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第4話

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 夜、勝重と鹿島は城内にある離れにいた。
 縁側に面した部屋で障子を開け放ち、庭と月を見ながら一杯やろうというのである。
 かしこまった場ではないので二人とも小袖姿である。勝重は胡坐をかき、少し離れて鹿島は正座していた。
 室内は行灯の柔らかな橙に染められ、外は夜の帳が落ちて青い月明りが差している。その対比は優美なものだった。
 細く欠けた月は皓々と輝き、さながら刃のようだった。
 他愛もないことを話しながら一杯、また一杯と酒を飲んでいると、縁側を静かに歩きながら小姓がやってきた。

「失礼いたします、殿」
「何用だ」

 興を削がれたと勝重が不満を露わにしながら小姓に用向きを尋ねた。

角解つのおつ様が会いたいと仰せです。如何いたしますか」

 勝重は角解の名を聞くと片眉を上げ、鹿島のほうを見やった。鹿島は微笑を浮かべながら口を開く。

「よいではないですか、丁度角解殿の話をしていたところです」

 勝重は頷くとにやりと笑いながら小姓に声をかけた。

「いいだろう、呼んでこい」

 小姓は礼をすると踵を返した。
 しばらくして角解が縁側を歩いてくる。昼と同じ紫紺の小袖袴と柳色の肩衣姿だった。
 開け放たれた障子のところまで来ると鹿島の姿を認め、わずかに目を見開き足を止めた。

「どうした角解、話があるのではないか」

 勝重はにやつきながら自分の前を指し、角解にそこに座るように促した。
 角解は二人の前に進み座った。
 角解は珍しく緊張し、言葉を紡ぐのを躊躇っている様子である。

「話せ」

 勝重が言うと角解はちらりと鹿島のほうを見た。

鹿衛しかえがいては困る話か?」
「い、いいえ……、そうでは……」
「珍しく歯切れが悪いな、角解」

 角解はごくりと唾を飲んだ。目線を下に落とししばらく黙っていたが、やがて畳に手をつき深々と頭を下げた。

「殿、高瀬攻め、何卒お考え直しを……! そして鹿島殿の蛮行、武人にあるまじき行いには罰をお与えください!」

 言い終わっても角解は顔を上げなかった。

「……武人らしくない、とな」

 勝重は顎に手を当て、皆目わからぬといった様子で答えた。

「武とは強さではないのか? 鹿衛は強い。我が軍でも最強の男、それを以てして武ではないとは。貴様の言う武とは何だ」
「武とは義によって行われるもの、義なき武とは人を苦しめる、ただの暴虐にすぎませぬ!」

 角解の言葉を聞いて、勝重はおかしいのを抑えきれないとくつくつと笑った。

「義! よりにもよって貴様が義を語るか。貴様の口から出る義ほど軽いものはない、主君を殺しその首持って寝返った貴様が、義とは!」

 哈哈、と勝重は角解を嘲笑った。
 角解は顔を上げずに言う。

「殿、今も昔も私は義によって動いております。かつての主、番匠ばんしょう様は圧政を敷き、徒に人を殺し、民が飢え苦しんでも何もしようとしなかった。いえ、何もしようとしなかったのは私とて同じ。主君に逆らうことを恐れ見ているしかできなかった。しかし殿との戦で番匠様は民を盾に逃げようとしました。私はそのとき義によって番匠様の首を落としたのです。私はいくら主君殺しと詰られようと構いませぬ、民の苦しむ様を見たくないのです。民とは国の礎、民の安らげる太平の世こそ私の願い、殿が秋津を統一し、天下を得ることでそれが叶うと思うております。そのためにも何卒敗残の兵、将に情けをかけてやってくださいますようお願い申し上げます。さすれば殿の寛大さに心打たれ、皆も喜んで臣下の礼を……」
「角解!」

 勝重が怒鳴り角解の言葉を遮った。角解はびくりと体を強張らせた。

「顔を上げよ」

 言われ、角解は手をついたまま、恐る恐るといった様子で顔を上げた。

「まっことよく回る舌よのう……。儂に意見するというなら貴様は何をしてくれる? 一晩楽しませるくらいはしてくれるのであろうな? そうすれば考えないでもない」

 勝重の言葉に角解は目を見開いた。

「鹿衛、縛れ」

 命ぜられて鹿島は音もなく立ち上がった。
 角解は鹿島を見上げ、思わず身を引いた。深緑の目には恐怖の色がありありと映し出されている。

「殿、お待ちを……」

 角解は救いを求めるように勝重を見るが、勝重はにやにやと笑うだけだった。
 鹿島は角解の元まで来ると乱暴に頬を張り、角解は倒れ込んだ。
 すかさずその上に馬乗りに跨り暴れる角解の手を掴むと、もう片方の手で懐から紐を取り出し、慣れた手つきで後ろ手に縛った。
 鹿島は角解の上から退くと、縄を解こうともがく角解の襟を掴んで勝重の前に連れて行った。

「と、殿……」

 角解は震える声で懇願するように勝重を呼ぶ。
 勝重はそれを無視して膝立ちになり、小袖の裾を捲り上げて怒張した陽根を露わにした。
 眼前に差し出されたそれを見て、角解は息を呑んだ。
 冷汗がつ、と頬から顎まで伝って落ち、畳に滴り染みを作った。

「貴様のよく回る舌で儂の魔羅を慰めたいと、鹿衛と話しておったところだ。口を開け」
「とっ、殿、口淫をさせた者は割刳処かっこしょに落ちると言います、口から脳天に釘を刺し抜き取り、また口から耳へ釘を刺し、溶けた銅を口から注ぎ込み臓物を焼く地獄、殿がそのようなところに……むっ、ぐぅ……!」

