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薬売り
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外に薬草をたくさん干している家、と教えられた通り、その家の周囲は薬草らしき乾燥した植物で囲まれている。
木の実なども吊るされていて、玄関のそばには大きなカゴが置かれていた。
キールは興味深そうに見渡しながら、家の中に向けて声をかける。
「ごめんくださーい」
「…はい」
少し間を置いて返事が聞こえ、青白い顔をした青年が出てきた。
「やあ!僕はキール!ゲイルという人の息子を訪ねてきたんだ!」
キールの勢いに押されるように後ずさる青年。
「ゲイルは父ですが…薬を買いに来たお客さんですか?」
「君が息子か!次男坊っていう人を探してるんだけど、君のことかい?」
(…まさかとは思うが、王子は次男坊が名前だと思っているのではなかろうな)
ケインは考えないようにしながら口を挟んだ。
「突然の訪問失礼します。我々は御者になってくれる人物を探しておりまして、大通りにある宿屋の女将さんの紹介で来ました」
「御者、ですか…確かにゲイルの次男というなら僕ですが、僕は薬を使っているだけで…馬も乗れはしますけど…」
戸惑うのも無理はない、家族で商人をしているなら一通りできるだろうが、馬車を引くことが専門なわけではない。
すると家の中から弱々しい声が。
「どうしたんだ、トーマ…お客様か?」
「父さん、気をつけて…!」
姿を見せた父親に、トーマは慌て駆け寄りその体を支えた。
腰痛に効くはずの貼り薬も痛み止めも効かず、父の容態は悪化する一方なのだ。
「すみませんねえお客さん、わざわざ家にまで来てくれたというのにこんな有様で」
立ち話などできそうにない様子を見て、キール一行は家にお邪魔させてもらうことにした。
そしてケインがザックリと説明する。
「こちらにおられるのは、第四王子キール殿下。我々は王命により魔王討伐に向かっている。馬車を1つ引く者を雇いたいのだが、トーマ殿と言ったか…同行願えないだろうか」
ゲイルとトーマは仰天した。
まさかこんな所に王子一行が来るとは夢にも思わなかったし、ましてや御者になれと?
「え、ぼ、僕が王子様に同行?無理ですよ!」
「も、申し訳ございません王子、このトーマは気も弱けりゃ体力も無くてお役になんて立てません」
聞けば、今まで商品を乗せた馬車を引いていたのは長男の方で、次男は薬製造が担当だったらしい。
見るからに弱そうで、これではまた足手まといが増える…ケインは諦めましょうと提案しようとした。
しかし。
木の実なども吊るされていて、玄関のそばには大きなカゴが置かれていた。
キールは興味深そうに見渡しながら、家の中に向けて声をかける。
「ごめんくださーい」
「…はい」
少し間を置いて返事が聞こえ、青白い顔をした青年が出てきた。
「やあ!僕はキール!ゲイルという人の息子を訪ねてきたんだ!」
キールの勢いに押されるように後ずさる青年。
「ゲイルは父ですが…薬を買いに来たお客さんですか?」
「君が息子か!次男坊っていう人を探してるんだけど、君のことかい?」
(…まさかとは思うが、王子は次男坊が名前だと思っているのではなかろうな)
ケインは考えないようにしながら口を挟んだ。
「突然の訪問失礼します。我々は御者になってくれる人物を探しておりまして、大通りにある宿屋の女将さんの紹介で来ました」
「御者、ですか…確かにゲイルの次男というなら僕ですが、僕は薬を使っているだけで…馬も乗れはしますけど…」
戸惑うのも無理はない、家族で商人をしているなら一通りできるだろうが、馬車を引くことが専門なわけではない。
すると家の中から弱々しい声が。
「どうしたんだ、トーマ…お客様か?」
「父さん、気をつけて…!」
姿を見せた父親に、トーマは慌て駆け寄りその体を支えた。
腰痛に効くはずの貼り薬も痛み止めも効かず、父の容態は悪化する一方なのだ。
「すみませんねえお客さん、わざわざ家にまで来てくれたというのにこんな有様で」
立ち話などできそうにない様子を見て、キール一行は家にお邪魔させてもらうことにした。
そしてケインがザックリと説明する。
「こちらにおられるのは、第四王子キール殿下。我々は王命により魔王討伐に向かっている。馬車を1つ引く者を雇いたいのだが、トーマ殿と言ったか…同行願えないだろうか」
ゲイルとトーマは仰天した。
まさかこんな所に王子一行が来るとは夢にも思わなかったし、ましてや御者になれと?
「え、ぼ、僕が王子様に同行?無理ですよ!」
「も、申し訳ございません王子、このトーマは気も弱けりゃ体力も無くてお役になんて立てません」
聞けば、今まで商品を乗せた馬車を引いていたのは長男の方で、次男は薬製造が担当だったらしい。
見るからに弱そうで、これではまた足手まといが増える…ケインは諦めましょうと提案しようとした。
しかし。
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