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第7話:シスコン
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突然アーリャを紹介されて狼狽えるエレン。
そんな彼をアーリャはジッと見つめ、そしてにこりと微笑んだ。
「素敵な騎士様!是非、お友達からでも良いので交流しましょう?」
「え、でも…」
「あたしは好みじゃないですか?」
「まさか!とても可愛らしいと…思いますが…」
こんな、たまたま護衛任務中だったから顔を合わせただけの男と。
本当にいいのかと戸惑うエレンに、アーリャは更に笑顔を浮かべる。
「お互いのことをよく知るのは大切なことですわ、お時間ある時に呼んでくだされば飛んでいきますから!」
積極的に自分を売り込むアーリャ。
彼女はリュカリウスを狙っている間に周囲の人物についても調べており、このエレンという男が伯爵家の三男坊である事を知っていた。
貴族の生まれで地位も金もあり、リュカリウスの友人であり将来有望な護衛騎士でもある。
彼を射止めれば王子の腹心の妻になれるのだ、姉ともそれほど離れずに済むかもしれない。
(顔よし、実家は由緒ある伯爵家、本人も優秀。そして殿下の一番の騎士。という事は結婚できればお姉ちゃんがお妃様になっても会いやすいはず!)
実はアーリャ、かなりのシスコン。
可愛くなりたいのも本心だが、誰よりも姉に憧れてきたのだ。
幼い頃から優秀だった姉の背中を見て育ち追い続けてきたアーリャは、リーリャと離れたくなかった。
そしてリーリャもまたシスコンのため、アーリャと離れなくて済む道に魅力を感じている。
「エレン様、アーリャはとても良い子なのです。このような急な話で驚かれるのも無理はありませんが、お話だけでもしてあげてくださいませんか?」
二人きりになればきっと妹の魅力に惹かれて恋に落ちてくれる、そう思いリーリャはリュカリウスを外に誘うことにした。
「リュカリウス様、少しだけ外に出ませんか。テラス席でしたらここから見えますし、外の護衛さん達も居ますよね」
室内まで同行したのはエレンのみだが、放課後ということで店の外は王家の護衛達が囲んでいる。
危険はないのではというリーリャの言葉に、リュカリウスは頷いた。
「いいよ、俺もリーリャと二人になりたいし。エレン、少しくらい羽を伸ばしなよ」
「で、殿下…」
「俺が我儘言ってお前を部屋に置いてきたって事にするからさ」
サッと個室を出て行ってしまうリュカリウスに困惑しながらも、エレンはその場に残りアーリャを見つめる。
赤面するエレンを見て、
(女慣れしてないのね…可愛いとこあるじゃない)
アーリャは内心勝利を確信していた。
そんな彼をアーリャはジッと見つめ、そしてにこりと微笑んだ。
「素敵な騎士様!是非、お友達からでも良いので交流しましょう?」
「え、でも…」
「あたしは好みじゃないですか?」
「まさか!とても可愛らしいと…思いますが…」
こんな、たまたま護衛任務中だったから顔を合わせただけの男と。
本当にいいのかと戸惑うエレンに、アーリャは更に笑顔を浮かべる。
「お互いのことをよく知るのは大切なことですわ、お時間ある時に呼んでくだされば飛んでいきますから!」
積極的に自分を売り込むアーリャ。
彼女はリュカリウスを狙っている間に周囲の人物についても調べており、このエレンという男が伯爵家の三男坊である事を知っていた。
貴族の生まれで地位も金もあり、リュカリウスの友人であり将来有望な護衛騎士でもある。
彼を射止めれば王子の腹心の妻になれるのだ、姉ともそれほど離れずに済むかもしれない。
(顔よし、実家は由緒ある伯爵家、本人も優秀。そして殿下の一番の騎士。という事は結婚できればお姉ちゃんがお妃様になっても会いやすいはず!)
実はアーリャ、かなりのシスコン。
可愛くなりたいのも本心だが、誰よりも姉に憧れてきたのだ。
幼い頃から優秀だった姉の背中を見て育ち追い続けてきたアーリャは、リーリャと離れたくなかった。
そしてリーリャもまたシスコンのため、アーリャと離れなくて済む道に魅力を感じている。
「エレン様、アーリャはとても良い子なのです。このような急な話で驚かれるのも無理はありませんが、お話だけでもしてあげてくださいませんか?」
二人きりになればきっと妹の魅力に惹かれて恋に落ちてくれる、そう思いリーリャはリュカリウスを外に誘うことにした。
「リュカリウス様、少しだけ外に出ませんか。テラス席でしたらここから見えますし、外の護衛さん達も居ますよね」
室内まで同行したのはエレンのみだが、放課後ということで店の外は王家の護衛達が囲んでいる。
危険はないのではというリーリャの言葉に、リュカリウスは頷いた。
「いいよ、俺もリーリャと二人になりたいし。エレン、少しくらい羽を伸ばしなよ」
「で、殿下…」
「俺が我儘言ってお前を部屋に置いてきたって事にするからさ」
サッと個室を出て行ってしまうリュカリウスに困惑しながらも、エレンはその場に残りアーリャを見つめる。
赤面するエレンを見て、
(女慣れしてないのね…可愛いとこあるじゃない)
アーリャは内心勝利を確信していた。
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