきていわく……っ、は、ぁ……っ、田於渭陽いようにかりせば……、將大得焉まさにおおいにうるあらんとす、ぁああっ!」

 再び蝋が垂らされ、角解の声が苦痛と快楽に満ちたものに染まる。

「りゅ、非龍りゅうにあらず、 非彲みずちにあらず……、非虎とらにあらず非羆ひにあらず、うっ……、ちょう得公侯こうこうをえん、うっ、ぐ、うぅぅっ……!」

 また一滴、蝋が背中に滴り落ちる。きつく締めあげられ、勝重の陽根はどくりと脈打って精を吐き出した。熱いものが腹の中に放たれるのを感じ、角解は歯噛みする。
 さすがに三回も精を吐き出すと勝重の陽根も萎れ、勝重は心惜しげに陽根を引き抜く。

「まだ途中なのだが……。鹿衛、張型でも持ってこい」

 勝重が命じると鹿島は蝋燭を燭台に戻し、部屋の隅まで行って物入れを漁り、しばらくすると巾着袋を手に戻ってきた。

「殿、いいものがありました」

 鹿島は言いながら巾着袋を勝重に渡し、中にあるものを見た勝重はにやりと笑った。

 勝重は巾着袋に手を入れると中身を取り出す。白い石を削って作った玉だった。大きさは一寸五分ほどでずっしりと重く、表面はよく磨き上げられ、ちらちらと揺れる蝋燭の明かりを反射していた。
 脇にあった香油の瓶を手に取り球に香油を垂らすと、持っていないほうの手で尻たぶをぐい、と分けた。ぴくぴくとひくついている後孔に押し当て玉を捩じ込む。

「ひゃっ、あ……っ」

 突然体内に埋め込まれた冷たい感触に、角解は上擦った声を上げる。
 そしてまた一つ、二つと玉を入れる。後孔が無理に押し広げられるごとに角解は喘いだ。
 玉を三つ入れられて角解の腹の中は隙間もないほどいっぱいになり、苦しげな声が漏れる。
 それを知ってか知らぬか勝重はもう一つ玉を取り出し、香油で濡らすと後孔に宛がった。

「やっ……、殿、も、う……っ」

 もう入らぬと角解は首を振って懇願するが、それを無視して勝重は強引に玉を押し込む。先に入れていた玉とぶつかり、押し戻される手応えがする。それより強く力を込めてこじ入れた。

「あっ、あああぁっ!」

 陽根では届かぬ最奧の天井をごりごりと刺激され、今までとは比べ物にならない快楽に角解は大きな喘ぎをあげてまた達した。

 勝重は四個の玉を飲み込み徐々につぼむ後孔を満足げに眺め、閉じきった後孔を円を描くようにして親指でぐいぐいと揉んだ。薄い肉越しに硬い手応えがある。

「出すなよ角解、出したら最初からだ。ちゃんと尻穴を締めるのだ。練習と思え」
「んっ……、は、ぁ……っ」

 だらしなく開いた角解の口から唾液が漏れる。

「続きを」

 勝重が先ほどの続きを諳んじるよう命じると、鹿島はまた蝋燭を手に取った。
 快楽に押しつぶされる理性の中で、どこまで言ったかを必死に思い出し、角解は続きを口にする。

「て、てん遺汝師なんじにしをおくり……、は、あっ……、以之これをもって佐昌しょうをたすけ……っ、施及三王ひきてさんおうにおよばん……ぁあああっ!」

 また背に蝋が垂らされて角解は身悶え、ぎゅうと締め付け後孔から玉を吐き出し、排泄に似た感覚に体をのけ反らせて絶頂を迎えた。

「出すなと言うたであろうが」

 言いながら勝重は角解の太腿の間に転がり落ちた玉を拾い上げ、また後孔に捩じ込んだ。

「あ、ああっ……!」

 達したばかりで敏感な最奥を刺激され、角解はまた達した。

「最初からだ」

 勝重の冷徹な声が響く。
 どんなに理不尽な命令でも、従わなければここから抜け出すことは叶わぬと角解は歯を食いしばる。
 そして浅く息を吸い、言葉を紡いだ。

「ぶ、文王ぶんおう、っあ……、將田まさにかりせんとす……う、ああっ!」

 蝋が垂らされ、角解の背中に落ちる。熱さに角解は体を捩らせるが、必死に後孔に力を入れて玉が出ないようにする。

「そうだ角解、できるではないか」

 言いながら勝重は両の手で角解の尻を揉んだ。そうされると後孔から力が抜けてまた玉を出しそうになる。それを必死でこらえて続きを言う。

史編しへんっ、布卜曰ぼくをしきていわく、ん、うっ……、い、田於渭陽いようにかりせば……あっ、は……っ、まさに大得焉おおいにうるあらんとす……あっ、ぁああ……っ!」

 熱い蝋に意思に反して体が動き、背をのけ反らせて達した。
 もう何度達したかわからない。
 体に力が入らず、ただされるがままになっている。それでも後孔にだけは力を込める。

「りゅ、非龍りゅうにあらず……ぅ、っ……! み、非彲みずちにあらず……」

 蝋燭で照らされただけの暗い部屋に、角解の苦悶と快楽を伴った声だけが響いていた。
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