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序章
Prologue
しおりを挟む果てしなく広がる、心地よい静けさを優しく包む朝焼けの空。
寂しげな水色と恋慕の薄紅が交じり生まれる薄紫はもう会えぬ人を恋い慕う気持ちに、どこか似ている。
ここは雲の上、神々の住む天界。
天使達の健やかな寝息の隣、人々を見守る神様は今朝も、オーケストラのように響く人々の願いに耳を傾けていた。
「海斗……」
あの日からずっと祈るように聞こえる声は、か細く頼りなく、けれど消える事なく今も天に届き続けている。
静かな朝のひと時のように儚く散った恋を、神様は天使達と共に見ていた。
せっかちな天使達のいたずら……のせいではない。出逢うべくして出逢った二人は、他の者の運命の干渉を受け、引き離されてしまった。
神を侮り、運命を狂わせる悪魔のせいで。
空の広がる先、遥か彼方を見据える神様。
驕れる者、侮る者、傷つける者……全ては淘汰されていくだろう。
それは天の定め。
いずれは哀しき運命を持つあの者達も、また巡り会えるはずだ。
人を慈しみ、その営みを優しく見守る神の瞳には、果てしなく遠い、運命の行き着く先まで全て見えていた。
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