とある一般人女性の日常

歌龍吟伶

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まるでリハビリセンター

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その新人は、六十代。

密かに「じーさん」と呼ばれる彼は、とてもおとなしく真面目な男性だった。

しかし致命的に物覚えが悪く、作業が覚えられない。

商品も覚えることができず、黒い商品と茶色い商品の見分けすらつかなかったのだ。

年齢的に目が悪いのか?

だが彼は眼鏡をしていない。

少しずつ覚えるかと思いきや、半年ほど経っても進歩が見られず。

ついに、同年代である現場の責任者が自ら指導に入った。


「ここに商品シール貼るんだよ」

「ここですか」

「そう」

「…」

「いや、他のも!同じ所に貼るの!」

「はぁ…」


小分けにした袋ひとつひとつに貼らなければならないシール。

しかしじーさんは、一つに貼ったらもう次のことが出来ない。

上司がつきっきりで隣に立たなければ進めることができない程で、その様子を見た同僚たちはみな同じことを思ったという。


「…リハビリ?」


もはや認知症のリハビリにしか見えない。

六十代男性二人が肩を寄せ合いシールを貼っていく…老老介護のようであった。

三十分ほど作業を見守っていた上司は、疲れ果てた様子でギブアップ。


「もう駄目だ…たった10袋にシール貼るだけなのに!!」


お手上げである。

しかしじーさんを雇ったのは上司。

責任を持って指導して頂きたいとの現場の声で、数日間は上司がじーさんについた。

その後、なんとかシール貼りは覚えたよ!と上司が言い逃げしたため他の作業も任せてみたが、じーさんは一人になるとやはり何も出来ず。

色の違う商品を混ぜてしまったり、別のシールを貼っていても気づかない。

コレをココに置いてきて。

という単純な指示がやっとで、そんなのを毎回やっていられない現場は悲鳴を上げるしかなかった。

どんなに使えなくても、本人に辞める気がなければ解雇できないから。

結局彼は一年程勤めてくれたが、病気をして退職した。

その間、じーさんとペアを組まされることが多かったスタッフはストレスで湿疹が出たり体調を崩したりして悲惨だったとか。

風の噂によると、じーさんはどこかで警備員として立っているらしい…
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