淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶

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第3話

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「あっ・・・ぁ」 


小さく痙攣するリオラ。

その体に、男が優しく覆い被さる。 


「なあ、ここまで頑張ってくれて悪いとは思うが・・・入れて良いか?」 


躊躇うような男の言葉に、リオラは小さく頷く。 


「・・・本当に、良いのか?」 

「・・・はい」 


そう言って、リオラは男に微笑みかけた。 

嫌だったはずなのに、怖かったはずなのに。

不思議と今は彼を受け入れれ気持ちしか無かった。

男は、 


「・・・ありがとう」 


そう言ってゆっくりと自身をあてがう。 

そして、力を入れた。


「いっ・・・痛・・・ぃ」 

指とは比べのもにならない大きさのソレは、容赦なくリオラの入り口を押し広げる。 

男は痛がるリオラを気遣わしげに見つめたが、そのまま一気に奥を目指した。 


「あっ・・・ぅぐ・・・!!」 


裂かれるような痛みと、息が詰まるような圧迫感。 

リオラはくぐもったうめき声を上げる事しか出来なかった。 

それでも、痛みと息苦しさの中に男の存在を感じる。

恋人でもないのに、リオラは何故か嬉しいと思った。 

男は、しばし動きを止める。 

やがてリオラの呼吸が落ち着いてくると、ゆっくりと僅かな律動を刻み出す。 


「いっ・・た・・・ぃ」 


まだ痛みはあった。 

それでもリオラは懸命に耐え、両脚を男の腰に絡め男を受け入れ続ける。 

そして、無意識のうちに男の唇を求めていた。

その雰囲気に、気付いたのだろうか。 

男はゆっくりと顔を近付け、始めはそっと。

そして徐々に、深く。

二人は口づけを交わした。 

しだいに男の動きが大きく、激しくなっていく。
 
リオラは痛みに耐え続け、そして。


「っ・・・うっ」 


男が絶頂を迎えた。


「あっ・・・!!」 


体の奥に熱を感じながら、リオラは再び男の唇を求める。

男はリアラに口付け、


「大丈夫か?」


優しく声をかけた。


「はい、もうあんまり痛くないです」


そう言いながらも瞳から零れた涙を、男が唇でそっと拭う。
 
そして、 


「・・・ごめんな、ありがとう」 


そう囁き、リオラを抱きしめた。

繋がったままの男のソレは、まだ力を失っていない。


「貴方こそ、大丈夫ですか?まだ治ってないんじゃ…」


足りなかったのかとリアラは不安になった。

男の出血は止まり顔色も良くなっている。

正直なところ十分だったのだが。


「…そうだな、もう一回頑張ってくれたら元気になれそうだ」


男はそう言うと再び腰を動かす。


「あっ、ん…頑張りますっ」


健気なリアラの様子を愛おしく思いながら、男はリアラの体を堪能する。

彼らの体液には媚薬効果があるため、リアラは体が熱くなるのを感じていた。


「あっ、なんか…変ですっ」


はじめての快楽に恐怖を覚え、イヤイヤと首を振るリアラ。

男は安心させるように優しくその頬に触れながらも腰を止めない。


「怖がらなくていい、そのまま身を任せろ」


「やっ…こわいっ」


「大丈夫だ」


「んあぁっーーー!」


リアラが絶頂を迎えるのに合わせて、男も2度目の性を放つ。

そして二人は抱き合ったまま眠りについた。

翌朝、すっかり日が昇った頃。


「ん・・・」 


目を覚ましたリオラは、


「・・・きゃっ」 


全裸で男と抱き合っている状況を把握し、悲鳴を上げそうになった。 

なんとか声を飲み込み、そっと起き上がろうとしたのだが。


「んっ・・・痛い・・・」 


下腹部の痛みと全身の怠さに、身動きが取れない。 

どうしたものかと思っていると、


「・・・」 


男が、目を開けた。 


「あ・・・」 

「・・・ああ、起きたのか」 


そう言うと、男は身を起こす。 

完全に回復したようだった。 


「大丈夫か?」 


心配そうに言われ、リオラは何とか身を起こす。 


「は・・・い、なんとか」 

「痛むか?」 

「少し・・・でも、それよりも怠さが・・・」
 

そう、痛み自体はそれほど残っていなかった。 

しかし、どうにも体が重い。

リオラがそう訴えると、男は申し訳なさそうな顔をする。 


「すまない・・・ 俺たちの体液には媚薬効果がある。それが入ったから寝ている間に吸収されて、怠さとして現れているのだろう」 


その言葉に、リオラは赤面した。 


(そっか、あたし・・・) 


記憶を辿り、真っ赤になるリオラ。 

そんなリオラを見た男は、 


「ふっ、お前は本当に可愛いな」 


小さく笑いながら言う。 


「ありがとう、おかげで助かった。どう礼をしたらいい?」 


男の言葉に、少し考え込んだリオラが出した答えは――――― 




後の世に、語り継がれる物語がある。 


それは、小さな農村にある孤児院の話。 

そこの創設者は、かつて一人で農業を営んでいた少女と旅の男。 

ふたりは大変仲睦まじく、周囲に笑顔が耐える事はなかった。 

しかし、二人の間に子はなく。

多くの孤児を集め育てた。 

早くに男が亡くなった後も、かつて少女だった女性から笑顔が消える事はなかった。 

多くの子供達に囲まれ、眠るその瞬間さえ。

彼女は、先に大地へ帰った男と共に眠っている。 

何十年経った今でも、訪れる者は絶えない。 


その墓石には、二人の名が刻まれている。

夫・ヴィルグ 
妻・リオラ 

此処に眠る――――― と。 
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