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英雄さまの謝罪
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こういうの、世の中広いといえばいいのか狭いといえばいいのか……とにかく、己の無知さに呆れてものが言えなくなってしまった。
だから知らなかったんだ。
親父が「うさぎ獲ったど~」感覚で気軽に狩ってた動物が実は魔物で、世間では災害級だといわれているなんて。
因みに目撃情報が出たら直ぐに避難勧告が出され、最高ランクの冒険者とそのゆかいな仲間達が十数人で対処にあたるらしい。
親父は片手でくるって回してました。くるって。お肉は肉厚で濃厚でジューシーなんだけど、みんな食べた事ないんだって。勿体無い。
俺も親父も所謂「魔法」と呼ばれるものは使えるんだけど、お肉焼いたりお水で洗ったりとか生活に使う程度だからそんなに詳しくないんだよね。
だから知らなかったんだ。
世の中には結界魔法?と呼ばれる魔法とかブレスを防ぐ事が出来る魔法があるんだって。
……え、魔法って手で弾かないの?魔物のブレスくらい片手でぺいって出来るよね?
因みに親父はふんっ!って一息で消してましたよ。あれ気合なのかな息なのかな。
あと、旅の途中で、嵐で倒壊した木をまとめて風で持ち上げてそのまま切り刻んで薪にしてあげたら腰抜かされたよ。
あんな大木を複数持ち上げるだけでもかなり魔力を消費するから出来る人間はそういない。さらに現状を維持したまま細かく切り刻むという細かい操作は普通出来ないんだって。
……大木?あれで大きいの?しかも、動かない木をカットするくらい普通出来るよね?え、普通木は動かないの?動く木は魔物の一種なのですか。そうですか。木は成長したら動くものだと思い込んでましたよ。もちろんお口チャックしましたよ。
他にもまだまだまだまだたくさんあって、俺、家を出てからずっとカルチャーショックを受け続けてたわけ。
親父より強くなる為に修行に出て、実は俺って強かったんだって分かったまではまだいいんだけど、実は俺の親父殿は化け物だったんだと分かったときのあの絶望。
下手すると親父だけでなく俺も軽くばけも……ごほごほ。
そんな世間知らずな俺だから、最初に人と話したときは「なんだこいつ」って顔されたよね。どこの田舎物なんだってさ。
だから、何でもかんでも聴かないようにして、笑ってしったかぶるスキルを手に入れたよね。
笑いながらお話を聴いて、観察して、情報を精査して、色んな話を繋げて推察する力はついたと思うんだ。
……そう。色んな話を繋げて推測した結果、とんでもない結論に達しちゃったんだよね。
なんというか、もう、本当にごめんなさい。
特に、某魔人様。貴方様には本当にお詫びのしようがありませんでした。
この間、魔王(仮)と呼ばれている魔人と戦ったんだけど、彼の評判の半分くらいは濡れ衣でした。
人を殺したりとか直接手を下す系は本人のものなんだけど、一瞬で土地を焼き尽くしたとか、魔物を氾濫させて人里を襲ったとか……なんかそれ、凄く思い当たる節があるんだよね。
前に、「バーベキューに便利だから覚えておけ」と広範囲の火炎魔法を親父に見せてもらったんだけど、この間地図見たら魔法飛ばした方角とばっちりぴったりおんなじだった。
酔って、「酒のつまみが足らん」と夜の森に入って暴れた結果、森のゆかいな仲間たち(魔物)が大量に逃げ出したんだけど、逃げた先で魔物が人を襲っていたらしい。
なんというか、もう本当にごめんなさい。魔王(仮)くんが魔族一強、人間ホロボシテヤル系の人だったから良かったけど、濡れ衣冤罪だめ。絶対。
因みに、なんで魔王(仮)なんだろう。親父以外で一番強かったし、もう魔王でいいんじゃない?と思ったけど、どうやら魔王は誰でもなれるものではないらしい。
生まれもっての強大な魔力と圧倒的な強さを持った魔族が、魔王の証的なものを継承して初めて魔王を名乗れるらしい。
その魔王の試練的なものを乗り越えたマックス魔王は神にも匹敵するような恐ろしい力を有しているため、神の力を宿した神器でなければ攻撃が効かないのだとか。
一般常識らしいけど当然田舎者の俺は知らなかったのでにこにこ笑って「ですよね~」って顔してたけどね。
だから魔王(仮)くんも魔王至上主義というか、崇拝している感じだった。
因みに今、マックス魔王(真)既に居るらしい。魔王の証を継承して魔王(真)として覚醒して、これから人間を滅ぼそうというところで突如失踪したらしい。
だから、魔王(仮)くんも必死に探していて、魔王(仮)くんが人里を襲ったのも、人間が魔王になにかしたのかと疑っていたらしい。
……魔王(真)の特徴聴いたんだけど、俺、多分その人知ってるわ。
昔、俺が小さい頃、騒がしくて目が覚めて扉からそっと覗いてみたら、なんか親父と知らない人が言い争っていたんだよ。
真夜中に訪問とか常識ないのか的な感じだったと思う。で、面倒になった親父がべしっと……。
一瞬しか見てないけど、親父にべしっとやられて吹き飛んだ人、魔王の特徴にそっくりなんだよね。
でも流石に、複数の神器を使って囲んでフルボッコにしないと倒せない魔王を、あんな、ハエでも払うかのようにとかね……流石の親父でもね……あはは。
まぁ、ここまで言えばお分かりいただけるであろう。
これだけ滅茶苦茶な化け物を知っている身としては、最強だのなんだの言われても居心地が悪いし、素直に賞賛を受ける事も出来ないわけ。
だからもう、田舎に帰ろうかなぁって思ってたんだよ。
だから知らなかったんだ。
親父が「うさぎ獲ったど~」感覚で気軽に狩ってた動物が実は魔物で、世間では災害級だといわれているなんて。
因みに目撃情報が出たら直ぐに避難勧告が出され、最高ランクの冒険者とそのゆかいな仲間達が十数人で対処にあたるらしい。
親父は片手でくるって回してました。くるって。お肉は肉厚で濃厚でジューシーなんだけど、みんな食べた事ないんだって。勿体無い。
俺も親父も所謂「魔法」と呼ばれるものは使えるんだけど、お肉焼いたりお水で洗ったりとか生活に使う程度だからそんなに詳しくないんだよね。
だから知らなかったんだ。
世の中には結界魔法?と呼ばれる魔法とかブレスを防ぐ事が出来る魔法があるんだって。
……え、魔法って手で弾かないの?魔物のブレスくらい片手でぺいって出来るよね?
