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黒炎の魔女

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部屋から抜け出したキール達は、廊下に出た瞬間突然現れた魔犬に襲われた。


「うわぁ!大きな犬!」


「頭が二つありますわ!」


「に、逃げてください!」


魔犬に追われて長い廊下を走り、次の部屋へ飛び込む。

そこにいたのは、黒いドレスに身を包んだ赤髪の女。


「いらっしゃい人間達。あのガメルまで倒したんですって?美味しそうねぇ」


舌舐めずりする女。

キール達の後ろでは魔犬が唸っている。


「僕はキール!君は誰かな」


律儀に名乗るキール。



「あたしはレイディア。四天王の一人、黒炎の魔女よ」


レイディアは自慢げに胸を張り、そのスタイルの良さを見せつける。

少しだけムッとした顔をするアナスタシアとサーラ。

キールだけはいつもの笑顔だ。


「そうか!君も四天王なんだね!」


「…ええそうよ、他の奴らは弱かっただろうけどあたしに勝つのは無理ね」


美貌に自信があるレイディア、しかしキールが全くの無反応である事に不満を抱いた。


「ちょっとくらい遊んであげてもいいわよ、人間の坊や?」


「ん?遊ぶ暇は無いんだ、ごめんね!」


レイディアの誘惑など理解していないキールの様子に、アナスタシアは嬉しそうな笑みを浮かべる。

気に入らないのはレイディアだ。


「ふんっ、人間にあたしの魅力は理解できないようね!」


そういうとレイディアは右手を突き出し、


「いいわ、お前はつまらないからすぐに殺してあげる」


キールを焼き殺そうと黒炎を生み出した、そのとき。


『…まてレイディア、其奴は我が預かろう』


血の底から響くような声がしてキールの体が闇に包まれた。


「…え?キール?」


目の前で忽然と消えたキール、その事実にアナスタシアは呆然とする。


「あら、魔王様自ら遊ばれるのかしら。珍しい…まあいいわ、あんたたちはあたしが」


魔王の影を見送っていたレイディアが顔を上げると、


「…キールを返して。」


髪を解いたアナスタシアと目が合った。

ライトグリーンだったはずの瞳は赤く、その身からは金色の炎が噴き出ている。


「…は?ちょっと、なに」


「キールを返しなさいと言ってるのよ」


豹変したアナスタシアの姿に、サーラも声が出ない。

レイディアはアナスタシアが纏う金の炎に嫌な予感がしていた。


(これはまさか…でもそんなはずは)


嫌な予感を振り払い、レイディアはアナスタシアに攻撃を仕掛ける。

黒い炎の柱が複数発生し、部屋の温度が上がっていった。
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