異世界YouTuber、バズる!!

歌龍吟伶

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異世界YouTuber誕生

第9話

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「ここはドワーフギルド。職業の登録なんかをする所なんだが、まあ人間で言うところの戸籍ってやつだと言えば伝わるか?」


「なるほど、つまり俺の名前とかを登録してもらえばいいわけか。でも人間でもいいのか?」


種族違いますけど。


「構わん構わん、お前さんにはドドルスの領土内に家を作ってやるんだからな。むしろここで登録しないと住めないんだ」


なるほどなるほど。

しかし問題があるぞ、俺は自分の名前くらいしか書けるものがない。

差し出された紙を見ると、やっぱり出身地とか書く欄があった。


(やべ、どうしよ…つーか字も読めるし言葉もわかるし便利だな)


宇宙語だったら詰んでたよな。

名前だけ書いて固まってしまった俺を見て、ジャラナは首を傾げてドーグは溜息をつく。


「そうか、お前さんは名前くらいしか覚えてないんだったな…」


「そうなのかい、そりゃ深刻だね…診察は受けたのかい?治療が効けばいいけど」


二人は同情の眼差しを向けてきて、登録は名前だけでOKってことになった。

臨機応変は有り難いけどザルすぎやしないか。

ドワーフという種族はかなりお人好しが多くて人情派みたいだ。

治療の申し出は丁重にお断りして、ドーグの家に連れて行ってもらう。


「ここが俺の家だ。帰ったぞー!」


ドーグが声を張り上げると、中からドタバタと足音が聞こえてきた。

勢いよく扉を開けで飛び出してきたのは、ドーグより一回り以上小さなドワーフ二人。


「お帰りなさい!」


「父ちゃんだー!」


どうやら子供達のようだ。

二児の父か、羨ましいなおい。


「ドルク、ギアラ!いい子にしてたかー?」


そこへもう一人ドワーフが出てきた。


「お帰りアンタ」


「メルク!帰ったぞ!」


ドーグは嬉しそうにその人を抱きしめている。

お、もしかして奥さんかな?


「父ちゃん、この人間誰ー?」


子供らが俺に気づいて近寄ってきた。

警戒心とかはないらしい、目の前まできていきなり腕を掴んでくる。


「ほそーい!折れそう!」


「ほんとほんと!」


お前らドワーフのガタイと比べんなや。

戸惑う俺から子供らを引き剥がすドーグ。


「おう、コイツはタケル、しばらくうちで世話をしてやりたいんだ」


「なんだい、人間を拾ってきたのかい?何しに出かけてたんだか」


奥さんは呆れ顔だ、無理もない。

二ヶ月くらい出稼ぎに行ってた旦那が、知らん人間連れ帰って家に置くなんて言ったらそりゃ驚くわ。


「変な魔物にやられちまったみたいでよ、頭がちょっとアレなんだ。心配で放っておけなくてよ」


さっきより説明酷くなってないか?

奥さん達はそれで納得したらしく、快く迎え入れてくれた。

この日から俺は、ドーグの家で世話になりながらマイホームの建設を待つ事になる。

もちろんYouTube撮影もバッチリやるぜ!
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