オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将

文字の大きさ
上 下
26 / 52

第26話 オッサン齢53歳にしてビビる。

しおりを挟む
「おはようっすー、久々にガチ装備してきたんすけど、ちょっと太ったみたいで、少しきついんすよー!
 動き悪くなると思うんで、先に謝っておくっす」
 日頃の着崩しただらしないスーツ姿と違いコンバットスーツの笹かまは凛々しかった。

「いやぁ、そうやって見るとやっぱり、探索者って感じで凛々しいな」
 日頃のヘラヘラ笑いもなんか余裕ある人みたく見えて頼もしく感じるから不思議だ。

 笹かまが準備中とプリントアウトした張り紙を出入り口貼って鍵をかける。

「本当にこれで大丈夫なんだよね?」

「あーぶっちゃけヤバいっす、バレたらめっちゃ怒られるっす、なんで内緒でお願いっす」
 ヤバいって言う割には相変わらずヘラヘラ笑ってる。

 そのまま3人でダンジョンに向かい、転送用のプレートの方へ行こうとした。
「あ、ちょっとストップっす、俺ボス倒してないんで、そのプレート使えないっすよ」

「え!あ、そっか協会の職員がボス倒す必要ないもんな」

「そっす、ここのダンジョンには今日が初めてっすね」

 あれほど苦労したボスにまた挑戦しなきゃならないのか…。

 笹かまに気を使わせるわけにもいかないから、努めて平静に5階まで向かう。

「あ、ボス居たっすね、剣崎さん大丈夫っすか?なんか動きおかしいっすよ、リラックスリラックス!」

 流石にボスを目の前にして平常心のままでいられなかった。

「大丈夫だ、とりあえず3分耐えてくる」

「あ、最初の3分は俺がするんで大丈夫っすよ、俺のせいでワープ使えなかったんすから、それくらいの仕事は任せてくださいっす」

 手の中で海外で見るような特殊警棒を器用にクルクル回し、ブンって1度振って警棒を伸ばす。

 後ろ姿が様になってる。

 余裕の足取りで近づくとこちらを振り返り。
「あ、俺空中機動持ってるんで動き見てくださいね、参考になると思うんで」

「笹かま!前!前!」
 既にボスが臨戦状態で向かって来ていた。

 振り向きざまに空中を蹴ると、そのままトンッ!トンッ!トンッ!とまるで足場があるように上に登っていき横の壁を蹴るような動作をしてボスの後頭部辺りに回り込む。

 そして、そのまま警棒で頸椎の辺りを叩く。

 ボスがビクッと痙攣したかと思うと、ドォンという音と共に前のめりに倒れた。

「え?あれ?スーパーアーマーは?」

「スタンしてるだけっすよ、ダメージ通らないっすけど、状態異常通るんで、俺ら工兵系はダメージよりこういう状態異常の方が得意っすから、これで毒かまして弱体化がセオリーっすけど、剣崎さん居るんでそこまで要らないかなって」

「このまま3分待つ感じなのか?」

「1分すね、麻痺率100パーじゃないんで、もう少し離れてて欲しいっす」

 それから、笹かまは相手が起き上がる度にスタンをさせた。

 だんだんスタンしづらくなるらしく、最後はの3発目はかなり手こずっていたが、空中機動をうまく使いボスを翻弄し相手に掠りもさせない。

 そして何度目かの攻撃でスタンさせる。

「いやぁ、3発目は3割くらいしか麻痺らないんでちょっと手間かかっちまったっす」

「いやぁ、充分凄いよ!全然当たる気配無かったし!」

「空中機動は相手の攻撃避けやすいっすから、あんなもんすよ、とりあえずトドメよろしくっす」

「あ!ああ、そうだね、ダメージ的には無傷なんだった」
 シールドバッシュでトドメを刺した。

「そんじゃ、サクッと10階行って実験結果の確認っすね」

 本当にサクッと10階まで到達した。

 ボス戦の動きもそうだが、笹かまってかなりレベルの高い探索者じゃないだろうか?

