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第1章〜聖女の中身〜
第7話
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フィーネを乗せた馬車は、5日かけて王都へと入った。
「わあ、凄い…!」
初めて見る大きな街、その美しい街並みと人の多さに圧倒されフィーネは思わず声を上げる。
聖女が来ると知らされていた人々が押し寄せ、お祭り騒ぎになっていた。
「皆、聖女殿の到着を心待ちにしておりました。王都は賑わっておりますが、魔物に襲われた経験のある者もおります」
「そうなのですね…魔物の影響がここまで来ているなんて」
神メージェは邪神についてしか話さず、国内の魔物被害のことは知らなかったのだ。
「魔物の群れを見つければ我々が退治に向かいますが、突然発生する事が増えており先回りが難しくなっているのです」
「メージェ神は、邪神ギルガレイスの目覚めが近いとおっしゃっていました。その影響もあるのでしょうか…」
「邪神ギルガレイス?!」
その名前を聞きライオネルは叫んだ。
もう200年ほど封印されているはずの、最強最悪の邪神ギルガレイス。
「まさかあれが復活しようとしているのですか!」
「ええ、メージェ神はそう言っています」
ライオネルは顔を覆いしばらく呻いていたが、顔を上げフィーネを見つめた。
「陛下も驚かれると思います…予想以上に厳しい戦いが待っているかもしれません」
そして馬車は城へと到着する。
「ようこそ聖女フィーネ様。国王陛下がお待ちです、お疲れのところ申し訳ございませんが中へどうぞ」
出迎えたのは、王都にある教会の責任者。
今日は聖女を迎えるために呼び出されここにいる。
「神官様でしょうか」
「はい、王都の教会に勤めておりますロベール・レモンと申します」
(んー、若い頃はイケメンだったんだろうなー)
男と見れば誰でもチェックしてしまう、悲しい性。
大きな扉が開かれ、一歩城に足を踏み入れたフィーネは息を呑む。
(めちゃくちゃ広い!綺麗!!)
さすがは王の城、とてつもない規模と美しさだ。
長い階段を登る際、ライオネルがフィーネに手を差し出す。
「聖女殿、お手をどうぞ。お足元に気をつけてください」
「…ありがとう」
平静を装いつつもフィーネは内心大興奮。
(ふぉおおおお!!イケメンの手!!憧れの、お嬢さんお手をどうぞ!!)
慎重に歩いているふりをしてゆっくり堪能させてもらう。
そして長い廊下を進むと、ついに王が待つ部屋の前まで来た。
「陛下、聖女フィーネ様がいらっしゃいました」
「ご苦労、入りなさい」
玉座に腰掛けた国王、ヴィクトル・ヴァンサンが待っていた。
「わあ、凄い…!」
初めて見る大きな街、その美しい街並みと人の多さに圧倒されフィーネは思わず声を上げる。
聖女が来ると知らされていた人々が押し寄せ、お祭り騒ぎになっていた。
「皆、聖女殿の到着を心待ちにしておりました。王都は賑わっておりますが、魔物に襲われた経験のある者もおります」
「そうなのですね…魔物の影響がここまで来ているなんて」
神メージェは邪神についてしか話さず、国内の魔物被害のことは知らなかったのだ。
「魔物の群れを見つければ我々が退治に向かいますが、突然発生する事が増えており先回りが難しくなっているのです」
「メージェ神は、邪神ギルガレイスの目覚めが近いとおっしゃっていました。その影響もあるのでしょうか…」
「邪神ギルガレイス?!」
その名前を聞きライオネルは叫んだ。
もう200年ほど封印されているはずの、最強最悪の邪神ギルガレイス。
「まさかあれが復活しようとしているのですか!」
「ええ、メージェ神はそう言っています」
ライオネルは顔を覆いしばらく呻いていたが、顔を上げフィーネを見つめた。
「陛下も驚かれると思います…予想以上に厳しい戦いが待っているかもしれません」
そして馬車は城へと到着する。
「ようこそ聖女フィーネ様。国王陛下がお待ちです、お疲れのところ申し訳ございませんが中へどうぞ」
出迎えたのは、王都にある教会の責任者。
今日は聖女を迎えるために呼び出されここにいる。
「神官様でしょうか」
「はい、王都の教会に勤めておりますロベール・レモンと申します」
(んー、若い頃はイケメンだったんだろうなー)
男と見れば誰でもチェックしてしまう、悲しい性。
大きな扉が開かれ、一歩城に足を踏み入れたフィーネは息を呑む。
(めちゃくちゃ広い!綺麗!!)
さすがは王の城、とてつもない規模と美しさだ。
長い階段を登る際、ライオネルがフィーネに手を差し出す。
「聖女殿、お手をどうぞ。お足元に気をつけてください」
「…ありがとう」
平静を装いつつもフィーネは内心大興奮。
(ふぉおおおお!!イケメンの手!!憧れの、お嬢さんお手をどうぞ!!)
慎重に歩いているふりをしてゆっくり堪能させてもらう。
そして長い廊下を進むと、ついに王が待つ部屋の前まで来た。
「陛下、聖女フィーネ様がいらっしゃいました」
「ご苦労、入りなさい」
玉座に腰掛けた国王、ヴィクトル・ヴァンサンが待っていた。
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