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第2章〜聖女珍道中〜
第16話
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フィーネ達は一度神殿に立ち寄ることにした。
近くにいるのに素通りするわけにいかないし、聖騎士達も祈りを捧げたいと言い出したのだ。
「おお…」
ライオネルはフィーネを迎えに来た時に入ったが、他の聖騎士たちは任命式以来。
それほど信仰心を持っていなかった護衛騎士達も、初めて訪れる神殿の空気に飲まれ言葉を失っている。
「聖女様、お帰りなさいませ」
「ただいまみなさん、と言っても途中なのですけれどね」
悪を倒してきます!と言って出てきたのに、ひと月ほどで里帰り。
それでも神官達はにこやかな笑顔で迎えてくれた。
「これから魔物達、そして魔王と戦いに行かれる皆様の旅路に神のご加護を」
憧れの場、そして神官長の祈りを受け感無量の聖騎士達。
テンションが上がっている彼らの様子にフィーネは少々…というかかなり引いている。
(本当に信仰心の厚い人達だなあ…あの神様ってそんなに凄いの?大人気じゃん)
フィーネにとっての神は、突然脳内に話しかけてきて世界がどうたら言ってきた変なやつ。
(なーんにも尊敬する要素ないけどなー)
心の中とはいえ言いたい放題のフィーネに、メージェが干渉してきた。
『…ちょっと来なさい』
(え、あ…)
フィーネは精神世界に引き込まれて気を失い、その場に倒れ込む。
「フィーネ様!!」
慌てた声、駆け付ける足音…抱き止めてくれたのは誰?
(ちょっとー!急に呼ばないでってば!!)
自分の悪口三昧を棚に上げて文句を言うフィーネ。
精神世界にメージェの呆れた声が響く。
『全くお前は…私がなぜ主神と呼ばれているのか、神殿の教育で教わっただろう?』
そういえば授業で歴史やら神々のことやら聞いた記憶はある。
しかし興味がなかったフィーネは、半裸で描かれている性の神エーロウスの事くらいしかまともに頭に入れなかったのだ。
『本当に困った聖女だな…お前のような人間は初めてだよ』
(知らないわよ!あんたが勝手に連れてきたんだから!文句あるなら元の世界に生まれ変わらせて!)
この世界で十五年生きてきて慣れたとはいえ、やはり文明が進んでいる現代社会が恋しい。
フィーネが度々泣いている事を、もちろんメージェは知っていた。
『…頼むよ、フィーネ。お前の希望に添えるよう、好みの男を引き寄せてみるから』
(なんでも任せてちょうだい大丈夫よ魔王なんてビンタ一発よ)
素敵な筋肉に出会えるならなんでもござれ。
一息で話すフィーネ。
なぜ彼女が聖女の魂を持つのか、永遠の謎だ。
近くにいるのに素通りするわけにいかないし、聖騎士達も祈りを捧げたいと言い出したのだ。
「おお…」
ライオネルはフィーネを迎えに来た時に入ったが、他の聖騎士たちは任命式以来。
それほど信仰心を持っていなかった護衛騎士達も、初めて訪れる神殿の空気に飲まれ言葉を失っている。
「聖女様、お帰りなさいませ」
「ただいまみなさん、と言っても途中なのですけれどね」
悪を倒してきます!と言って出てきたのに、ひと月ほどで里帰り。
それでも神官達はにこやかな笑顔で迎えてくれた。
「これから魔物達、そして魔王と戦いに行かれる皆様の旅路に神のご加護を」
憧れの場、そして神官長の祈りを受け感無量の聖騎士達。
テンションが上がっている彼らの様子にフィーネは少々…というかかなり引いている。
(本当に信仰心の厚い人達だなあ…あの神様ってそんなに凄いの?大人気じゃん)
フィーネにとっての神は、突然脳内に話しかけてきて世界がどうたら言ってきた変なやつ。
(なーんにも尊敬する要素ないけどなー)
心の中とはいえ言いたい放題のフィーネに、メージェが干渉してきた。
『…ちょっと来なさい』
(え、あ…)
フィーネは精神世界に引き込まれて気を失い、その場に倒れ込む。
「フィーネ様!!」
慌てた声、駆け付ける足音…抱き止めてくれたのは誰?
(ちょっとー!急に呼ばないでってば!!)
自分の悪口三昧を棚に上げて文句を言うフィーネ。
精神世界にメージェの呆れた声が響く。
『全くお前は…私がなぜ主神と呼ばれているのか、神殿の教育で教わっただろう?』
そういえば授業で歴史やら神々のことやら聞いた記憶はある。
しかし興味がなかったフィーネは、半裸で描かれている性の神エーロウスの事くらいしかまともに頭に入れなかったのだ。
『本当に困った聖女だな…お前のような人間は初めてだよ』
(知らないわよ!あんたが勝手に連れてきたんだから!文句あるなら元の世界に生まれ変わらせて!)
この世界で十五年生きてきて慣れたとはいえ、やはり文明が進んでいる現代社会が恋しい。
フィーネが度々泣いている事を、もちろんメージェは知っていた。
『…頼むよ、フィーネ。お前の希望に添えるよう、好みの男を引き寄せてみるから』
(なんでも任せてちょうだい大丈夫よ魔王なんてビンタ一発よ)
素敵な筋肉に出会えるならなんでもござれ。
一息で話すフィーネ。
なぜ彼女が聖女の魂を持つのか、永遠の謎だ。
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