転生聖女〜前世は筋肉フェチの喪女でした〜

第1章〜聖女の中身〜

第3話

フィーネは修道女達に身を清めてもらい、一休みする。

一般的な現代人だった記憶があるため、この複数人に入浴や身支度をしてもらうというのは未だに慣れず抵抗がある…


（恥ずかしいし自分でできるって何度も言ったけど、不浄だからとかなんとか言われて許可されないのよね…）


トイレは一人でさせてくれるのにな。

不満だったが、いくら要望し続けても却下され続けて諦めてしまった。

その代わり一人の時間をもらっている。


（神と交信した後は疲れるんですって言ったら見張りを退室させてくれるようになったのよね、有難いわ～）


その隙に卑猥な妄想本を書いているというわけだ。

実家からの贈り物箱、ということにしている箱の中身はほとんどがソレだ。

両親には月一の贈り物は食べ物にしてくれと頼んであり、こっそり食べて証拠を隠滅している。


（お茶の時間はあるけど贅沢禁止でオヤツ無しなんだもん…ホント無理！）


3歳から神殿で暮らしているフィーネ。

両親とは月に一回の手紙のやり取りと贈り物、年に一回誕生日の面会のみ交流が許されている。


（この世界のお父さんとお母さん、良い人でよかった）


フィーネは神殿に入る前のことを思い出す。


「ねえフィルク、やっぱりフィーネは特別だと思うの…」


母リーネは、フィーネの手の平を見つめ不安げに言った。

フィーネの右手の平には、生まれた時から青アザのようなものがあったのだ。

初めは小さかったけれど、2歳になったころには広がってなにかの紋様のように見える。

父フィルクも、我が子の小さな手を優しく包み込みながら言った。


「ああ…これはきっと、神様の贈り物だよ」


初めは病気かと思って医師に相談したこともある。

しかし、生後間もない頃からなにやら一人でブツブツ言っているなと思っていたら半年も経たないうちにハッキリと喋り出し、同時にしっかり自分の意見を述べるようになった娘はどう考えても特別な子。

悪魔憑きなどと言われては大変だと思い、両親はフィーネを目立たせないよう気をつけて暮らしてきた。

最初はもちろんかなり驚いたが、気味が悪いなどと思ったことはない…フィルクとリーネにとって、フィーネは可愛い可愛い娘。

愛情を注いで育ててきた。

しかし、3歳を前にしてフィーネはさらに特別な力を見せ始めたのだ。

それは、高い治癒能力。

彼女は触れたものを癒す力を発揮するようになっていた。

フィーネが花を摘むと、根が生えてしまうのだ。

両親の怪我や不調も治してきた。