オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将

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第49話 オッサン齢53歳にしてキレる。

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 リーダー格の声が聞こえたので、取られないように慌ててアイテムを確保するためにしゃがみ込んだ。

「なっ!」
 いきなり背中と後頭部に衝撃が走る。

「よっしゃー確保したぞ!」
 俺が低い体勢になった所をハンマーで背後から殴りつけていた。
 慌てて振り向くと、俺にトドメを刺そうと攻撃してくる所だった。

 ギリギリでその攻撃をシールドで受け止めた。

「君達!ダンジョン内での探索者へ攻撃は反撃で殺されても文句言えないんだぞ!」
 俺たちと一緒に来ていたおっさんが大声で忠告してくれている。

「うるせーよ!文句あるならかかってこいよ!」
 リーダー格の横で別の男が挑発してくる。

「キャッ!」
 千紗に数人の男が襲い掛かろうとした。

「やめろー!」
 慌てて千紗に駆け寄ろうとしたが、相手の方が近い。

 千紗が相手が持っている棍棒で打ち据えられる。

『緒が切れました、一時的に全てのステータスを耐久力と同じ値にします」
 そんな声が頭の中で聞こえた気がした。

「き・さ・ま・らぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
 怒りで思考が吹っ飛んだ。

「オルァァ!」
 今まででは考えられなかった、スピードで一瞬で千紗のそばにいる男まで近づき、殴りかかる。

「ダメェ!私なら平気だから!殺しちゃダメ!落ち着いて!」
 千紗が俺に抱きついて止めに入った。
 おかげで少し冷静になる。
 怒りは静まっていないが、何も考えられない状況ではなくなった。

「ヒィィィ」
 殴りかかった相手は恐怖で腰を抜かしていた。

「フゥフゥフゥフゥ」
 俺は荒く息をしながら、自分がいつも付けている装備を外す。
 これでいきなり死ぬことは無くなった。

「ウワァァ!」
 別の男が恐怖に耐えかねたのか襲いかかって来た。

 その攻撃を無視して、そいつの顔面を掴んだ。
 攻撃が当たりはしたが、どうって事ない。
 こいつらのレベルが低いせいで先程の不意打ちでさえほとんどダメージを受けなかった。

 しっかり掴んだ状態でリーダー格にこの男をぶん投げた。

「うわぁぁ」
 リーダー格は避けきれず、隣で騒いでた男と一緒に押し潰されるように転がる。

 そして、千紗を直接攻撃した奴の前まで一瞬で移動する。

「な、なんだよ!も、文句あるのかよ!」
 無言でそいつの手首を掴んで、そのまま握り潰した。

「ギャァァァァ!」
 そしてその手をつかんままの状態でさらにリーダー格にぶん投げる。

「うわ!」
 やっと、立ち上がった所に再度人間が降って来た為、もう一度ひっくり返った。

 俺はリーダー格にゆっくりと近づいていった。

「な、な、な、何してるんだ!一斉にかかればどうって事ない相手だろ!早く!打ち合わせ通りに攻撃しろ!」

 残りの奴らが一斉に攻撃して来たが、俺は避けない。
 避ける必要もない。

 殴ろうかと思ったが、多分こいつらじゃ耐えきれなくて死ぬ。

 千紗のおかげで戻って来た理性でそう考えた俺は、襲って来た奴の手を掴んで無理な方向に引っ張った。

 その度にゴキン!ゴキン!と音がして肩から脱臼して行く。

 何人かは勢いで肘から折れたやつもいたようだ。

 リーダー格の隣にいた奴も攻撃して来た。
 こいつは最初の時から俺を挑発してた奴だ。

 1人くらいは見せしめにした方が良いなと思ってた。

 いや、それは言い訳だな。
 こいつは最初から気に食わなかった。

 一切防御せずに攻撃を無視して、相手の顔の下半分を掴む。
 そのまま力任せに握って顎を砕く。

「ガァァ!」
 日頃聞いたことの無い凄い声が男から漏れた。

 逃れようと暴れてる手を摘み捻り折る。
 泡を吹き出して気絶したようなので、反対側の腕をへし折って、目を覚まさせる。

「お前だけ無傷なのも納得いかないな」
 リーダー格のやつに向き直って、そう言うと。

「まて、話し合おう!」
 と、まるで漫画の悪役みたいな事を言い出した。

「これ以上俺たちに絡むな、次見かけたら動けなない状態にしてモンスターが徘徊してる場所に捨てる」

「分かった!このダンジョンから出て行く!」

「言ったな?約束だぞ、明日の時点で見かけたらモンスターの餌にするからな」

「分かった!約束する!」

「あ、それとレアドロップ品は返してくださいね!」
 いつの間にか隣に来てた千紗がリーダー格にそう告げた。

 千紗の元気な声を聞いたからか、制限時間が来たからなのか、俺の中に残っていた怒りがスーッと抜けて行く。

 堪忍袋のスキルがどんなものかわかったが、使いづらすぎるな。

 気を取り直して、スカラベに行ったがレアドロップはしなかった。
 やっぱり安定しない。
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