 モンスターに遭遇しても、自然な動きでドンドン倒していく。

 戦闘が始まったと思って身構えると倒し終わる。

 俺自身がレベル低すぎる上に他の探索者全然見た事無いせいもあるけど、ある程度強い探索者だとみんなこうなるのか、笹かまがメチャクチャ強いのかの判断がつかない。

 俺よりずっと強いのは間違いないんだけど。

「こんなに強いなら、現役でも充分いけるんじゃないか?」

「いやぁ無理っすね、流石にこの辺の階層なら余裕っすけど、ビビりなんで本来の探索階層行くと震えて動けなくなるっす。
 使いもんにならんくて、心折れたんで、もう1回行け言われても厳しいっすね」

「ところで、笹かまって何レベルあるんだ?」

「え、あ、俺っすか?んー内緒っす!」
 そう言ってヘラヘラ笑う。

「そうなのか、同じくらいのレベルまで上がったら一緒に探索者やらないか?って誘っても良いか?」

「良いっすよ、同じレベルになったら教えるっすね」

「よし!笹かまのレベル教えてもらうっていう目標が出来たな!」

「応援してるっす!俺も剣崎さんとならやっていける気がするっす!」

 そんな話をしながらジャイアントラットを見つけた。

「あ、記録用にドローン飛ばすんで、ちょっと待ってくださいっすね」
 今回は実験結果の確認という理由なので、これ飛ばさないと、バレた時に怒られるじゃ済まないらしい。

 これを見せてうやむやにして、怒られるのを回避するとか。

 なかなかタイトロープな仕事ぶりだな。

 普通思いつきでクビかけるか?

 やっぱり探索者の方がこいつは向いてるんじゃなかろうか?

 今回は俺がスライム液、笹かまがウォータードロップ入り、千砂が補充役兼着火役ですることになった。

 そして、ジャイアントラット狩りが始まった。

「よし!そろそろ着「まあまだっすよ!救援信号使わせてもっとバンバン集めるっす!」あ、ああ、そうか、笹かまがそう言うなら」
 笹かまがノリノリだ!

「あ!今順番逆だったのに粘着でたっす!俺がめっちゃ水かけるんで、バンバン液よろしくっす!」

 空中機動まで使い出した。

 時々固まりを蹴飛ばして別の固まりにぶつけて、1つの大きなネズミ玉にしていく。

「お、おい、流石にもういいんじゃないか?」

 ネズミの固まりがとんでもない大きさになった。

「そうっすね、どうなるかわからないから限界まで離れてから魔法っすね」

 その言葉を合図に全員で離れる。

「よし!千紗、今だ!」
「はい!」

 ドグァァァァン!

「うぉぉぉ!」
「キャァァァァ!」
「ヒャッハァァァァァ!」

 とんでもない大爆発が起こった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~

喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。 庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。 そして18年。 おっさんの実力が白日の下に。 FランクダンジョンはSSSランクだった。 最初のザコ敵はアイアンスライム。 特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。 追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。 そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。 世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

『おっさんの元勇者』~Sランクの冒険者はギルドから戦力外通告を言い渡される~

川嶋マサヒロ
ファンタジー
 ダンジョン攻略のために作られた冒険者の街、サン・サヴァン。  かつて勇者とも呼ばれたベテラン冒険者のベルナールは、ある日ギルドマスターから戦力外通告を言い渡される。  それはギルド上層部による改革――、方針転換であった。  現役のまま一生を終えようとしていた一人の男は途方にくれる。  引退後の予定は無し。備えて金を貯めていた訳でも無し。  あげく冒険者のヘルプとして、弟子を手伝いスライム退治や、食肉業者の狩りの手伝いなどに精をだしていた。  そして、昔の仲間との再会――。それは新たな戦いへの幕開けだった。 イラストは ジュエルセイバーFREE 様です。 URL:http://www.jewel-s.jp/

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

望んでいないのに転生してしまいました。

ナギサ コウガ
ファンタジー
長年病院に入院していた僕が気づいたら転生していました。 折角寝たきりから健康な体を貰ったんだから新しい人生を楽しみたい。 ・・と、思っていたんだけど。 そう上手くはいかないもんだね。

処理中です...