転生聖女〜前世は筋肉フェチの喪女でした〜

第1章〜聖女の中身〜

第4話

フィーネの治癒能力の噂はすぐに広がってしまった。

友達と遊んでいる時に花冠から根を生やしたりすればバレるのも当然で、本人が無意識だからこそ隠しきれなくなったのだ。

そして3歳になってすぐ神殿から声がかかり、親元から離されることとなり13年が経過した。


（可愛い妹弟にも年に一回しか会えないなんてね）


フィーネを神殿に送るしかなくなった両親はしばらく塞ぎ込んだようだが、4年後に妹が、そして6年後に弟が生まれている。

誕生日の面会でしか会えない妹と弟はどちらも可愛らしく、フィーネはメロメロだった。


（弟のアリウス…あの可愛さはそのままで筋肉つかないかしら）


もちろんそんな想像も欠かさないのだが。


（妹のエリシアも有りよね、マッチョアイドルとかも美味しいもの！）


前世の彼女は、男性の筋肉だけでなく女性の筋肉も好きだった。

筋肉に性別は無い、と心の中で叫んでいたくらいに。


（さーてと、今日もウハウハな小説でも書きますかね）


性癖を詰め込んだ作品作りのために机に向かうフィーネ。

しばらく自分の時間を楽しんでいると、ドアがノックされた。


コンコン


「はい、どなたですか」


入ってきたのは、いつも面会などの窓口となっている事務員と見知らぬ騎士。


（…だれ？？めっちゃかっこいいじゃん！）


その騎士は、見た事がない鎧を纏い、整った顔立ちの男性。

鎧でガチガチな神殿警備隊と違って体系が分かる程度の鎧のため、鍛えられた肉体を確認する事ができる。

フィーネは久しぶりに見る男の肉体に内心興奮した。


「お目にかかれて光栄です聖女様、私わたくしは王国騎士団所属の聖騎士ライオネル・ヴァリスと申します」


王国騎士団の聖騎士とは特殊な部隊で、通常の騎士たちが王族貴族や国を守るのとは違い魔物討伐専門。

普通の人間以外の敵を相手にするために選ばれた精鋭のことである。


「…まあ、聖騎士様がわたくしにどのような御用件でしょうか？」


嫁か？求婚なのか？

一気に想像を膨らませていたフィーネは、


「国王陛下のご命令によりお迎えにあがりました…どうか城へ来ていただけないでしょうか」


というライオネルの言葉に首を傾げてしまった。

国王は確か60歳を超えていたはず…まさか愛人？側室？

フィーネがそんな事ばかり考えているなどとは夢にも思っていないライオネルは、フィーネの前で跪き国王の言葉を伝える。


「聖女フィーネ殿、国の危機をお救いください」


それは魔物退治を依頼する手紙であった。