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第5章〜ライアン〜

第43話

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ヴィンはイクスとジェイ、その他二十名を連れて船を降りる。

様子がおかしいライアンには声を掛けなかったが、本人も何も言わず。


「ガイル、アルバ。船を頼むぞ…ライアン、お前も。」



「「はい」」


「…はぁい」


「ミュフィたちも、何かあればすぐに知らせろ」


「はい…お気をつけて」


離れたところからでも異常を知らせられるよう、狼煙や色の付いた火薬などいくつか手段を備えてある。

すっかり日も暮れた暗闇の中、ヴィンたちは仲間奪還作戦を開始した。

夜間出歩いている者は一人もいない港町、灯りのついている民家もあるが人の声は一切してこない。

静まり返った街中を進み目的の建物に近づくが、明かりが消え人の気配も感じられなかった。


「…誰もいない、ということは無いだろうな」


「恐らく…我々の動きに気づいているのでしょう」


外から見張っていても仲間を見失ったということは、地下に隠し通路などがあるのだろう。

建物の外を見て回るが出入り口は見当たらない…ヴィン達は突入を決めた。


「行くぞ」


ヴィンの号令で表口と裏口を同時に破壊し、中に入った瞬間。


「かかれー!!」


潜んでいた兵士たちが一斉に飛びかかってきた。

予想していたとはいえ狭い室内では戦いにくい、ヴィン達は苦戦しながらも敵を倒していく。


「…あそこか」


次から次へと湧いてくる兵士達、彼らは床下へと続く2箇所の階段から来ているようだ。


「やはり地下か。イクス、俺と共に左へ!ジェイ、お前は他の奴らと右へ降りろ!」


ヴィンは敢えてイクスだけ共に行動させることにし、他のメンバーのことはジェイに任せる。

最近のジェイの様子なら仲間を率いることもできるだろうと判断したのだ。

イクスは自分だけ同行を許され上機嫌、ジェイはそんな彼をチラリと見たが素直に命令に従う。

そして二手に分かれて地下を目指す。

しばらく地下通路での戦闘が続いたが、やがて兵士たちも姿を見せなくなり、ヴィンとイクスは扉の前に到着した。


「さて、当たりか外れか」


ヴィンは扉に手を掛け、イクスは剣を構えた。
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