 勝重は角解の後ろ頭を押さえつけ、強引に口内に陽根を捩じ入れた。
 口の中にむわっとした匂いが広がって角解はむせ込み、眦に涙が滲む。

「歯を立てるなよ。自慢の舌を使うのだ。貴様にもこれと同じものが生えていよう、どうすればよいか知っているはず」
「んぅ……っ、んんっ……」

 角解はもがいて何ともつかぬ呻き声を上げていたが、やがて観念したかのように目を閉じ、舌を動かし始めた。

「そうだ、できるではないか」

 勝重は褒めながら、優しく角解の頭を撫でた。それが気に食わぬように角解は顔を歪める。

「よく喋る角解を魔羅で黙らせるとは、愉快愉快。もっと早く試せばよかったのう」
「むぅ、ぐっ……、うぅ……」

 角解は満足に呼吸ができずに息を荒くし、呻きを漏らしながらも勝重の陽根を慰め続けた。
 裏の筋を丹念に舐め上げ、浅く咥えて唇で雁首を絞り、また舌で刺激し、根元まで深く咥えこむ。
 口から溢れた唾液がくちゃくちゃと音を鳴らし、滴り落ちて畳にまた染みを作った。

「初めてとは思えんな。他の男に躾けられたか」
「んぅ、ううっ……」

 何か言いたげに角解が声を漏らすが、口の中を犯されていてはまともな言葉にはならなかった。
 陽根から湧き上がる快楽に勝重は息を荒くした。
 それから鹿島に張られて赤くなっている角解の頬をいたわるように手を添え、親指で眦に溜まった涙を拭い、口を開いた。

「角解、お前を側においているのはな、鳥が欲しかったからよ。皆儂の言うことに従う。それでは静かすぎてつまらぬのでな。これからもよく囀るがいい」
「ふっ、うぅ、んんっ……」

 勝重の言葉に角解は呻きを返した。

「角解、後ろが寂しそうだな。鹿衛」
「んぅ、むぅ……っ? んぅっ!」

 角解は勝重が何をしたいのか察すると、またもがいた。
 それを制すように勝重は角解の後ろ頭を押さえつける。後ろ手に縛られ頭を押さえられてはろくな抵抗もできなかった。

 鹿島は物入れから香油を取り出し、角解の後ろに回る。
 腰を捻って嫌がる角解の袴の紐を解いて下ろすと、小袖の裾を捲って帯に挟んで端折り、落ちてこないようにする。
 露わになった角解の尻を撫で上げ、下帯を剥ぎ取った。
 そして両手で尻をむんずと掴み、尻たぶを割り開く。中心にはつぼんでぷっくりと盛り上がった後孔があった。
 ひくつくそれをまじまじと検分するように見つめて鹿島は口を開いた。

「角解殿の尻穴を見たのは初めてですが、なんとも可愛らしい」
「ん、むぅ……」

 角解は鹿島の言葉を聞きたくないとでも言うように唸った。
 そして鹿島は香油の入った瓶を傾けて後孔に垂らした。香油はてらてらと光りながら会陰を伝って睾丸を濡らした。

「んんっ!」

 後孔に落ちる香油の冷たい感覚に、角解は声を上げる。
 その声を聞いて鹿島は満足そうに笑い、香油を指に絡めて後孔に人差し指を差し入れた。

「ん、うぅ……」

 体内に入り込んだ異物に角解は苦しそうに唸る。

「どうした角解、口が止まっているぞ」
「むぐっ……」

 勝重は言いながら角解の喉元まで陽根を突き入れた。
 鹿島は角解の腹の中を探るように指で腸壁を擦り上げる。
 そしてわずかに手応えのある箇所を探し当てると、そこをぐいと押し込んだ。

「ん、んんぅっ!」

 感じる箇所を刺激され、角解は上擦った喘ぎ声を漏らした。

「ほう、角解殿はここが感じるのですか」
「んぅ……、ん……っ」

 角解は羞恥で耳まで赤く染め、その眦は再び涙に濡れていた。
 鹿島は中指も入れて二本の指を根元まで埋め込み、角解を責め立てる。
 角解の陽根はゆるく勃ちあがり、先走りを流し始めていた。
 口内と尻を犯され、早く解放されたい一心で角解は奉仕を続けた。

「出すぞ、角解」

 言うと勝重は角解の頭を押さえ込んで一気に根元まで貫き、どくどくと精をぶちまけた。

「んんんんっ!」

 喉の奥に熱い精を吐き出され、角解はむせる。
 口の中にいがいがとした苦味が広がり、吐き出そうとしたが勝重は角解の頭をまだ離さず、空いたほうの手で角解の喉元に手を添えた。

「飲め」

「ん、んぅ……っ」

 角解の喉が動いて精を飲み下したのがわかると、勝重はようやく角解の頭から手を離し、口から陽根を抜き去った。

「は、あ……、は……」

 やっと満足に呼吸できるようになり、角解は口を半開きにして息を吸い込んだ。舌の先から唾が長い糸を引いて滴り落ちる。

「鹿衛」

 言われると鹿島は角解の後孔からずるりと指を引き抜いた。角解は鼻にかかった声をあげ、力なく畳に倒れ込んだ。
 鹿島が退くと勝重は角解を足で蹴って仰向けにし、その両足の間に体を滑り込ませた。
 責め苦はもう終わったものと思っていた角解が身を強張らせた。

「まだ終わらんぞ角解、貴様の口と尻、どちらの具合がいいのか確かめねばな」
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