因みに親父はふんっ!って一息で消してましたよ。あれ気合なのかな息なのかな。
あと、旅の途中で、嵐で倒壊した木をまとめて風で持ち上げてそのまま切り刻んで薪にしてあげたら腰抜かされたよ。
あんな大木を複数持ち上げるだけでもかなり魔力を消費するから出来る人間はそういない。さらに現状を維持したまま細かく切り刻むという細かい操作は普通出来ないんだって。
……大木?あれで大きいの?しかも、動かない木をカットするくらい普通出来るよね?え、普通木は動かないの?動く木は魔物の一種なのですか。そうですか。木は成長したら動くものだと思い込んでましたよ。もちろんお口チャックしましたよ。
他にもまだまだまだまだたくさんあって、俺、家を出てからずっとカルチャーショックを受け続けてたわけ。
親父より強くなる為に修行に出て、実は俺って強かったんだって分かったまではまだいいんだけど、実は俺の親父殿は化け物だったんだと分かったときのあの絶望。
下手すると親父だけでなく俺も軽くばけも……ごほごほ。
そんな世間知らずな俺だから、最初に人と話したときは「なんだこいつ」って顔されたよね。どこの田舎物なんだってさ。
だから、何でもかんでも聴かないようにして、笑ってしったかぶるスキルを手に入れたよね。
笑いながらお話を聴いて、観察して、情報を精査して、色んな話を繋げて推察する力はついたと思うんだ。
……そう。色んな話を繋げて推測した結果、とんでもない結論に達しちゃったんだよね。
なんというか、もう、本当にごめんなさい。
特に、某魔人様。貴方様には本当にお詫びのしようがありませんでした。
この間、魔王(仮)と呼ばれている魔人と戦ったんだけど、彼の評判の半分くらいは濡れ衣でした。
人を殺したりとか直接手を下す系は本人のものなんだけど、一瞬で土地を焼き尽くしたとか、魔物を氾濫させて人里を襲ったとか……なんかそれ、凄く思い当たる節があるんだよね。
前に、「バーベキューに便利だから覚えておけ」と広範囲の火炎魔法を親父に見せてもらったんだけど、この間地図見たら魔法飛ばした方角とばっちりぴったりおんなじだった。
酔って、「酒のつまみが足らん」と夜の森に入って暴れた結果、森のゆかいな仲間たち(魔物)が大量に逃げ出したんだけど、逃げた先で魔物が人を襲っていたらしい。
なんというか、もう本当にごめんなさい。魔王(仮)くんが魔族一強、人間ホロボシテヤル系の人だったから良かったけど、濡れ衣冤罪だめ。絶対。
因みに、なんで魔王(仮)なんだろう。親父以外で一番強かったし、もう魔王でいいんじゃない?と思ったけど、どうやら魔王は誰でもなれるものではないらしい。
生まれもっての強大な魔力と圧倒的な強さを持った魔族が、魔王の証的なものを継承して初めて魔王を名乗れるらしい。
その魔王の試練的なものを乗り越えたマックス魔王は神にも匹敵するような恐ろしい力を有しているため、神の力を宿した神器でなければ攻撃が効かないのだとか。
一般常識らしいけど当然田舎者の俺は知らなかったのでにこにこ笑って「ですよね~」って顔してたけどね。
だから魔王(仮)くんも魔王至上主義というか、崇拝している感じだった。
因みに今、マックス魔王(真)既に居るらしい。魔王の証を継承して魔王(真)として覚醒して、これから人間を滅ぼそうというところで突如失踪したらしい。
だから、魔王(仮)くんも必死に探していて、魔王(仮)くんが人里を襲ったのも、人間が魔王になにかしたのかと疑っていたらしい。
……魔王(真)の特徴聴いたんだけど、俺、多分その人知ってるわ。
昔、俺が小さい頃、騒がしくて目が覚めて扉からそっと覗いてみたら、なんか親父と知らない人が言い争っていたんだよ。
真夜中に訪問とか常識ないのか的な感じだったと思う。で、面倒になった親父がべしっと……。
一瞬しか見てないけど、親父にべしっとやられて吹き飛んだ人、魔王の特徴にそっくりなんだよね。
でも流石に、複数の神器を使って囲んでフルボッコにしないと倒せない魔王を、あんな、ハエでも払うかのようにとかね……流石の親父でもね……あはは。
まぁ、ここまで言えばお分かりいただけるであろう。
これだけ滅茶苦茶な化け物を知っている身としては、最強だのなんだの言われても居心地が悪いし、素直に賞賛を受ける事も出来ないわけ。
だからもう、田舎に帰ろうかなぁって思ってたんだよ。
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